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no_title 題名のない物語  作者: 藤原 アオイ
第一章 project angel
31/68

揺らめく影と蜃気楼 1

入学式。

 29


 入学式の日。

 僕は、あの人と再会した。


 ――――――

 入学式が終わる頃。


 退屈な校長の話。入学式の会場である体育館にかれこれ十五分くらい響いている音の正体である。有意義な話なのだろうけど、僕の頭には入ってこない。とにかく長い。長すぎる。来賓も気を使って三分ほどで話を終わらせたというのに。


「……であるから、」


 嘘だろ。まだ続くのか。絶対誰かが「校長の話がどれくらい続くか」というテーマで賭けをしているに違いない。そしてその場合僕は負ける。なぜなら五分くらいで終わると思っていたから。


「……では、これからの三年間、」


 もうすぐ終わるような気がする。というか、早く終わってくれ。パイプ椅子だとしてもキツいものはキツいんだ。早く寮に帰らせてくれ。いや、初めて入るから「帰る」ではないのか。教頭らしき人の声が聞こえる。


「起立、礼、着席。一年生はこれから集合写真を撮りますので、まだ教室に行かないでください。」


 え……。配られたパンフレットには「下校;十一時半」と書かれていた。裏面は入学者名簿になっているらしいが、僕は見ていない。


「よっ。久しぶりだな。」


 制服採寸のときの人に話しかけられる。


「同じクラスか。よろしくな。」


 整った顔立ちに割と高い鼻。モテそうだなと思った。


「ああ。よろしく。」


 とりあえず握手をしておく。

お読み頂きありがとうございます。

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