異世界2日目エルフの城(1)『ザ・イセカイ』
門の前には、入城者を1人ずつ確認する機械が置かれている。
どっからどう見ても、改札機だ。
この形状は、どこの世界に行っても同じなんだな。
思わず、鼻で笑ってしまう。
お城の前に改札機という絵だ。
ここはテーマパークの入り口かって。
「それじゃ、ここに手の平を当ててぇ」
機械の光っている板の上に手を当てる。
手の甲に入り口の建物で書いてもらった魔方陣が浮かび上がる。
魔方陣は光の粒となってすぐに消えてしまう。
もう一度、手を当てるとまた魔方陣が浮かび上がり、光の粒となって消える。
やばい、これちょっといいかも。
今明るい時間帯なので、光の粒が見えにくいが、
これ夜にやったら結構かっこいいはず。
「君、それを直した方が良いって何回言わせるかなぁ」
賢者の冷たい視線が突き刺さる。
「すいません」
賢者に頭をぺこりと一度下げ、自分が通り過ぎるのを待っている騎士にも頭を下げる。
いかんなぁ。自分のこういう所は本当に直さないと。
門をくぐり、城の中に入るとはさすがエルフの城だと言える光景が広がっている。
城の玄関ともいえる場所だろうか、
横幅は50メートル以上あり、
大きな円柱の柱が何本も立っている。
学校の運動場などをゆうに越える広さだ。
中央には幅5メートルはあるだろう。赤い絨毯がまっすぐにひかれている。
この景色、なんで今手元に携帯がないのか。
もの凄く悔やまれる。マイ携帯!!!!
「賢者様よろしいのですか?」
「いいわよぉ。きっとぉ、
自分から抱きついてくるからぁ」
ノヴァと賢者の会話を無視して、広間のあちこちを見て回る。
柱をぐるっと回り、じっと立っている警備兵に手を振って見たりと、完全に観光気分だ。警備兵は自分が近よっても視線1つ変える事がない。
機械人形って訳じゃないよな?
この広間のかなり高い部分には窓がいくつかあり、
そこから光の道で絨毯を照らしている。
いやね。やっぱ異世界ってこういう所だよなぁ。
これぞ、ザ・異世界っと言ったところだ。
柱と柱の間を通り絨毯に戻る。
後ろをゆっくりと歩く賢者とノヴァに手を振って、1人で先に進む。
いいね。異世界。なんというか規模がでかい。
浮遊大陸もあの高い壁にしてもとにかくでかい。
こんなの自分の世界ではみた事のない広さだ。
広間の奥を指さして足を進めている途中だった。
ふっと自分の身体が浮いたような状態になり、景色がいきなり真っ暗になる。
「はにゃっ?!」
地面に尻餅をついたが、地面が柔らかくて痛くない。
右を向いても、左を向いても真っ暗だ。
何がおきた?
ひんやりとした空気が流れる真っ暗な場所。
いきなりの事で頭が働かない。
立ち上がり、手を前に伸ばして暗闇の中をさまよう。
ここはどこ?!?!
・・・自分はお城に入って広間を歩いていた。そしてこの暗闇。
落とし穴?
はっと思い浮かび上を見上げるが、上に明かりはない。
暗闇の中、賢者ともはぐれてしまい、これはもしかしてやばい状況?
お城の広間にテンションが上がり、
興奮状態となった賢者の弟子は、今になって現在の状況に恐怖する。
暗闇で、床や壁はもちろん自分の手すら視認できない。
震える足、顔からどんどん血が引いていく。
冷たい汗がほほをながれる。
気持ちを落ち着かせる為に、深く息を吸いゆっくりとはき出す。
それを何回かおこない冷静さを取り戻す。
ひんやりとした冷たい風が吹いている。
だから、ここは閉ざされた空間ではない。
どこかに出口はあるはずだ。
ここに来てから、
もう1分か2分たっているのになんであのクソ魔女は助けに来ないんだ。
今日2度目の迷子?
「ちょっと、本当に・・・」
気持ちを落ち着かせたと言っても、暗闇の中、常人には普通の精神を保つのは難しい。
賢者の弟子は叫ぶが、声はどこにも反響せず帰ってこない。
「ちょっ、マジかよ。いきなり?こんなのあり?」
異世界にきて、お城に入り、喜んだのもつかの間、真っ暗闇の中だ。
こんな不条理ってあっていいのか?
漫画とかアニメだったら、転移した人は特別な力とか与えられたりとかして、
超VIPじゃん。なのに、何これ?この扱い?おかしくないか?
もしかして、これで俺の人生終了?
体力でもかなりの劣っている。
知識でもエルフの知識にはとてもかなわない。
ミエがいたり、他にも転移した人がいる。
この世界に俺って本当に必要なの?
暗闇の中、足取りは重い。
今はただ、風がながれてくる方向にこの世界に絶望しながらも足を進める。
最後までお読みいただきありがとうございました。




