月光 初任務
日菜が月光の拠点に訪れ、歓迎会が行われてから翌日。日菜は初出勤で、先日とは違う緊張感を覚えていた。
「お邪魔します?」
「あー、日菜ちゃん!日菜ちゃんはもう「おはようございます」でいいんだよ!」
日菜が拠点に入った途端に、ルナが日菜に抱きついた。先日の歓迎会でルナは日菜のことを「日菜ちゃん」と呼ぶようになっている。
「おっ、おはようございます」
「うんうん!今日は、日菜ちゃんの初任務だー!」
ルナが元気よくいった言葉に、日菜は先ほどよりもさらに緊張してしまう。
日菜はオルディナツィオに入るために訓練は積んできたが、実戦は初めて。初めてもの者は、誰しもが怖いという感情を抱くだろう。
だが、そんな者をフォローするためにも、オルディナツィオはチームで活動している。
「そんな顔するなって!今日の任務は俺と一緒だ」
「あ、足手纏いにならないように頑張ります!」
「大丈夫だよ。俺も最初は怖かったからさ」
ソラキの明るい顔に、先日と同じで日菜は安心感を抱く。
———2人はある程度の準備をすると、拠点を出て任務先へ向かっていった。
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「よし。ここだな」
「モンストゥルムが3体。情報通りですね」
「あぁ。俺の技は確認してあるよな?」
「はい」
ソラキの『万射必中』は、射った矢は必ず当たるというもの。弓が武器なので、遠距離攻撃になる。そのため、遠くからの援護がソラキを主な戦い方。
だからこそ、初めての任務の日菜には、丁度いいペアだろう。
「じゃあ、まずは私がモンストゥルムを引きつけますね」
「オーケー。何かあればすぐに言ってくれよ?」
日菜は震えながらも、こくりと頷いてモンストゥルムの所へ駆けて行った。日菜がいたところからモンストゥルムがいるところまでは、10キロ以上は離れている。
しかし、日菜の技『光速俊足』は、加減をして1キロを10秒で走り切ることができる。10キロだったら2分もかからない。
「はっや。もう豆粒大だ」
駆けて行った日菜を見ていたソラキも思わず、そう言葉が溢れた。
普通、どれだけ速く走っても体に負担がかかるが、日菜の技はどれだけ速く走っても負担が軽減される。
日菜はそれを応用して、足以外の部分も光速(高速)で動かすことができる。
(こんなに近くでモンストゥルムなんて見たことないっ………!)
モンストゥルムは大体が体長2メートルを超える。
〔香!大丈夫か?〕
恐怖で体中が震え、うまく思考できていない日菜に、インカムでソラキが連絡してきた。日菜は我にかえることができ、渡されていた小型ナイフを取り出した。
〔大丈夫です。今、引き付けます。〕
〔あぁ。失敗してもいい。俺がなんとかするからな。落ち着いてやれ。〕
〔…………………はい。〕
インカムから日菜の恐怖を感じ取ったのか、ソラキが柔らかい声で助言する。
日菜がつい少しだけ笑ってしまった。が、モンストゥルムが中々日菜の方に注意を向けない。なので、日菜はナイフで攻撃しようと決めた。
幸い、暴れておらずただそこら辺を歩いているだけなので、光速俊足で近づいてナイフで小さな傷でもつければ日菜に敵意を向けるだろう。
日菜はモンストゥルムの後ろに回り込み、前に行く時にナイフを振って体に小さな傷をつけた。モンストゥルムは傷をつけたのが日菜だと理解したのか、鳴き声をあげて日菜を追いかけに行った。
〔ソラキさん!今、そちらに向かいます!〕
〔準備万端だ!〕
日菜はモンストゥルムが自分を見失わないで、追い付かれないスピードで前の方を走る。1分ぐらいすると、ソラキの弓を構えている姿が見えた。
〔香!左右どっちかに方向転換!〕
ソラキからの指示に、日菜は急激に加速して右に方向転換した。日菜がいなくなったことで、困惑しているモンストゥルムの額の真ん中に、ソラキの射った矢が3体とも命中した。
日菜はその光景を見て、少しだけ茫然としている。
「すごい………」
「ありがとうな」
高所から降りてきたソラキが弓を背中にしまう。
「香もいい動きだった!じゃ、拠点に帰ろうか」
「はい」
日菜はナイフを腰にある鞘にしまって、ソラキの後について行って、2人は拠点に戻って行った。




