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お前らなんなの

一時間ほど、感傷に浸りながらぼんやりと空を眺めていると――


「おーい! おーい! リクー!」


遠くから精霊の声が聞こえてきた。


「……なんだ、帰ってきたのかよ」


つい毒づいてしまう。


けれど、自分でも気づかないうちに、ほっとしている自分がいた。


「……ったく」


そんな自分を戒めるように、俺は小さく息を吐いた。


「ん……?」


遠くから何かが近づいてくる。


「あいつら……なんか持ってるな」


目を凝らす。


「……え?」


次の瞬間、俺は目を疑った。


精霊たちが、大木を脇に抱えて飛んできている。


「いやいやいや……何でそんなもん軽々と持てるんだよ……」


しかも、一人や二人じゃない。


数百人もの精霊たちが、それぞれ大木を抱えて島へ運んでくる。


ドサッ、ドサッ、ドサッ。


次々と木が積み上げられ、あっという間に島のあちこちが木でいっぱいになっていく。


「……なんだこれ」


呆然としていると、アルがふわりと降り立った。


「リク、待った? すぐ準備するからね!」


「お、おい……」


「いい木を見つけるの、大変だったんだよ」


「なあってば!」


「ん? どうしたの、リク?」


「ちゃんと説明しろよ!」


俺が詰め寄ると、アルはくすくす笑った。


「ふふっ、リクってば鈍いなあ」


そして、当たり前のことのように言う。


「この島に、僕たちとリクが住むからだよぉ」


「……は?」


「リクの家を作るんだよっ!」


「…………」


しばらく言葉が出なかった。


「……何で一緒に住むことになってるんだよ」


俺はため息をつく。


「魂を返して、それで終わりでいいだろ」


するとアルの表情が少しだけ変わった。


「それはね、リクが変わらないと、ひかりの魂を譲渡できないんだよ」


「……ひかりの魂?」


「それに、僕たちもリクに体をもらったお礼をしなくちゃいけないしね」


「何だよ、ひかりの魂って……。俺じゃダメなのかよ」


「ごめん。今は言えない」


アルは少し困ったように笑った。


「でもね、僕たちがリクを絶対に幸せにするから!」


「……」


「怖がらないで」


その言葉に、俺はしばらく黙った。


「……はあ。まあ、いいや」


俺は空を見上げる。


「俺、どうせ行くとこないし」


「大丈夫だから! ね!」


アルは嬉しそうに笑った。


「じゃあ、僕は家を作ってくるね!」


そう言って、精霊たちのところへ走っていった。


俺は半分諦めたような気持ちで、その様子を眺めていた。


「……どうせ、あんな子供たちにできるわけねえだろ」


そう思っていた。


――十数分後。


「…………」


俺は言葉を失っていた。


精霊たちが大木に手を当てると、木の皮がするすると自然に剥がれていく。


そして、中から綺麗な丸太が現れた。


「……え?」


さらにアルが丸太に手を振り下ろす。


「えいっ!」


ズバッ!


丸太が綺麗に切断される。


フローリング材、壁材、柱。


次々と必要な形に切り出されていく。


「いや、チョップで切り出せるんだよ……」


思わず呟く。


「普通、工具使うだろ……」


俺が呆れている間にも、精霊たちはどんどん作業を進めていく。


木材を運び、組み合わせ、壁を作り、屋根を乗せる。


あれやこれやと作業が進み――


二時間が経つ頃には、そこには立派なログハウスが完成していた。


「うわあ……」


俺は思わず声を漏らした。


「……ほんとにできんだな」


完成した家を見上げる。


「お前ら……ちょっと怖いよ」


「えへへ!」


アルが嬉しそうに笑う。


「ねえねえ、リク! 入ってよ!」


「ベッドも机も椅子もあるんだよ!」


アルに促され、俺は恐る恐る扉を開けた。


「……おい」


中にはベッド、机、椅子。


ちゃんとした家具まで揃っている。


「これ……蝶番か?」


扉を動かしてみる。


「釘もあるのか……。マットレスまで……」


俺は部屋を見回す。


「なあ、近くに街でもあるのか?」


「…………」


精霊たちは黙っている。


「……なあ、アル」


「ん?」


「近くに街でもあるのか?」


「そうだよー」


「……はあ」


俺はため息をついた。


「これ以上聞いても無駄そうだな」


アルが笑う。


「リク! ゆっくり休んでね!」


「……お前らはどこで寝るんだ?」


「僕たちは精霊だから、光になって木の幹とか、湖の水草の上で寝るよ?」


「……は?」


「受肉したから、本当はベッドで寝たいんだけど……今は我慢!」


「何で我慢すんの?」


俺は呆れて聞き返す。


「家作って寝ればいいだろ」


するとアルは、いたずらっぽく笑った。


「ふふふー」


「……秘密」


「はあ……」


俺は頭を掻きながら、思わず笑ってしまった。


「お前ら……ほんと、なんなんだよ」

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