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夫が隣国の聖女と「運命の恋」に落ちました~離縁され激怒した青炎の聖女は何をするかわからない!厄災を振りまき自首しました~  作者: カンテラ澪


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6/14

6 青炎の聖女、自首します

⌘

アン、カート領で元上司との再会。


「アンジェ、お前の身に何かあったかと、生死も不明、周辺国からの照会もなく、助けようがなかった、許せ」


「レイヴァン殿下、それは影の運命、覚悟はできておりましたが」


「何かあったのだな」

「はい、ブラックが裏切り、二重の影に」

「何?カート領から採用したあのブラックか」

「はい。ですから本国の網は使えず、ご連絡もできませんでした」


アンジェはこれまで起きたことをかいつまんで元上司に話した。


「それで、ロベリアで処刑前に、公爵夫人に救われたら、それが青炎の聖女だったのか」

「はい、契約魔法で裏切れぬように誓っていましたが、この書き置きをおいて姿を消されました」


スカーレットの書き置きを見せるとレイヴァンが難しい表情になった。

「アン、というのはアンジェのことで間違いないな」

「はい」

「つまり、アンジェを自由にし、スカーレット嬢は決着をつけに行く、どこへ向かったかわかるか」


「全く。まさかロベリアへ戻られたということは」

「公爵領とカート領に厄災を落としておいて、わざわざロベリアへ戻るとは思えぬが」

「ずっと、領民を心配しておられました」


「まさに聖女の鑑だな。公爵夫人としての手腕はどうだった」

「領地経営を一手に引き受け、大変良い状況でした。使用人からも領民からも慕われておられて。殿下、私はどんな罰でも受けます。スカーレット様をお助けください、お願いいたします」


「あれほどの聖女を失うわけにはいかないだろう。まずは王城へ戻って情報収集をやり直すべきだな、私についてこい、今後の話はスカーレット嬢を保護してからだ、いいな」

「はっ!」




⌘

ヴァルカン王国、王都への道。


その頃、私はヴァルカンの王都に向かっていた。

馬を手放し、そのお金で乗合馬車を乗り継いで安い宿に泊まる。


少しずつ王都に近づいていく。

馬車の中でカート男爵領の話に耳を傾ける。


「カートの領主様が大変なことになったらしいよ」

「聞いた聞いた、王様の決めたご縁を勝手に壊したらしい」

「お隣の国にも迷惑をかけたってね」

よく喋っているわね。


「木も生えない土地になったってさ」

「青い炎が土地を焼き尽くして、きっと神様のお怒りだよ」

「そうらしいね、住人はみんな他の領へ逃げちまったそうだよ」

逃げられたのね。


「あの辺りで薬草はもう採れないってよ、あんた薬草売りだろう」

おばあさんから声をかけられた。

「は、はい、そうです」

「あっちの方へ行っちゃだめだよ」

「あ、ありがとう」

「まあ死人は出てないってさ」


噂話を聞いて、ほっとする。

領民が無事で良かった。これで思い残すことはないわ。



⌘

ヴァルカン王国、王城。


ああ、やっと着いたわ。

目の前に聳え立つヴァルカンの王城。

離婚してからすでに十五日が過ぎた。


大きな門はもちろん閉ざされている。

王族の馬車が通る時、貴賓の訪問がある時以外は開かない。


その横に騎士団の詰所がある。

そこで声をかけた。

「あの、騎士様、よろしいでしょうか」

「薬売りか」

「いえ違います」

「王城に用があるのか」

「はい、わたくし、カート男爵領を焼き尽くした者です」


「……お嬢さん、騎士団の詰所で、そんな冗談はいけない」


「いえ本当です。わたくし、ロベリア王国のスカーレット・ブルーレと申します。審問官の方に会わせてください」


そう言って、ローブのフードを外す。

薬草の染めは、あの湖ですっかり落ちていた。短くなった青い髪があらわになる。


「……まさか、青い髪……。君、ここで待つように」

そう言って門番の騎士は奥に引っ込んだ。


すぐ別の騎士が出て来て、馬車に乗せられた。

王城の奥へと移動し、一つの落ち着いた部屋へと通される。


どう見ても高位貴族向けの重厚なしつらえの部屋だ。

ここで尋問されるのかしら。


しばらく待っていると、ドアの外が騒がしくなって、突然扉が開いて一人の男性が入ってきた。


「スカーレットか」

「はい、自首をしに参りました」


その男性は席を勧め、私の前に座る。

騎士服を着ているけれど所作が洗練されている。

かなりの高位貴族だわ。


「お初にお目にかかる。レイヴァン・ヴァルカンだ」

これは、まさかのヴァルカン王国・王弟殿下。

どうしよう。


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