月光 過去と理由
月光は普段からルナとソラキが騒いで、それをマイが怒鳴っている。いつも騒がしいところだった。
だが、今日は珍しく静かだ。
別に何かあったわけではない。ただ、今日の気分というだけ。
そんな中、ルナがいつものように日菜に元気よく質問した。
「ねぇねぇ、なんで日菜ちゃんはオルディナツィオに来たの?」
「えっと、子供の頃からの憧れだったんです」
「へ〜、昔、助けられたとか?」
「いえ。でも、両親からオルディナツィオについて色々と聞いていましたから」
日菜がオルディナツィオに入った理由として、何か特別なものは何もない。ただ、子供の頃からの憧れだったから。それだけだ。
だが、日菜は心の片隅、日菜自身でも気づいていないところで「オルディナツィオに行かなくては」と思っていた。
「ルナさんは?」
「私はね、友達をつくるため!」
「友達……?」
「鬼人は、子供の頃に親と離れ離れになって、大人になるまでほとんど1人で暮らすの。だから、ここなら友達も仲間もできて、1人じゃないでしょ?」
ルナが言った言葉に日菜は心が痛んだ。
日菜は父親が幼い頃に亡くなることはあっても、母親に多くの愛情をもらいながら育った。親と離れ離れになる、ということは日菜には想像のできないことだった。
「別に私は大丈夫よ!せっかくなら、月光全員聞いてみよ!」
「ならまずは俺からな。俺は父さんの跡を継いだんだ」
「ソラキさんのお父様もオルディナツィオだったんですか?」
「あぁ。今でも憧れの存在だよ。父さんも弓使いで、俺の技は父さんのを受け継いだんだ」
技を家系で引き継ぐことはよくあるが、その家系は代々親の仕事の跡を継ぐことが多い。その方が、己の技に合っているからだ。
「マイは……」
「私は、技の力をコントロールできるようによ。今でもできてないけど……」
技のコントロールができない人は一定層おり、強いチームに入ったりしてコントロールできるように目指すのも一つの道だ。
反対に、技をコントロールできない人用に、抑制剤というものがある。それを服用しながら普通の生活をしている者もいる。
とにかく、技がコントロールできないことは、技が強力であればあるほど危険なことだ。
「リーダーは……、って、私一度もリーダーがなんで入ったのか聞いたことない!」
「俺もだな」
「私も」
奥で本を読みながら4人の話を聞いていたユヅキ。ルナ、ソラキ、マイの3人はユヅキがオルディナツィオに入った理由を聞いたことがないので、「教えろ教えろ」と騒いでいる。
「俺は秘密だ」
「ズルい!」
「「「教えろ!」」」
3人の息の揃った声にユヅキは笑って、別の部屋に行った。
(私は何すればいいんだろう………)
日菜は4人のいざこざを目を丸めながら見ていただけだった。




