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幽閉王女は考える。「うん、これから考えよう」  作者: 池田ん


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9/11

9

運良く、一撃で気を失ってくれた。

もちろん私にとってだ。


私はすぐに手近に畳んで置いていた部屋着で、倒れた男の両手を後ろ手に縛る。

男が持ってきた大きめの灯りが大活躍だ。


腰からベルトを外し、それで足首を縛る。

少し焦って、ちょっと揺らしちゃったけど、大丈夫、まだ男は目覚めない。


触るのは嫌だったけど、男のズボンを太ももくらいまで下げる。

ついでにポケットの中も探すと、小型の刃物が出てきた。

それに慌てて、上着のポケットも探す。

こっちにも刃物が入っていた。他に笛? 仲間がいるのかな。


まあ、いい。

他にも何かないかと、静かに服や体に触れる。

一瞬だけ、右手が熱くなった、気がする。

「……ん?」

でも今はそんなことを気にしている場合じゃない。


男が呻き声を出し始めたので、急いでシーツをはがす。それを男の頭にかぶせ、頭にぐるぐる回し雑に縛る。


――やばい、意識が戻ったみたい。


上着の襟首を乱暴に持ち、肩を抜くようにして、襟を背中に持っていく。

ピチピチの上着じゃなくて良かったわ。


鉄格子のカギが床に落ちているのは確認していたので、カギと灯りを持って、駆け出した。


鉄格子の扉を抜けて、カギをカギ穴に差し込む。

ガチャっと音がなる――閉まった!


大きく息を吐いた。

あー、怖かった。

ホントだよ、怖かったんだからね。

回し蹴りは条件反射みたいな感じで、体が勝手に動いたってやつ。

あとは前世で習ったんだよね……父親に。


何教えてんのー、と思ったよ、その時は。

「お前は相手を一撃で倒せるんだから、その後、相手の動きを抑える方法も覚えておきなさい」だって。

うん、ありがとう、役立ったよ、お父さん。


階段を焦らず、でも急いで降りていく。

暗いよー。

何度か階段を踏み外しそうになったけど、うん、こけなかった。

体幹はちゃんと鍛えられてるよ。


一階だと思うが、入り口の側に男性が一人倒れていた。

近くの部屋から灯りが漏れている。


一瞬、死んでる? と思ったけど、どうやら気を失っていただけみたい。

生きてると分かったとたん、なんか怒りが込み上げてきた。

胸倉をつかんで「起きてー」と何度も揺らしたが、呻き声を上げるだけだった。


この時はもの凄く頭に来て、私ができる最大限の水――顔の大きさくらい――を頭から、バシャンとかけちゃったよ。

おかげで私も濡れちゃったじゃない。


ようやく意識を取りもどした男性に向かって、状況を説明し、すぐに警備兵を集めるように指示した。

この人も警備の一人なんだろうけどね。


私の話に戸惑う気持ちもわかるけど、さっさと行ってこーい。

私は王女モードで、ちょー偉そうに、命令したら、慌てて飛び出していったよ。


扉が閉まり、一人になって、私は考えた。


このまま逃げられるんじゃない?


もし、部屋に侵入した男が、本当に私の味方だったら、これは最悪ではないだろうか。


考えても、答えがわからない。


私は、結局、どこへも行けなかった。



読んでくれて、本当にありがとう。


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