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幽閉王女は考える。「うん、これから考えよう」  作者: 池田ん


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25/32

続 25


リュゼンティア王国には四季があるけど、王城のある王都は、比較的温暖な気候らしい。

エルネシアがこの塔に入れられたのは初夏の頃だったと思う。

もう晩秋って感じかな。塔の部屋から見える木々も紅葉し、葉も落とし始めている。

風も冷たくなってきて、数日前に元侍女の方たちの指示で兵士がせっせと冬用の寝具や服を持ってきてくれた。


いまだに私は一人でここに住んでいる。

エイリンさんとロクセーさん以外の元侍女さんたちとも、多少会話をするようにはなったけど、あまり親しくなるつもりはない。

だって、エルネシアの魂が戻ったら、その関係も変わるでしょ。

私のわがままかな。


そして、ようやく解毒薬が完成したとの報告に薬師のミリネリンヌさんがやってきた。

効果や安全性を確認するのに時間がかかったみたい。薬はやっぱり安全性が第一だよね。


もともと死ぬ恐れがなかった仮死薬とはいえ、むやみに試せるものではないから、重罪人を対象に実験を繰り返したみたい。

そこは詳しく聞きたくない。聞いたら寝覚めが悪くなりそう。


結論と言えば、覚醒の効果はあるが問題は副作用。

解毒薬を早く与えすぎると吐き気や頭痛が、一日後だと覚醒してもしばらく麻痺は残り、二日後だと覚醒までの時間はたいして変わらない。

それなら、もう一度仮死薬を飲んで、自然に覚醒するのを待ってもいいのではないか。


安全性を高めるには配合などの調整と実験をもうしばらく繰り返した方がいいというのがミリネリンヌさんの意見。

陛下たちは、状況を一番理解している私に任せるとのこと。

エルネシアの安全は第一だが、このまま塔に居続けるのも心苦しい。

今回駄目なら、別の方法を見つけないといけない。


私としては、もう一度仮死薬を飲むだけでは駄目なんだと考えている。エルネシアの魂を強制的に起こす必要があるんだと。

ただの思い込みかもしれないし、間違っている可能性も充分ある。それに、エルネシアの体に後遺症が残ってもだめ。


ミリネリンヌさんの報告では、二日後に解毒剤を与えた場合、覚醒する時間は解毒薬を飲まない場合と変わらないが、覚醒後にぼんやりする時間が短いかもしれないとのこと。


考えて考えてそれに決めようとしたけど、ミリネリンヌさんから待ったがかかった。

方針は理解したけど、その状況での効果をさらに改善・検証したいと言われたよ。

あとひと月ほど時間が欲しいとのことで、その方針でお願いしました。王様たちへの連絡もついでに頼んじゃった。


まだ待たないといけないのは辛いけど、これも受け入れないと。

私が立ち止まっていちゃ駄目だよね。


残りひと月でやるべきことをリストアップして紙に書きだす。

ほとんどが筋トレと魔法の練習かもだけど、練習メニューも残しておきたいな。

どうせならチェック表も作っておいて、エルネシアの魂が戻った時にも続けやすいようにしようかな。


私はエルネシアの記憶を見ることができるけど、エルネシアに戻った時、『相良愛子』だった時の記憶は見えるのかな。

見えない方に一票!

そのつもりで書き残しておかないとね。


そしてエルネシアの魂が起きなかった時のことも考えておかなくちゃ。

それはまだ最悪じゃない。


天の岩戸作戦……言葉にすると、すごく馬鹿っぽい。

まあ、閉じこもったエルネシアに外の楽しそうな喧騒が聞こえないとダメだろうけど、それが伝わるように『隠密』をどうにか鍛えよう。

だって、隠れている相手が視えるんだよ。視るから『夜目』との複合なんだろうけど、『隠密』が相手から気配を消す術なら、その“気配”自体を感じ取る方向にも応用できないかな。気配探知みたいなもの?


だから最近は瞑想する時間も取り入れている。

まあ、正しいやり方なんてわからないから、どう効果があるかは謎だけど、とりあえず試す。

元侍女さんたちが部屋の掃除をしてくれている時にも瞑想してる。その時は、周りの音を拾う練習。ただ耳で拾うのではなく、音を体に入れるっていうのかな。気配を感じることを意識している。


私は筋トレが好きだけど、決して脳筋じゃないからね!


ここまで読んでくれて、ありがとうございます。


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これからもお付き合いいただければ、嬉しいです。

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