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異世界2日目エルフの街(3)『まいごの弟子』

「賢者様ごめんなさい。本当に下ろしてください」


賢者の胸に触れている事を知って、泣いて懇願する賢者の弟子。


「仕方がないなぁ」


泣いた子供をあやす母親のような笑顔をするエルフの賢者。


エルフの賢者が、金髪の少女を後ろに下げさせる。

そして小人の賢者に指示を出す。

追いかけてくるエルフの女性陣の数を減らす為に、

大通りから細い通りへ、そして路地への誘導する。

エルフの賢者の頭の中には、この街の地図が入っている。

だから、どのような状況になっても逃げようと思えば逃げられるのだ。


「そこぉ右ぃ」


小人の賢者は、2人を持ち上げたまま、路地を右に曲がる。

路地には、多くの露店が並んでおり、道はかなり細くなっている。


「そこの路地を左にはいってぇ」


路地を左に入って、階段を上る。

階段には何人もエルフ族の女性が立っていたが、

視線は、持ち上げられた2人に集まる。

階段の段差が小人の賢者の姿をみえづらくする。


「階段の踊り場でぇ、右の通路に飛んでぇ」


エルフの賢者と小人の賢者の息はぴったりである。

これならなんとか逃げ切れる。

そう思った一瞬である。

右の通路に飛ぼうとした小人の賢者が階段でつまづき転び。

持ち上げられていたエルフの賢者と賢者の弟子は、

踊り場の片隅に置かれていた樽に激突。

抱きかかえれていた賢者の弟子は、樽を越えて地面に激突。


地面への激突はそんなに痛くなかったが、樽への衝突は痛い。

息ができない痛みを味わい苦痛で顔をゆがめる。


起き上がると、階段を駆け上がってくるエルフの女性陣。


「こっちぃ」


エルフの賢者の声を聞いて、エルフの賢者を追いかけ階段を上る。

しかし、体力測定で6歳と評価された身体だ。

階段を駆け上がるなんて、そんなにできる訳がない。


「もう限界。無理!」


賢者の弟子は、腰を折り頭を下げて体力の限界を訴える。


すぐ後ろにはエルフの女性陣。


あんな群衆に捕まったらと、頭の中で想像する。


エルフの賢者はすぐに引き返して、賢者の弟子を助けようとするが間に合わず。

賢者の弟子がエルフ族の女性陣に飲まれようとした瞬間、銀髪の少女が賢者の弟子の腕を掴んで空へと投げる。


上空から見ると、ものすごい数の女性が階段を駆け上がっていく、お目当ては小人の賢者だ。

露店で働くエルフの男性陣は壁により、道をあける。


賢者の弟子は上空から地面に叩きつけられるその瞬間を覚悟して目をつむる。

運良くあの柔らかい地面に落ちたとしても、それなりに痛いだろうし、さっきみたいに樽や建物に激突したら多分即死だろう。

肩で息を吸い、落下する中考える。


・・・みんな俺の事ガン無視なんだけど。


この女性陣の追いかけている相手は、小人の賢者。

賢者の弟子を追いかけている訳ではない。

エルフの女性たちは、上空に投げ飛ばれた自分の事など見向きもしない。

ただただ、自分はエルフの賢者にお姫様抱っこされて、はずかしめを受けただけなのではないだろうか?


「随分な余裕ね?

 このまま落下して、本当に生ゴミにした方が良いのかしら?」


声に反応して、パッと目を開けると金髪の髪をなびかせた少女の姿見える。

金髪の少女は優しく自分の体を引き寄せ、ゆっくり地上に降り立つ。


「ふんっ」


「あっ、ありがとう」


金髪の少女は自分の感謝の言葉を最後まで聞かずに、エルフの賢者と小人の賢者の後を追いかけていく。


・・・俺、命狙われてたんだよな?あいつって俺の護衛の為についてきたんじゃないのか?


なんか俺が逃げる意味まったくないじゃん!


賢者の弟子が思った事はもっともである。

彼が逃げる必要は一切なかった。

ただ、その場の雰囲気に飲まれ、彼も逃げてしまったのだ。


女性の一団が通り過ぎると、そこには、賢者の弟子のみが立っている。

一団がすぎる間に呼吸もなんとか落ち着かせた。


エルフの賢者も小人の賢者も金髪と銀髪の少女の姿も見えない。


異世界に来て、初めて訪れた街で、賢者の弟子は、はぐれた。


さて、どうしよう。

知っている人なんてのはいない、どうすればいいんだろう。

マジで困った。

城に行くって話していたけど、城がどこだかまったくわからないし、

書いてある文字はまったく読めない。

とりあえず城の場所を聞くか。


さっき露店を見かけた事を思い出し、階段を降りる。

この階段の素材も、衝撃吸収素材だ。


樽から落ちた時に痛くなかったのは、この素材のおかげだな。

この素材、マジでいいな。いつ倒れてもいいように、家のリビングに欲しい。

・・・って、魔法で病気を治してもらったのに、なんで未だに病人だった頃と同じ心配をしてんだ。。。

考え方はそう簡単には変わらんね。


階段を降りると、騒ぎに巻き込まれた露店が片付けをしている。

その姿をみていると本当に申し訳なくなる。

うちの賢者と、ちびっ子賢者のせいで・・・


露店で働いているのはみんな男性なんだけど、

ちょっと違和感がある。この違和感はなんだろう

頭の中で色々と考えるが、違和感の正体がわからない。


一番近くで片付けをしていた男性に城の場所を聞き、

城に向かって歩き出す。

目的地が城っていうのは、賢者が話していたんだし、

城に向かって歩いていけばそのうち合流できるだろう。


露店のあった通りを抜けると、結構広い通りに出た。


さすがにこの道は、あのちびっ子賢者には無理だな。


細い道を使った方が遭遇する率は上がるだろうが、

そもそも道がわからない。もうこの広い道を行くしかない。


教えてもらった道をまっすぐに歩いていく。

不思議な事に、女性と子供しか歩いていない。

しかも、女性から結構ジロジロと見られているのがわかる。

男性はもしかして、この道禁止なのか?

教えてくれた人は、そんな事は言ってなかったよな・・・。


元の世界にいた時のように道路の隅を歩いているんだけど、女性の視線が痛い。何度か服装もチェックしたが、ズボンに穴が空いているとかでもない。

自分に視線が集まる理由がわからない。正直、この異性の視線というは厳しい。気持ちが悪くなってくる。

なんで、こんなに異性から視線をあびないといけないんだろう。

もう最悪の気分だ。

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