形勢逆転
「また、何もできなかった……」
小さな風が吹き、アルファの手がピクリと動く。
「うん? 今何か――」
直後、アルファの体へ一筋の閃光が迸り、アルファの体が遠くへ吹き飛んだ。
レリアがその閃光が飛んできた方向をバッと振り返ると、数秒後、煙の中から、二人の人間が姿を表す。両者は青い髪の男二人で、片方はゆっくりと歩き、片方はレリアの方を見ると駆け寄ってきた。
「イェーイ、クリーンヒットです! 特注らしいレールガンは中々の火力ですね!」
そのうち片方の男――リレイは、笑顔でそう言った。
「レリアさん! うわ……めっちゃ腕斬られてる……な、治らないんですか? 大丈夫なんですか!?」
腕から血を流すレリアを見て、酷く心配した様子で駆け寄る星流。
「……ふっ、まあ大丈夫。このくらいなら止血すればそのうち治る。流石にこの傷だとすぐ治ることはないけどね」
レリアは星流の顔を驚いたような表情で見た後、軽く笑ってそう言った。
「よ、よかった……」
「それと、敬語」
「あ、は……うん」
星流は若干戸惑いつつそう返事をした。
「レリア、これを使って下さい。どうやら治療効果つきの包帯らしいですよ。まあ私達に効くかは分かりませんが、足しにはなるでしょう」
そう言ってリレイはレリアに包帯をわたした。
「うん、ありがとう」
レリアはそれを受け取り、素早い手付きで自分の腕に包帯を巻いた。
「レリア、やんちゃな兄にキツめのお灸をすえてやりましょう」
リレイはレリアに手を差し伸べながらそう言った。
「……うん、そうだね」
レリアはその手を取り、立ち上がる。
「さぁ、行きますよ皆さん。世界一派手な兄妹喧嘩です」
リレイはレールガンの照準をアルファが飛んでいった方向に合わせてそう言った。
「はぁ……三人なんて酷――」
リレイは煙の中から腕を押さえながら出てきたアルファを見ると、即座にレールガンを撃った。
「容赦はナシですよ。あなたがやったことに比べれば安いもんでしょう?」
この距離ではアルファに聞こえていないだろうが、リレイはそう呟いた。
「ちょ、ちょっとやりすぎじゃないのか?」
「いえ、そんなことはありません。今のアルファは強いです。隙を見せたら――」
リレイがポケットから何かを取り出しつつ、戸惑う星流と問答していると、再度煙の中からとてつもないスピードでアルファが飛び出してきた。
「やっば――」
リレイは先程取り出したものを弄ると、それは円形状に展開し、リレイをアルファの斬撃から守った。
その後そのまま盾でシールドバッシュをして、アルファを引き剥がした。
アルファの腕には血の滲んだ包帯が巻かれており、レールガンが致命的命中とはいかずとも、ダメージになっていることが分かる。
「こうなるわけです。盾がなければ星流さんも死んでいましたよ?」
「そうだけどんなこと言ってる場合じゃなさそうだぞ!?」
星流は焦った様子でそう言う。
「だから言ったでしょう? 作戦通りお願いしますよ。レリア、ちょっと来てください」
リレイは星流に向けてそう言った後、レリアを呼ぶ。
レリアはアルファの方を警戒しながら、リレイの方へ寄っていく。
「作戦会議でもするのかい?」
アルファは言った。
「ええ、そうですよ?」
「悠長だね。リレイは本気で殺そうとしているみたいだから、俺もそうするかもよ? 途中で斬りにかかるとか」
「私達も無警戒じゃありませんからね」
アルファは三人のことをまじまじと見つめると、しばらくして体から力を抜いた。
「……まあ無理そうだね。そこの星流くん?はいけるかもしれないけど、それでも難しそうだ」
頷きながらアルファは言った。
「じゃあいいよ、また休憩ってことで」
そう言ってアルファはリレイたちに背を向けた。
「ありがとうございます……それでは、作戦についてですが――」
リレイはレリアに詳しい作戦を説明した。
「以上です。特に問題はありませんか?」
「うん。大丈夫」
「俺も前にさっき聞いたのと同じだし、大丈夫だ」
「では、始めましょうか」
「うん」
「そうだな」
三人は頷き、臨戦態勢に入る。
「ここがよくないかも」「ここが面白いかも」などのご感想等あれば頂けると幸いです。




