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黒剣の退屈  作者: Leopardz
3/10

外の世界

「お前は、俺が今まで知っているどの黒竜よりも、でかいかもな。」


ドラゴンは、まるで己の縄張りを侵されたかのように低く唸り声を上げた。


その二本の前脚の爪が地面を強く掴み、翼がゆっくりと持ち上がる。


翼に走る血管と筋肉がはっきりと浮き出るほどの力強さだ。


次の瞬間、黒竜の全身から幾筋もの赤い稲妻が迸り、その威圧的なオーラが辺りを圧倒した。


俺はその赤い稲妻にわずかに驚いた。しかし、退屈はすでに俺を支配していた。


(赤竜が火の元素を使い、青竜が氷の元素を使うように、この竜は……)


俺たちの周囲の地面が揺れ始め、小さな地震が起こった。赤い雷が、歪んだ圧倒的な力を伴って迸る。


「雷属性か」


俺は構えを変えて、素手で戦う準備をした。


俺は地面をじっと見つめていた。まるで、いつでも飛び出せるように縮こまったバネのように。


俺のマナオーラが黒く吹き出し、赤い雷がパチパチと走った。右手は黒いオーラに包まれていた。


空気がものすごく張り詰め、鳥たちが怖がって森から逃げ出すほどの威圧感に包まれた。


ドォォン!!


一度の翼の羽ばたきの音だけで、黒竜の足元の地面が爆発し、土砂と瓦礫が空高く舞い上がった。


黒竜が、真っ直ぐに走る赤い雷のように、恐ろしい速度で俺に向かって突き進んできた。


ドォォン!!


俺自身の一歩の音で、足元の地面が爆発し、土が空へと舞い上がった。


俺は黒竜に向かって、同じ速度で飛び出した。まるで空気を切り裂く赤い雷のように。


【 JET... DESTRUCTION...FIST 】


ドォォンムッ!!


俺たちの打撃が衝突する音は、まさに大災害の中心のようだった。


森の中に巨大なエネルギーの爆発が生まれ、木々は根こそぎ引き抜かれ、震源地の周囲で激しく回転した。


稲妻が閃いた。


土煙が巨大な竜巻のように渦を巻いた。


俺の拳は、竜の手のひらと力比べで拮抗していた。


俺は拳を握りに変え、竜の指の一本を掴んだ。


すると、竜の押し込みで肘がわずかに曲がった。


そして片手で、竜の指を左にひねった。


(バランスと力が崩れかけてきた。)


次に、俺は渾身の力でその指を右へ押し込みながら捻り上げた。


ゴォッ――


黒竜のそれまで集中していたエネルギーが、突然あらゆる方向へと散っていった。


奴はバランスを崩し、地面で何度も何度も転がりながら倒れた。


少し疲れた感じで、俺はフラフラになった竜が転がっていくのを見ていた。


「やっぱり、湖で覚えたカニみたいな技は、うまく使えば力も防御も壊せる。

……遊びはもう終わりだ。」


俺は背を向け、黒竜から歩き出した。


「さようなら」


数歩歩いたら、背後から怒りのエネルギーが湧き上がるのを感じた。


反応するのが面倒で、俺は大きくため息をついた。


「グォォオオ!!」


黒竜の怒りの咆哮が響き渡った。その周囲に雷が落ち、地面を壊滅させた。


俺は振り返って、竜に向き直った。


しかし、奴はすでに《JET DRAGON FIST》の構えをとっており、いつでも突進できる態勢に入っていた。


(ん?……前より強い…)


目を下に向けた。


(退屈はまだ俺にまとわりついている……)


ドォォン!!


