↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
5/16

世界を救った魔術師、ダンジョンへ行く

 王都のギルドを出て、俺とポアラはライアンの向かったダンジョンへとやって来た。


 魔族共が造ったとされるダンジョンは、魔王が倒された今も健在している。


 だが、このダンジョンは昔に勇者パーティ《俺たち》で攻略済みのはずだ。


「あの、先生。ライアン卿の依頼って、もしかすると……?」


「ああ。俺と同じ、パリンドロミスを名乗る奴からの依頼かもな」


 そもそもライアンのギルドを通して俺へと依頼してきたんだ。


 攻略済みのダンジョンに、基本的には誰も立ち入らない。人気のないところへ依頼と称してライアンを殺る気だ。


「急ごう」


「はい」


 スタスタとダンジョンを進んで行くと、ギロリと赤い光がこちらを捉えた。


 奥の方からいくつかの赤い光がこちらへと近づいて来る。


「ゴブリン、か」


 攻略され、家主のいないダンジョンに棲みついたらしい。絶対に勝てない相手とわかると逃げたり、隠れたりする習性がある。俺たちを見て近づいて来るということは、勝てる自信があるみたいだな。


「舐めやがって」


 おうおうおう。わらわら出て来やがる。


 ゴブリン如きに舐められてたまるか。


「先生。ここは私に任せてください」


「……頼む」


 悔しいが、今の俺じゃ足手まとい。ここはポアラに任せよう。


 彼女は手を前に出すと二重の魔法陣が浮かび上がって来る。


 中級魔術を使う気か。


「『グレイシャル・ランサー』」


 魔法陣から、氷の槍が大量に真っ直ぐとゴブリンの方へ襲いかかる。


 平行に飛んで来る氷の槍は、わらわらと出てきたゴブリンたちを容赦なく貫いていく。


「流石は学院一の秀才。その歳で『グレイシャル・ランサー』をその速度で唱えられるとは」


「えへへ」


 褒めてやると、いつも通りに嬉しそうな顔を見せる。


「だけど、ここで『グレイシャル・ランサー』なんて強力な魔術なんて使わなくても良い」


 グレイシャル・ランサーからなんとか逃れたゴブリンが複数体いる。それらのゴブリンが、まだ勝てると思っているのか、こちらへと突っ込んで来る。


「『フリーズ』」


 俺は一番弱い氷の魔術を、地面に向けて唱えた。


「!?」


 ゴブリン共の知性は皆無。氷の部分で全員が足を滑らせた。


「『ファイア』」


 一番弱い火の魔術を、天井に向けて唱えた。


 ファイアが天井に当たると、砕けた瓦礫がゴブリン共に降り注ぎ、奴等はその下敷きとなる。


「ポアラ。弱い魔物に対して強い魔術を使う必要はない。弱い魔物には弱い魔術でも十分通用するし、地形を利用すれば簡単に勝てる。魔力の節約にもなる。相手に適した魔術を使用するべきだ」


「はい。勉強になります」


「──とか、なんとか偉そうに説教垂れてるが、どうやら魔力切れみたい」


 へなへなぁと、その場でひざまづいてしまう。子供の身体だと、下級魔術二発でアウト、か。


 素早くポアラが俺を抱っこしてくれた。


「大丈夫でちゅよぉ。私が守ってあげまちゅからねぇ」


 ダンジョンでも、ばぶみを感じてしまった。


♢


 しかし、ポアラの適応力というか、順応力というか。一度教えただけで、ダンジョンの地形を利用した戦い方をもうマスターしている。流石は学院一の秀才だ。


 なんて、彼女に抱っこされながら評価するとか、まじでお門違いだよなぁ。


 てか、この子、俺を抱っこしたまま戦ってる時点で相当強いよね。


「ふぅ……」


 ここまで下級の魔物が大量に出て来ており、俺を抱っこしたままのポアラは額の汗を軽く拭った。


「あ、先生。私の汗、気になりませんか?」


「全然、大丈夫」


 むしろ、なんでそんなに甘い匂いがするのか。おっさんがこの匂いを嗅ぐのは、なにかの罪に問われそうだ。


「ポアラ。魔力は大丈夫か?」


 良い匂いに包まれながらも、真剣な質問を投げかける。ここはダンジョン内。油断したら死んでしまうからな。


「はい。先程、先生から教わった方法で下級魔術だけを使っていますので、随分と魔力の節約になっています」


「ん。そうか。俺も一応、魔力は回復したみたいだ」


「もう、回復したんですか?」


「ああ。子供の体力と魔力は凄まじいな。上限値は低いが回復がずば抜けてやがる。ま、回復したところで、下級魔術が二発しか撃てないってのは皮肉だけどな」


「魔術が使えないより、全然良いじゃないですか」


「それもそうだな。って、ことで、魔力も回復したし、降ろしてくれ」


「え? だめです。危ないですよ」


「いや、危なくないだろ。魔物も今はいなくなったし」


「そういえば、さっきまで沢山出て来たのに、急にいなくなりましたね」


 そんな会話をしていた矢先のことだった。


「シャアアアアアッ‼︎」


 まるで爬虫類が威嚇してくるかのような声。しかし、それとは比較にならないほど鋭く、大きな声だ。


「この鳴き声は、まさか……」


 聞き覚えはあるが、こんなところにいるはずもない鳴き声に、嫌な予感がし、汗が出て来てしまう。


 ズタズタズタと、地鳴りのような音が近付いてくる。


 俺の嫌な予感は見事に命中してしまうことになる。


「シャアアアアアッ‼︎」


「ワイバーン!?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。