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13.『なに』かの答え

「どういうこと!?」


 何故わかったのか、いつから気づいていたのか。わたしには疑問だらけだ。 


「いや、まだわからないけど……おれが知ってるって言うんなら、思い当たるのはひとつだけだ」

「そう、それだよ。ごめんね、勝手に持ち出して」


 ラティが指をパチリと鳴らす。


「おかしいと思ったんだ。今朝、仕上げのために工房に行ったらなくなっていたから、焦ったよ。もしかして落ちたのかと思って床まで探したんだけれど見つからなかった」


 そこまで聞いて、はっと今朝のことを思い出す。

 ジャンは工房の床に屈みこんで何かをしていた。

 あれは、なくなったものを探していたんだ。


「返してもらえると助かる。世界にひとつしかないものなんだ」

「わかってるよ。でも、返す前にひとつだけお願いがあるんだ」


「何?」

「今、ここで式を挙げてよ」


「え!?」


 わたしとジャンの声が重なった。


「ぼくたちにもお祝いさせてほしくて呼んだんだよ」


 ラティが言うのと同時に、周囲から動物たちが姿を現した。森の住人たちだ。


「ラティ……みんな……」


 ラティの気持ちが嬉しい。

 みんなに囲まれて結婚式ができるなんて思っていなかった。


 さっき魚をくれた熊も、盗賊を追っていった狼も戻ってきている。

 栗鼠に兎に狐もいる。


「ごめんね、ジャン。これを返すよ」


 ラティが何かをジャンに手渡す。


「いや、ありがとう」


 ジャンはしばらく受け取った物を見つめていたけれど、やがて顔を上げた。


 様子を窺っていたわたしと目が合う。

 胸が高鳴る。


「えっと……あの、それって……」


「これから仕上げをするつもりだったから、まだ完成してないんだけど……。左手、出して」

「うん」


 言われるままに手を差し出す。

 ジャンの大きな手がわたしの指にそっと触れた。薬指に陽光を反射して輝くリングがはめられる。


 わたしはそのリングの美しさに目を奪われる。

 

銀のリングには繊細な細工が施され、中央の大きな青い石に蔦が絡まるようなデザインになっている。   

 その両脇には小さな緑色の石がはめ込まれている。

 青はわたしの、そして緑はジャンの瞳の色だ。


「ジャン……」

「ずっと一緒にいるんだろ? だから……」

「ありがとう、ジャン‼」


 わたしはジャンの胸に飛び込んだ。

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