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幽閉王女は考える。「うん、これから考えよう」  作者: 池田ん


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18/32

続 18

※誤字修正しました。


王妃様の叫び声のすぐ後に、扉が開き、騎士たちが剣を構えて部屋に入ってきた。


「止まりなさい。許可なく部屋に入ることは許しません」

本物の王女のつもりで、私は叱責する。


騎士たちは一瞬立ち止まり、部屋の状況を確認する。無手のアドレーヌを警戒している様子に焦り、言葉を続けようとしたが、それより先に陛下が声を荒げる。


「出で行け。誰も来るな。これは王命だ」


騎士たちは戸惑いながら、両陛下に危害がないとわかると、黙って部屋を出て、扉を閉める。


隠し扉からは誰も出てこないのも確認。

なんか私、冷静だな。


王妃様のすすり泣きだけで、誰も声を上げない。

陛下はがっくりと頭を抱えている。アドレーヌは天井を見上げている。

私一人、少し気が抜けていた。


「男は、塔に侵入したが、そこの兵士が捕まえたと聞いているが」

「捕まえたのは、間違いなくアドレーヌです」

「いえ、確保したのは王女殿下です」

陛下の疑問に私が肯定したけど、アドレーヌが否定した。


陛下が眉をひそめたので、仕方なく話すことにした。


「男は塔に侵入し、守衛を気絶させた後、最上階の私のいる部屋に、鉄格子のカギを開けて入ってきました。私はたまたま目を覚ましていて、油断した男を気絶させてから、部屋を出て、兵士を呼びました。実際に確保したのはアドレーヌです」


「ちょっと待て。……言いたいことが色々あるが、エル……其方は、どうやって男を気絶させたのかね」

おい、そこかい。

まあ、いいか。


「私は、前世で武術を習っていました。ですから、ちょうどいい位置に男の頭があったので、蹴り飛ばしたら、運よく気絶してくれました」

言葉が崩れっぱなしだけど、許してくれるよね。


「それだけではありません。気絶した男は腕と足を拘束され、頭にも布を巻き付けられ、さらにズボンも下ろして身動きしづらい状態でした。ですから確保も容易で、むしろズボンを上げて歩かせるのに苦労しました」

アドレーヌが真面目な顔で事実を並べて話すけど、それなりに苦労したんだけどな。


「それは……エルネシアには無理だろうな……」

陛下も納得してくれたかな。


「どうしましょう。今日はこのくらいにしておきますか?」

「いや、もう少し、話を聞かせてくれ。そうでないと、この後、何も手がつけられそうにない」


「それよりも、サガーラ、イコ、さん?」

「アイコと呼んでください」

「アイコさん。エルネシアを……エルネシアの誘拐を防いでくれて、本当にありがとう」

「そうだ。君の勇気と機転に感謝する」


お二人からの謝意は受け取るけど、私にとっては自分事だったから、ちょっと後ろめたいな。

なぜかアドレーヌも私に頭を下げている。いいけどさ。


「それで、話を戻しますが、あの毒杯の正体は何ですか?」

「あれは、毒ではなく、特殊な眠り薬だ。心臓も止まり仮死状態になるが、数日、だいたい三、四日で目を覚ます王家の秘薬だ」

「エルネシアを塔から出すには、その方法しか思いつかなかったの。自死したと公表して塔から連れ出したら、後は王家の別荘で過ごさせるつもりで……」

私の問いに、陛下と王妃様が答えてくれる。


「だが、あれは、あの部屋にあるのは眠り薬だとエルネシアに伝えていたはずだが」

「は?」

陛下の発言に、思わず素でまぬけな声が出ちゃったよ。


「后が伝えたのだよな?」

「いえ、陛下が話されたのでは?」

私の様子を気にすることなく、二人で見つめあってるよ、戸惑った表情で。

ああ、連絡ミスか。

その頃の王族内での混乱もあっただろうけど、責任のなすりつけあいは勘弁して。


「その薬の解毒薬? 眠りを強制的に覚まさせるような薬はないのですか?」

私の言葉に気を取り直した陛下が考え込んだ。王妃様はすがるように陛下を見つめている。

とりあえず、元の流れに戻れたかな?


「それはわからん。これまでの検証で自然に目が覚めなかった者はいないと聞くので、あえて作る必要を感じていなかったからな」

「その薬は簡単に作れるのですか?」

「簡単かどうか、薬師ではないので答えられん。ただ、王家の秘薬として、素材や製法は厳重に管理しているはずだ」

そうだよね。使い道があるかはわからないけど、公にしていい効能ではないと思う。


「念のためにお聞きしますが、塔に持ち込まれた薬がすり替えられていた可能性はありますか?」

あー、陛下が腕を組んで悩んじゃった。

今までは、エルネシアが生きているという情報だけだったから、疑問に持つこともなかっただろうけど、想定外の情報にさらされたら、可能性はつぶしていかないと。


「ない、と思う。あれは其方……エルネシアを塔に入れることが決まってから、あの部屋に置くことにしたのだ。あの部屋に出入りできる者は王妃が厳選したので、信用できるだろう。もし、入れ替えられたのなら、あの部屋に持ち込む前しかあるまい」

「では、あの部屋にまだ四分の一くらいは残っていますから、どなたかに取りに来させてください」

「うむ。わかった」


本当は胸の谷間からさっと瓶を出して「これを調べて」なんてかっこつけたかったけど、陛下たちのいる部屋にそんな危ないものを無断で持ち込めないと諦めたよ。


だって、憧れない? そういうシチュエーション。

映画しか知らないけど、アニメの名作の、女盗賊とか女スパイとかの謎の女さ!


……そこまでの谷間なんてないんだけどさ。


この作品を見つけてくれて、ありがとう。

読んでくれて、ありがとう。


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