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ジュニク

沢山の笑い声が聞こえる。


はしゃぐ声、楽しそうに駆け回る足音。

なんだ……この暖かい空気は。


俺はゆっくりと目を開けた。


すると、そこにはひときわ白く輝く髪をした少年が立っていた。


年齢は十五歳くらいだろうか。


白い髪が光を受けてきらきらと輝いている。

あまりにも綺麗で、俺は思わず見とれてしまった。


……俺は性的な意味じゃない。

ショタが好きなのだ。


しばらくぼんやりと少年を眺めていると、


「あー! 起きた!」


突然、少年が声を上げた。


その声につられて周囲を見渡す。


「……え?」


そこには、子供たちがいた。


一人や二人じゃない。


何百人もいる。


美しい顔立ちをした子供たちが、こちらに気づいた瞬間、一斉に声を上げた。


「起きた!」

「この人だ!」

「アル様が言ってた人!」

「すごい!」


そして次の瞬間。


何百人もの子供たちが、一斉に俺へ向かって走ってきた。


「な、なんだ!?」


あっという間に囲まれる。


右も左も子供、子供、子供。


「ちょ、待て! 近い近い!」


俺が後ずさった、そのときだった。


「――静まれっ!」


鋭い声が響いた。


その一声で、子供たちの動きがぴたりと止まる。


声の主は、さっき俺を見つめていた白髪の少年だった。


少年は一歩前に出ると、周囲の子供たちを見渡した。


「お前たち、光に戻れ。挨拶は後だよ!」


その瞬間、何百人もの子供たちの身体が、まばゆい光へと変わっていく。


そして一斉に、宙へ浮かぶ光の玉へと戻っていった。


「……お前……」


俺は少年を見る。


「まさか……お前が光の親玉なのか?」


「おま……」


少年は一瞬ぽかんとした。


そして、


「ふ、ふふ……」


口元を押さえて笑う。


「気づいた?」


「やっぱりお前かよ!」


少年は嬉しそうに微笑んだ。


「キミのおかげで、僕と仲間たちは受肉できたんだ。ありがとう」


そして、少年は胸に手を当てる。


「僕の名前はアル。キミの名前は?」


その笑顔を向けられて、俺は一瞬言葉を失った。


「ちょ、え……」


……もう。


「かわいい……」


思わず呟いてしまった。


「ごめん! 俺はリク」


俺が名乗ると、アルの顔がみるみる赤くなっていった。


耳から頬、そして首まで真っ赤になっている。


「な、なんだよ……かわいいって……」


「いや、その……」


アルは照れ隠しのように咳払いをすると、後ろを振り返った。


「お、お前たち! 挨拶しな!」


そう叫ぶと、アルは逃げるように向こうへ歩いていってしまった。


すると、それを合図にしたかのように、今度は別の子供たちが一斉に走ってくる。


美少年、美少女、美少年、美少女。


「……なんだこいつら」


思わず呟く。


「かわい……」


次から次へと子供たちが俺の前にやってきて、自分の名前を名乗ったり、俺に話しかけたりしてくる。


「アル様を助けてくれてありがとう!」


「僕は――っていうんだ!」


「私は――!」


「ねえねえ、どうしてここに来たの?」


「ちょ、ちょっと待て!」


何百人もいるんだぞ。


「俺は聖徳太子じゃないってーの!」


とてもじゃないが、全員の話なんて聞き取れない。


俺はとりあえず笑顔で頷きながら、なんとか話を聞いていた。


それでも、少しずつ分かってきた。


みんな、アルに助けてもらったことへの感謝を伝えたいらしい。


……しかし。


何百人もの子供たち。


しかも、みんな異様なほど美しい。


俺は、自分の恐怖が少しずつ薄れていくのを感じていた。


魂を半分失ったかもしれない。


そんな恐怖と。


目の前にいる美少年、美少女たちの可愛さ。


その二つの感情が、俺の中でぐちゃぐちゃに入り混じっていた。


しばらくすると、アルが戻ってきた。


「もういいだろう。話がある」


アルが手を叩く。


「お前たち、静まれ!」


その声に、子供たちは一斉に静かになった。


アルは軽く咳払いをすると、俺の方を向いて微笑む。


「改めて自己紹介しようか」


アルは胸を張った。


「僕は光の精霊、アル。光の精霊たちの王だよ」


「……??」


本当なのかよ。


俺が疑いの目を向けると、アルは苦笑した。


「リク。キミは僕たちに身体をくれたんだ」


「身体?」


「そう。僕たちはもともと身体を持っていない。純粋な光のエネルギーとして存在しているんだ」


アルは自分の手を見つめる。


「でも、身体を持つことができれば……僕たちは現実世界に、神に等しいほどの影響力を持つことができる」


「……だから?」


俺は嫌な予感がしてきた。


アルは少し申し訳なさそうに笑った。


「だから、もらったんだ」


「何を?」


「キミの魂を」


「……」


「半分」


「…………」


俺はしばらく黙った。


そして、深いため息をついた。


「じゃあ、奪った魂を返せよ」


「それは……」


「奪うときに言ってただろ。それ以上の寿命を与えるとかなんとか」


「それはできない」


アルは静かに首を横に振った。


「どうしてだよ」


「リクが持っている闇のせいだ」


「闇……?」


アルの表情が少しだけ真剣になる。


「だから僕たちは、キミを幸せにしなければならない」


「……は?」


「キミに、生きている価値を与えなければならないんだ」


アルはまっすぐ俺を見る。


「それが、キミから魂をもらった僕たちの責任だから」

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