突然の事故
「どんどん空いてる所に行ってテスト終わらせてくれー」
そう言い残して担任の河田はどこかに消えてしまった。
「たーかー!一番あっちの所空いてるよー!二階だけどさー」
俺がどこでテストをしようか迷っているといのりが話しかけてきた。
「確かに遠いけどあまり人が行ってないな」
テストは3種類の幅跳び、50m走、握力計だ。テストをする所は2ヶ所ある、1つ目が体育館1階で、2つ目が体育館2階だ。
「みんな移動をめんどくさがって7~8割くらいが1階でやってるね~」
いのりは空いている2階に行こうと提案してきたのだ。
「じゃあ、行くか」
特に断る意味もないし、2階の方が今なら早く終わるかもしれない。
「じゃあ、レッツーゴー!」
少し歩くと、いのりが
「ねぇ、たかー?なんでうちらって戦争してるんだろうね」
などと
2階に向かう最中に、いのりはそんな事を聞いてきた。
「そんなの、わかりきってることだろうよ」
そんな事は言うまでもなく、わかりきっていた。俺たち魔法を使えない人類が魔法を使える新人類を敵視したからだ。
「魔法を使えない俺たちは魔法を使える魔女たちがこわくなったんだろ、仕方ないさ」
そんな言い方をしていると、まるで俺は魔法が使えるみたいな話し方だと自分で思ってしまった。
「だよねぇ~平和が一番なのにねー!」
いのりはいつものテンションに戻り、2階に上がるための階段を1段飛ばしでかけ上がっていった。
「ほらほら遅いぞー?たーかー!」
今にも踏みはずしそうで俺は
「こけるなよ、いのり」
と警告した瞬間だった。
「あ‥‥」
と言う、いのりの声と同時だった。
「‥‥痛いからどけよ!」
いのりが降ってきた。
俺がちょうど踊り場にいたから被害は少なかったものの。
「うぅ‥‥」
被害は少なかった。
それはこの状況を改めて見ると「俺だけが」だった。
「いのり!?お前‥‥頭から血が出てるぞ!?大丈夫か!?」
いのりは俺を避けようとしたのか変な所に頭をぶつけてしまったようだ。
「少し痛いかもしれないが、運ぶぞ!保健室に行かないとヤバイだろうから」
そっといのりを背負った。
そして刺激を与えない程度に俺は急いで保健室に向かった。
「ごめんね‥‥たか迷惑かけちゃって‥‥」
いのりは辛うじて意識はあるようだ。
だがもしかしたらかなり危険かもしれない。
「悪いが、いのり少し黙ってろ」
俺は刺激を与えないように運ぶので手一杯で話してる余裕なんてなかった。
「保健室のベッドで寝てろ、すぐに先生を呼んでくるから」
保健室についたものの、保健室の先生は不在で俺はいのりをベッドに寝かせ、職員室に向かうことにした。
「こらー!廊下は走るな!」
職員室までには多少距離があり、俺は歩いてなどいられなく、もうダッシュをしていた。
「今回だけは見逃してください!!」
そう言ってどこかのクラスの先生に詫びを入れながら職員室に駆け込んだ。
「保健室の先生はいますか!?怪我人がいるので至急、手当てしてくれませんか!?」
職員室に入ると同時に俺は保健室の先生が誰かわからないため、大声でそう叫んだ。
「その人は今、どこにいるのかい?」
目の前で何かの仕事をしていた先生が俺の前に来て、そう言った。
「保健室に運んできたので、お願いします!」
その先生は俺の目を見て、軽くうなずくと同時に
「話を聞きたいから君も一緒に保健室まで来てくれ」
と言ったので
「元よりそのつもりです!」
俺はいのりが心配だ、いのりを放っておいてテストなんて受けていられない。
「よし、わかった。
では早く行こう」
そして少しでも早く着きたいと思う気持ちでいのりのもとへと向かった。




