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今日も一日が終わる。
一日二食なんだけど、朝と午後。体感的には午前八時と午後三時。
早いでしょ……晩御飯のことね。
でもさ、食事を作って運んで片づけてって考えると仕方ないよね。
この塔に連れられてきたときは、まだエルネシアだったけど、エレベーターなんてなくて、階段だよ、階段。
マンションの四階くらいの高さだと思うんだけど、こんなところに毎日食事を運ぶって大変じゃない。
ここの一階に厨房があるかどうかわからないけど、日が沈んだ後に階段を上り下りするなんて、鍛錬どころじゃなくて苛めだよね。
今はね、毎日食事を作ってくれる人にも、運んでくれる人にも感謝してるよ、ホント。
私は、食っちゃ寝の生活なんだから。
いやー、王族ってやっぱり特別だよ。
灯りの魔道具はあるけど、前世のデスクライトより暗い。
明るいうちに食事して、入浴して、日が落ちたら寝る。
日が昇ったら起きる。
そんな感じかな、毎日。
もちろん起きている時は筋トレしてるし、最近は魔法の練習もしているけれど、基本は夜が長い。
規則正しい生活だけどさ、さすがに毎日十二時間ずつなんて眠れないんだよ。
今日も夜中に目が覚めてしまった。
何時かなぁ。時計がほしいな。
この世界に時計があるかわからないけど、こんな風に夜中に目が覚めた時は、切実に願っちゃう。
灯りの魔道具を点し、まずはトイレに。
いやー、暗いトイレは異世界も怖いよ。
だいぶ慣れたけど、やっぱり夜はね。
寝室に戻り、眠気もないので、水を飲むことにした。
灯りを点したまま、ベッドに座り、グラスに水をそそぐ。
もちろん魔法で!
やっぱ便利だよね。
最近氷も作れるようになった。指先程度の大きさだけど、グラスの水にポンと氷を浮かべる。
なんか夜でもホッとするよね……
……しなかった。
こんな時間に、あり得ない音が聞こえる。
軋む音。
鉄格子の扉?
えっ、マジ!
やばい、暴漢? 警備の人が血迷った??
ベッドから立ち上がり、灯りの魔道具を右手でつかむ。
その間に、寝室のドアが開いた。
扉から入ってきたのは、黒い服を着た男。
いつも来る兵士のような服じゃない。
その男は、私のものより大きな灯りを持っていた。
警備の人が持っているやつ、だと思う。
その男の顔は、立っている私を見て、少し驚いたような気がする。
あっ、鼻から下は布で覆われているから、目元だけしか見えないけど、多分、そう。
「エルネシア王女殿下、こんな時間に失礼いたします」
それでも男は動揺するほどではなかったようで、慇懃な挨拶をしてくる。
「あなたは誰」
少しずつ近づいてくる。
灯りが揺れる。
「私は、無実の貴女を救いに来たものです」
そう言って、男は私の前に跪き、頭を下げた。
私が片足を引いた動きに、男は少し顎を上げる。
うん、いい位置。
次の瞬間には、体が動いていた。
男の側頭部に回し蹴りが決まった。
読んでくれて、ありがとう。




