みんなでテーマパークへ行く(1)『デスクのひきだし』
「さぁ。今日はデズニーワールドに行くわよ」
エルフの賢者が唐突に発したこの言葉が原因で今自分たちはデズニーワールドに向かっている。
超絶可愛い女の子のエルフの賢者と、母性本能をくすぐる小さな男の子。
メイド服を着た金髪の少女と銀髪の少女。
そして・・・俺っ!
デズニーワールドに向かう電車の中で、まわりから注目の的だった。
「なんでおまえが一緒にいるんだよ」という男性からの嫉妬の視線。
んな事自分でもよくわかってるわぁっと叫びたいが叫べない。
自分でもこの4人とでは住んでる世界が違う事ぐらい・・・実際に異世界人だし。
4人と自分を比べてしまうとなんともいえない疎外感?アウェー感を感じてしまう。
「君はそんな事感じなくていいのよぉ」
・・・ほらなっ、すぐ人の心を読んで・・・
なんでもお見通しならぬ、完全に心の中がバレバレなんだもんなぁ。
賢者たちはこの世界のお金もちゃんと持っている。
この世界には何人もスパイ?のような人たちがいて、
ちゃんとお金を稼いでいるらしい。
しかも貯められたお金の金額は、
都心部に家でもなんでも余裕で買える金額だった。
魔法とか使える人からしてみれば、
自分たちの世界でお金を稼ぐ事なんか、
いとも簡単な事なのかもしれない。
「ほら、もう着くわよ」
っと、頭の中でいろいろ瞑想してる間に目的地であるデズニーワールドにつく。
ホームに降りる時の周りの視線が痛い。
背中に異母兄弟ですって張り紙でもしておけばよかった。
持病のために、今まで一度もきた事がなかったテーマパーク。
初めてくる相手が、異世界人なんてこの世に自分だけだろう。
って感慨にふけってる間に、
金髪の少女と銀髪の少女の2人を囲むような人だかりができてるし!
「ちょっ、おまえ何やってんだよ。
すいません。
うちの妹なんで、すいません。
キャストとかじゃないですから撮影はちょっと・・・」
・・・何やってんだ俺って賢者2人は・・・
2人の手を握って、駅を出てテーマパークの入り口に早足で向かう。
「ってなんでお前らはテーマパーク行くにも、
どこに行くにもメイド服なんだよ?」
「これは賢者様が用意してくださった服よ。
着るのが当然でしょ」
金髪の少女が手を振り解いて言う。
「んでっその大切な賢者様と、もう1人の小さいのはどこ行った?」
姿が見えない2人の賢者、銀髪の少女に聞くと、
「すいません。
僕たちもこの人たちに囲まれちゃって・・・」
「おっけー
要するにだ、テーマパークに入る前に、
あの2人は迷子になった訳だ」
「あなた何を言っているの?
賢者様が迷子になんてなる訳ないじゃないの。
迷子になったのは、私たち3人の方よ」
「・・・おまえって本当にぶれないよなぁ
賢者様を信じてるっていうか、
賢者様はすべて正しいって感じで」
「そんなのもちろんよ!」
金髪の少女は自信満々に当たり前だとばかり答える。
こいつからしてみれば賢者様ってのは完全に神なんだろうな。
「わかった。
俺たち3人が迷子でいいから、
とりあえず2人を探そう」
「なら僕はあっちを探してきますね」
銀髪の少女はチケット売り場の方向を指差してかけていく。
「ちょっ、ちょっと待て、
今俺たちがバラバラになったら」
俺らまでバラバラになったら、もう家に帰るまで合流できない気がするんだが、
銀髪の少女に自分の声は届かず、人混みに消えて言ってしまった。
「ああ・・・残ったのは、よりにもよっておまえだけか」
金髪の少女を見てため息をつくと、
金髪の少女も同じように首を振ってため息をつく。
「こんなゴミと一緒にいないといけないなんて、
あとで賢者様に言って、
この記憶は消してもらいましょ」
・・・おいっ
「おまえ記憶消してって、
おまえにとって俺と一緒にいる事って
そこまで嫌な事なのかよ」
「当然よ!」
・・・
「なぁ、異世界で俺がおまえに何をしたのか、
本当にわからないんだ。
だから許してくれって言うのも変な話だけど、
今日だけは協力してくれないか?」
「あなた、バカなの?
