↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幽閉王女は考える。「うん、これから考えよう」  作者: 池田ん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/32

続 16


下働き用の服を着て、いつも掃除や配膳に来る元王妃様の侍女だった方々と一緒に、王宮の裏にある洗濯場から城の中に入る。アドレーヌも一緒だ。


貴人と会わないように作られた下働き用の通路を出て、私はリネン室に入れられる。

王妃様付きの侍女が待機していて、ドレスに着替えさせられた。

私も下働き用の服で王様や王妃様に会うのはまずいだろうとは思ってたけど、あんまりフリフリひらひらじゃなくて良かった。


シンプル・イズ・ベスト!


さすが王妃様の侍女。無駄口もきかず、テキパキと髪も肌も整えてくれる。

他人に整えられるのも気持ちいいね。


リネン室を出ると、手持ち無沙汰だったのがまるわかりのアドレーヌが待っていた。私を見て驚いた表情になったが、すぐに跪き頭を下げる。

最近は私の運動着姿しか見ていなかったから、見惚れたかな。

そんなことないか。


ここからは王妃様の侍女に誘導されながら、私とアドレーヌは歩いていく。

アドレーヌは兵士の服装だったけど、丸腰になっていた。

アドレーヌがだんだん落ち着かなくなっていくけど、大丈夫かな。


近衛兵の立つ扉の前で侍女が止まったので、私たちも立ち止まる。

侍女が入室の許可を得ている間に、アドレーヌに袖を引き、小声で声をかける。


「落ち着いてね。別に何があっても処罰されることはないから」

アドレーヌは頷くこともなく、表情を固めていた。

何度でも謝るよ。ごめん。


許可を得て、私が部屋に入り、続いてアドレーヌも入室する。

アドレーヌはソファに座る両陛下を見ると、すぐに跪き、頭を下げる。

今日だけで膝の布が擦り切れるかもしれないと思ったのは内緒だ。


私も立ち止まり、膝を折り、頭を下げる。


私だって緊張してるんだよ。だって『相良愛子』としてお二人に会うのは初めてなんだから。


「エルネシア、久しぶりだな」

「元気そうでなによりだわ」


私は深く頭を下げる。


「君が、兵士のアドレーヌ・リンシェルだな」


国王陛下の言葉に、アドレーヌも頭をさらに下げる。


「直答を許す。面を上げろ」

「はい、第四守備隊所属、副隊長、アドレーヌ・リンシェル、畏れ多くも、国王陛下、王妃陛下の御尊顔を拝し、恐悦至極に存じ奉ります」


「エルネシア、この場は非公式の場であり、私たちは家族として話し合うだけだ。そんなに畏まる必要はない」


苦笑気味の陛下の言葉に、大きく息を吐き、私は立ち上がった。

でも、その場を動かない。


「国王陛下、王妃陛下に申し上げたき儀がございます」

「何かな、申してみなさい」


「事前にお願いした通り、この場で私やアドレーヌに多少の無礼があっても、どうかご容赦ください」

「うむ。許す。この部屋において、其方はもちろん、そこの兵士の無作法も、気にする必要はない。其方との約束は必ず守ろう」

「私も許します。そうしないと、あなたは出て行ってしまうでしょ」

よし、言質を取った! 周りの侍従たちもちゃんと聞いたよね。


「では、次に、これからお話しするのは私自身に関わる内密なことです。私が同席をお願いした方以外は、退室していただけますか」

「わかっておる。では、皆、下がっていいぞ」

室内にいた侍従や侍女は一礼して部屋を出ていった。

アドレーヌも立ち上がり出ていこうとしたので、袖をしっかり掴んで逃がさない。驚いた顔になるけど、ごめん、付き合ってもらうよ。


私は陛下の後ろに立つ近衛騎士を、じーっと見つめる。


「こいつもか? それもいるのに?」

陛下は呆れたように、顎でアドレーヌを差す。

可哀そうにアドレーヌの顔が青白くなってきたよ。


「事前にお伝えしたはずです」

私の口からは固い声しか出なかった。本当は微笑みながら言うつもりだったのに、やっぱり難しいよ。


陛下は渋る近衛兵に指示を出し、退出させる。あれは近衛騎士団長だったかな。


でも、まだ私は位置を動かない。

王妃様が小首を傾げるが、私は部屋の壁を見つめる。


マジかー。発動しちゃったよ、例の『夜目』と『隠密』の複合技。

見えるかなとは思っていたけど、本当にこんなことがわかっちゃうと、ちょっと魂抜けそう。


「あと、二人」

できるだけ落ち着いた声で言うと、陛下は今度こそ心底驚いていた。


「エルネシア……」


「国王陛下、お約束は守ってください」

王妃様が慌ててきょろきょろしている。


「出てきなさい」

溜め息をついて陛下が命じると、陛下たちの後ろの壁と、反対側にある棚の間から、黒ずくめの男が二人現れた。二人とも覆面などはしていないため、私を凝視しているよ。

コワッ!


「お前たちも、今日は下がりなさい」

二人の男は黙って頭を下げ、壁に開いた、隠し扉から退出した。


「どうしてわかったの?」

王妃様が問いかけるが、たまたまです、とは言えないので、にこりと笑ってみた。

多分、私の頬は引きつっているよ。


この作品を見つけてくれて、ありがとうございます。

ここまで読んでくれて、ありがとうございます。


これからもお付き合いいただければ、嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。