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幽閉王女は考える。「うん、これから考えよう」  作者: 池田ん


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続 21

説明回です。


主人公が推測していたものと”違う”こともあります。




三日後には、仮死薬の分析が終わったとの連絡に、ミリネリンヌさんが来てくれた。

一応、秘薬扱いなので、手紙とかではなく、直接話をしに来たようです。


結果は、異状なし……異常なしで合ってる? 要するに、すり替えもなく、なんか別のものが混ざっていたわけではなかったってこと。


安堵するけど、それならあのストーカーの計画って、どういうものだったんだろう? それを調べるのは陛下に任せるけどさ、少し消化不良。


で、仮死薬なんだけど、材料自体は決して手に入らないものではないみたい。南のほうにいる蛇の麻痺毒(毒じゃん!)と東の方に生えている鎮痛作用のある薬草、この国に生えている睡眠作用のある薬草、それに魔素水(でた、謎の薬!)と苔が必要だったみたい。

当然、私は薬の知識はないし、前世の医学とは全く別物だろうから、私の知識なんてなんも役立たないだろうけどさ、でも苔なんてどうするのか聞いてみたら、その苔って、どうやら大気中の魔素の吸収力が高いみたい。それだけでも毒には薬にもならないみたいだけど、なぜか野生の動物がよく食べるらしい。


草食動物はわかるよ。でも肉食動物もなんだって。整腸作用でもあるのかな。

理由はまだわかっていないみたいだけど、魔法薬を使用する場合、その苔が必要なんだって。毒々しくみえる原因はこの苔のせい。


かんじんの解毒なんだけど、もともと自然に目が覚める薬らしいので研究はこれから。

落ち着いて考えたら、白雪姫より『ロミオとジュリエット』でジュリエットが飲んだ仮死薬そのまんまじゃない。

だから解毒の発想はなかったみたいだけど、強制的に復活させるには、毒蛇の麻痺を解毒する血清をベースに試してみるって話。


ちなみにミリネリンヌさんは、私の秘密を知ってる人。そうでないと、エルネシア王女がどうして仮死薬やその解毒薬に関係しているのかわからないもんね。陛下との話でも、数人は協力者がいないとエルネシアを目覚めさせる方法を探すのも難しいってことで、私もそう思うから、同意したよ。


だってさ、陛下自ら解毒薬作る姿なんて想像できないじゃん。

もちろんあまり多すぎるのも、エルネシアが戻った時、困るだろうからさ。


それでミリネリンヌさんに陛下への伝言、お願いしちゃった。勇者一行に与えられた権能や術(こっちではスキルの事をそう呼ぶんだって)について教えてくださいって。


早速来ましたよ。大物でした。

宮廷魔術師のファティセイロさん。御年六十二歳。

王家や貴族って、あまり魔法を重視していないらしいけど、重視しなくても管理はするみたいなんだよね。特に権能とか術については。


権能や術について、実はまだまだわからないことがたくさんあるらしい。

はるか昔に起きた大戦の記録だって、国によって食い違う。

しかも各国は「研究成果は共有しましょう」と言いながら、自国の権能者は秘匿戦力扱い。

……そりゃ、情報もぐちゃぐちゃになるよね。


時々権能持ちが「当時の記憶がある」なんて言い出すもんだから、さらに混沌、玉石混合。

それらが事実かどうかもひとつひとつ過去の記録、過去権能持ちの発言や実際に行使できた術とかを調査・照合するのがお仕事みたい。


ファティセイロさんは簡単な魔法は使えるけれど、『(大!)魔法使い』ではないと聞いて、ちょっと残念。


今の段階で有力な説は、魔人がこの世界に突然現れた頃、すべての人類に神々から一つずつ恩寵を授かった。赤ちゃんからお年寄りまで、平等に。


でも、その名前どころか、どんなことができるのか、どうすれば使えるのか不明。

超不親切じゃない。

なんとなく力が強くなったとか、前よりも体力がついたとかその程度だったらしいけどさ。


えっ、ちょっと待って。

私が前に読んだ本と、話が全然違うんだけど。


するとファティセイロさんは笑って、

「一般に伝わっている神話と、我々研究者が考えている成り立ちは異なります」

だってさ。

まだ定説とは認められていないので、世間には公表されていないんだって。


で、話を戻すと、その恩寵がとんでもないのが、実はこれから。

恩寵を得た人が亡くなると、その人が持っていた恩寵が、なぜか他の人に移るみたい。

で、生き残った人の中に恩寵追加される。

それが、どんどん蓄積していって、だんだん術として明確になっていった。


当時は一方的に大量の人類が魔人に殺されていたから、その蓄積が進んだらしい。

魔人が登場する前と、魔王が倒されるまでの間に、人類の三分の一が死んだとか、半分になったとか。

これも明確な記録がないそうけど、そりゃすごいよ。本当に大戦だ。


だから、魔王を倒した勇者一行以外にも術を得て魔人と戦っていた人は何人もいたらしい。このあたりが国によって話が変わっていく原因のひとつ。


そりゃそうだよね。魔王がどういうものかわからないけど、魔王一人を倒すのではなくて、他の魔人にも将軍クラスとか何人もいたはずでしょ。それらをすべて勇者一行の七人だけで倒しきれるわけないじゃん。


『権能』が先に与えられたのではなく、複数の術を一人に集積した結果、それらの術を統括? 複合? そんな感じでまとめて使えるような機能として『権能』が追加されたのではないか、という説。


大戦後、権能やら術が分割され次の世代の人間にも引き継がれたのは間違いないみたい。

やっぱ強力すぎたから、細かく分けたんだろうね。

魔法を使える人も『水魔術』とか『土魔術』とかの術まで昇華されていない、でも発現させることができる恩寵があるんだって。へえー。


他にも色々聞きました。ファティセイロさんが丁寧に教えてくれたよ。

帰り際にファティセイロさんと握手したんだけど――つい日本人の感覚で――うん、わかっちゃった。ファティセイロさんの権能。わかったというより、視えた?


今はどっちでもいいか。

だって、『魔術師』ではなく、なんと『勇者』だったんだよ。びっくり。


でも私にその権能が移動することはなかったんだよね。

相手が起きて……意識があるからかな。

あの男の時は、相手が昏倒していたし、ポケットとかに何かないか探して取り上げようとしてから、かもしれない。


でも、ファティセイロさんは私の術については気づかなかったみたい。

つまり、視えるのは一方的に私だけ?


やっぱり『強欲』って……なんか、泣きそう。


この世界観での設定ですので、こんな感じなのかと軽く流してください。


お読みいただき、ありがとうございました。


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