あなたが私に何かできる訳ないじゃない」
「はひっ?!
いや、異世界で俺がおまえに何かしちゃったから、
おまえは俺を親の仇のような感じで
振舞ってんじゃないのか?」
「なにその親の仇って?
あなたに何かされたら、
速攻でやり返してるから、
私があなたを恨む必要なんてないわ」
「なら、なんでおまえはそんなに俺に冷たいんだよ」
「無能なゴミだからよ」
・・・無能なゴミ・・・そっかぁ、俺は悪い事をした訳ではないのかぁ、
こいつが、俺を嫌いな理由は、俺が無能なゴミだからかぁって
「なんじゃそれ!」
「魔法の1つも使えない。
街に行く時だって、
毎回賢者様にお姫さま抱っこされて」
おっ、お姫様抱っこ!!!
「本当にあなたはなんの役にも立たない
穀潰しのような存在で、生きている価値なんてない。
ただのゴミなのよ」
生きてる価値ないゴミって・・・
やべぇ、なんかやべぇ、俺の心が壊されてく。
「はいはいはい。
デスク、そこまでよ。
あまり私のかわいい弟をいじめないで」
ぱっと声のする方向を見ると、エルフの賢者が立っている。
その背後には黒服の男が数人倒れていた。
「賢者様、
大変申し訳ありません」
「いいのよ。
あなたは聞かれた事に対して、
正直に答えただけですもの。
ただ、私の弟はそんなに心が強くないから、
ほんの少し手加減するのを忘れないでね」
「っておまえ今までどこ行ってたんだよ。
それに、その後ろに転がってる人たちはなに?」
「この人たちは、電車に乗ってる時から、
私たちに見張るような視線を送ってきてた人たちよ。
ちょっと捕まえて、いろいろと聞き出した所よ」
・・・いや、完全に意識失ってるし、魔法使ってとんでもない事やらかしたんだろ。
「チビも他のを追ってるわ。
もうじき帰ってくるんじゃない」
「・・・」
「この世界で賢者様を追うような不届きな輩が?」
「まぁ、この世界の人たちではないかもしれないわね
他の世界から、
この世界に来てて、
偶然私たちを見つけちゃったとか。
だから安心していいわよ。
どうせ、私にはかないっこないんだし」
賢者は笑みを浮かべたまま話すが、金髪の少女は眉間にしわをよせて、黒服の男たちを睨みつけている。
「この人たちの処分は私がやってもよろしいでしょうか?」
「ええ、
デスクがそうしたいんだったら、
デスクにまかせるわ。
ただ、今日は遊びにきたのだから、
彼らは一旦引き出しの中にでもしまっておきなさい」
「賢者様、ありがとうございます」
金髪の少女はそういうと、軽々と片手で黒服の男たちを持ち上げていく。
そして、メイド服のポケットの中に彼らをぐっと詰め込んでいく。
エルフの賢者はあれを引き出しというが、
自分から見れば、某アニメの四次元ポケットのようにしかみえない。
どんなものでも、どんな大きな物で、不思議とあのポケットの中に入ってしまう。
そして、どれだけポケットの中に入れても、あのポケットが膨らむことはない。
「あとで、しっかりお仕置きしてあげるから、
あなたたちは、この中で待ってなさい」
金髪の少女が意識のない黒服の男につぶやく。
ああ、こいつらマジ死んだな。。。
どんな拷問がされるのかはわからないが、あの金髪の少女が本気で怒っているのだから、それなりに酷いことになるのだろう。
なんだか、無敵の賢者に目をつけた黒服の連中が可哀想になってくる。
しかし、あいつらと一緒にでかけると、なんでこう問題ごとが起きるのかね。
まだテーマパークに入ってもないってのに、もう問題が起きてる。
しかも今回の問題は同じ異世界人かもしれないとか。。。
エルフの賢者が世界の記憶を改竄する事で、
少しずつ歴史のズレが発生して、
他の異世界人まで、この世界に来てるなんて事は、
俺の考えすぎか?




