表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
no_title 題名のない物語  作者: 藤原 アオイ
第一章 project angel
32/68

揺らめく影と蜃気楼 2

 30


「C組の生徒は来てください。」


 写真撮影。座っている間にシワになってしまった制服をピンと伸ばす。


「画像処理でなんとかなるから大丈夫だろ?」


「気分的な問題なので。」


 そういう彼のネクタイは少しずれている。僕は彼に近づき、ネクタイを締め直す。


「ここを、こうして……。」


「お前は、オカンか。」


 そういうつもりではないし、深い意図もない。ただ、どこからか冷たい視線がくる。気のせいだと思いたい。


「このひな壇に立って。うーん、もうちょっと寄ってー。そうそう。いい感じ。じゃ、撮るよー。ハイ、チーズ。」


 パシャ。

 チーズのズのタイミングで撮ったら大失敗だと思うのだが。


「みんなのクラスはー?」


「「C(シー)」」


 パシャ。

 なるほど。この手があったか。


「終了でーす。お疲れ様でしたー。」


 はい。マジでお疲れです。帰りたいんです。


「C組のみんなは教室に行ってー。」


 担任らしき先生の声。教室がどこにあるのかなんて知らないのだが。とりあえず体育館を出て校舎に入る。

 制服採寸の時と同じ下駄箱。スチール製で、上に消臭剤が置かれている。消臭剤置くくらいなら、天井かどこかに換気扇でもつければいいのに。なんて思いながら人の流れについていく。

 半分以上が内部進学だからできることである。当然だが、僕は内部進学ではない。


 階段を上り、ロビーのような空間につく。教室には、その場所を通らないと行けないらしい。C組は、階段から対角線上にある。今更ながら各フロアごとに地図が貼られていることに気づく。

 ここは二階だから、職員室とか、保健室があるフロアか。ずっと見ているわけにもいかないので早々に切り上げて教室に入る。


 あいうえお順の出席番号だから、当然の如く後ろの方。窓際の後ろの席。天国なのか。斜め前の方の席には、採寸の時に会った人と、迷子の人が隣の席になっているのが見えた。


「嘘でしょ。『かぐや姫』と同じクラスって。」


 隣の席の女子がそう言った。


「あの、『かぐや姫』ってどういうこと?」


 できるだけフレンドリーに話に入る。


「君、外部生だから知らないのか。あの外部生、藤原ミツキだっけ。めっちゃすごい能力者なのに、Cランクだったり、めっちゃ人見知りだったりと、まぁ噂が絶えないわけだ。で、あの美貌から非公式な二つ名として『かぐや姫』って呼ばれてるんだってさ。」


 あの迷子の人、藤原ミツキっていうのか。

 いいことを聞いた気がする。


 先生が教室に入ってくる。騒いでいた生徒が席に戻る。

 その後、普通に礼をして、着席する。バトル用のアリーナの説明のプリントが真っ先に配られた。もっと優先すべきものはないのだろうか。

 そこには、申請だけで生徒同士の決闘ができること、お互いの同意がないといけないことなどが書かれていた。


 あとは学校生活における諸注意のプリントが配られた。

お読み頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