月光 住んでいる場所
ある日の昼休み。
今は、全員が昼休憩をとっていた。
「そういえばさ、香っていつも来るの早いけど、どこに住んでるの?」
「登竜山です」
「「「「え?」」」」
日菜の答えに誰もが驚いた反応を示す。
登竜山とは、オルディナツィオの一チームである『登竜山』が拠点としている場所で、登竜山からキウィタスまではトレーメルに乗って一時間半かかる。
それでいて、日菜は毎朝6時までには月光の拠点に着くようにしていた。
「登竜山って、あんた正気?」
「確かあそこはトレーメルに乗って一時間半か……」
「まぁ、私、学校もこのキウィタスの学校に通っていたので、慣れてるんです」
ムンドゥスでは、13歳から18歳の6年間学校に通い、6歳から12歳までは基礎を学ぶ。学ぶ内容は種族によって違うので通う学校も違うが、近年はどの種族でも通える学校が増えてきた。しかし、様々な種族が通うとなると受験を合格しなければならない。
「私は学校には通ってないんだよね〜」
「そうなんですか?」
「オルディナツィオの人たちって、ほとんどが獣人や竜人、鬼人で、この種族は小さい頃から1人が多いんだよ」
「月光で学校に通ってるのは俺だけだしな。マイとユヅキも通っていない」
「へぇ……」
マイもユヅキもルナも、きちんとした知識があり学校に通っていたと日菜は思っていたが、昔のムンドゥスは人間以外学校に通っていないことが多かった。ここ数年で多種族の通学率が増えてきた。
「いや、というか香はキウィタスに引っ越したらどうだ?」
「いえ、別に。まだ登竜山で一人暮らしを始めてから1年も経ってないですし……」
「日菜ちゃん一人暮らしなんだ」
日菜の実家は登竜山にあり、日菜は学校から卒業したら一人暮らしを始めた。実家とは登竜山内のトレーメルを使って十分の距離だ。
「皆さんはどこに住んでるんですか?」
「私は〜、っていうかオルディナツィオの人たちは大体キウィタスだよ。離れてるところで活動してる人は別だけど」
キウィタスの人口は約900万人。その1%にも満たない人数がオルディナツィオに務めている。そして、実際にモンストゥルムと戦うのは100人程度。ムンドゥス全体となると明らかに人数が足りない。だが、モンストゥルムと戦うことができる人は限られている。
「まぁ、香がいつか引っ越しする時は手伝うからな」
「ありがとうございます」
「私なんかもう三回も引っ越ししたことあるからね!」
ルナはそう言ったが、鬼人で3回しか引っ越ししていないなら、少ない方だ。鬼人と獣人は幼い頃に親元を離れることがほとんど。なので、色々なところを転々としていく。キウィタス内の鬼人の引っ越し回数の平均は一人当たり6回だったりする。
逆に、竜人は親と同じ家で過ごすが家の中でもほとんど1人で過ごす。竜人はあまり他人と関わらない種族だ。それに、ムンドゥスでは竜人は数が少ない。
「おい。新しい任務だ」
「なら私とソラキと日菜ちゃんの3人でいこー!」
「おいっ、ちょっと待てって!」
「ルナさん!ソラキさん!待ってください!」
ユヅキからの報せにルナが飛び出していって、ソラキもそれを追いかける。日菜も少し遅れたが、2人の後をついて行った。