黒竜の翼の羽ばたきの音が、奴を目にも止まらぬ速さで俺に向かって飛ばした。


その攻撃の音は、今や俺の耳ではくぐもって聞こえた。


時間がゆっくりと流れ始めたかのようだった。


竜の爪は、明るい赤い雷をバチバチと鳴らしながら、俺の前でゆっくりと鈍く動いていた。


(避けることもできる。防ぐこともできる。反撃して殺すこともできる。止めることだってできる。)


(この退屈は……)


黒竜の爪がついに俺の体に触れ、まるでスローモーションのような圧で押し込んでくる。


俺は目を閉じた。


(……本気で俺を殺したい)


ドグォーン!


黒竜の攻撃のすごいエネルギーで、俺は夕方の空に赤い尾を引く彗星みたいに斜め上へ飛ばされた。


「……」


黒竜は空を見上げ、視界から消えるまで遠くへ飛んでいく俺を見送っていた。


やがて背を向け、そのまま巣へと歩き出した。


「あの人間……」


黒竜は苛立った様子で洞窟の中へ入っていった。


「……まだ自分の使命に気づいていない……」


黒竜はゆっくりと自分の巣に伏せ、目を閉じた。


「その日がついに来るとき……」


完全に目を閉じた。


「……この世界は血に染まるだろう。」


◆◆◆


俺はゆっくり目を開けた。


最初に見えたのは、夕方の広いオレンジがかった黄色の空だった。


俺はかなりの速度で空中を漂っていた。


黒竜の攻撃による赤い雷の残効がまだ体にまとわりつき、まるで彗星のような見た目になっていた。


(どうやらまだ竜の攻撃で吹き飛ばされ続けているらしい、ん……体はそれほど痛くない。

……もう着地しようか?)


「……」


「あの本に書いてある外の世界に行きたかったけど、どっちに行けばいいかわからなくて…だから…

……今着地しようが後で着地しようが…結果は同じだ。」


俺は目を閉じて、自信たっぷりに笑った。


(迷子…)


突然あることに気づいた。


「この辺りのマナエッセンスはかなり軽く感じる。もうヴェドラの森を出たのか?」


(そういえば、黒竜がこんな風に斜め上に攻撃してくるのは見たことがなかった。

今まで見てきた限り、奴は縦か横に攻撃するのが普通だった。)


「もしかして…あいつ、俺を外の世界に向かって飛ばしたのか?」


俺は赤い彗星みたいに空を飛び、だんだんスピードが落ちて降り始めた。


でも気にせず、自分の考えに没頭した。


(…もしそうなら、絶対に恩を返す。)


バキッ!


俺の体は斜めに木にぶつかった。高速で突っ切ると、中くらいの木が何本も折れて倒れた。


「うっ…!」


ようやく地面に当たり、何度か転がった。


バキッ!


大きな木に背中がぶつかり、背骨が激しくしなった。


「ああぁ…くそ…ああぁ!」


俺はすぐにうつ伏せになって、片手で背中を押さえた。


「今の…なんだったんだ?!」


立ち上がって、もうボロボロの服についた土や枝を払い落とした。


深呼吸をして、両腕を広げて空を見上げた。


「おお、神よ!道を示してくれ!ここはどこだ?!」


それが俺の必死な叫びだった。


静まり返った中、俺は全部のマナオーラをあらゆる方向に広げた。


「ん?!…この感じ…」


すぐに、俺は気がついた。


戦っている五つの命から、変なマナオーラを感じた。


俺は耳を澄ませて、めちゃくちゃなマナオーラの流れを感じ取った。


「ERICK、危ない!」


ドォン!! ドォン!!


「今だ!氷魔法を放て!」


カチン…


「ああぁ…めっちゃ寒い、なんかおしっこしたくなってきた…」


バキッ!


「ああっ…足が!早く治してくれ!」


俺は目を開け、顔を上げて、声のした方へ視線を向けた。


両目が赤く光り、まるで獲物を狙う獣のようだった。


「俺と同じ言葉だ……間違いない。」


次の瞬間、俺のマナオーラが爆発し、午後の空が夜のように暗転する。


「外の世界……!」











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