一人で戦う少女、到着する仲間
『全く、レリアはいつも一人で突っ込んでくんですから』
ケイルから聞いたアルファの到達予測地点は、リレイの元いた場所、バリアス連邦の主要拠点だった。
「まさかここまで猪突猛進だとは思わなかったぞ……」
星流が装備を整えながら言った。
「ところで、体を取り戻すって言ってたよな。あれはどうするんだよ」
『それですが、私の体が、アルファのところにあるかもしれません』
「流石にそんなこと……いや待て。まさかアルファがリレイの体を――」
星流は何かに気づいた様子だ。
『察しがいいですね。私はそう見ています。私に深く関わった人間であり、私と同じ組織に所属している人間がいて、私の体があったのはその組織。多少気が触れていますが、元の記憶はあるようで、何らかの目的で私の体を連れ去ってもおかしくありません』
「確かにそうだな……あ、でも下の体に戻る方法はあるのか?」
『そこが問題です。元の施設ならばそういったことが可能になる装置もありますが、それを取っている暇はない上に、細かい操作を知っている人間も私以外いません』
「じゃ、じゃあ無理じゃないか、どうするんだよ」
『そうですね。ですから『一応』ということです。足手まといになる可能性もなくはないですが、そうなれば逃げればいいんです。アルファ相手ならそれができるはずですしね』
「ほとんど博打になるのか……」
『ですがそもそも、レリアはかなり強いです。何もしなくても勝っているかもしれません』
「まあ確かに……そうだな」
『ですが、やれることはやりましょう。作戦はこの物資を持っていき、その先の施設で私の体を探して、どうにかそれに戻る。できなければ足手まといにならないように加勢する。足手まといになるようなら逃げる、です。』
「そうだな、分かった。うだうだ行っててもしょうがないしな。行くか!」
『いざレッツゴーです! ……あ、道中の戦闘は任せましたよ』
「分か……うん?」
◇
「このっ……! ふぅ、終わったな」
星流は機械獣に向けてライフルを撃ち、機械獣を倒す。
一息ついてから、そう言った。
外に出てから初めての交戦だ。
『たった一戦で随分お疲れのようですね』
そう横からリレイに茶化される星流。
「うるせ、ほぼ初戦闘なんだからしょうがないだろ? まず俺に戦闘全部任せてるのお前だろがい」
『はは、そう言われると何も言えませんね。とりあえず初戦にしてはかなり良い方です。腕は悪くないようですので頑張ってください』
「お、やっぱり体補正が聞いてるのかな?」
『でも、油断は禁物ですよ?』
「分かってるって。さ、急ぐぞ」
◇
「よっと……なんだ、一匹で終わりか」
星流は機械獣の直線的な攻撃を避け、銃弾を撃ち込んで倒した。
『なんだか数が少なくなってきましたね』
先程は一度に数匹来ていたのに比べ、今は最初の頃と同じく数匹しか来ていない。
「そうだな。アルファの居場所の予測地点もかなり近いし、その影響か?」
『その可能性はありますね。ですが、それらしい施設はここからは――』
直後、遠くから爆発音のようなものが響いた。
方角は彼らが今いる場所から北西。アルファの居場所の予測地点の西のあたりだ。
『……どうやら、あっちのようです。爆発音が聞こえました、まずい状況かもしれません。急ぎますよ!』
そう言ってリレイは一人飛んでいった。
「あ、おい待てって!」
それを追うように星流も走っていく。
◇
崩壊した何らかの施設。
周りには何らかのきかいだったであろう残骸が多く転がっている。
そんな中、二人の人物が激しい戦いを繰り広げていた。
「凄いね、今度は本気で殺すつもりかい?」
アルファはレリアのピストルでの銃撃を余裕の表情で躱しながら、そう言った。
「そうだよ。前とは違うから、今度こそ……殺す」
レリアは無表情のまま刀身が淡い赤色に光るブレードを持って、アルファに剣を振るう。
アルファはそれを回避して反撃しようとするが、レリアはそれをブレードで弾いて、背中のショットガンを構えて射撃する。
「っ!」
アルファはそれを避けようとするが、その銃弾はアルファの体を掠めた。
そばに落ちていたサブマシンガンを拾い、それを一マガジン分片手で射撃した後に放り投げた。
半ば乱雑に撃たれたそれをアルファはなんなく避ける。
「たくさん武器がある場所で戦ってくれて助かる」
その後、冷たい表情のままそう言った。
「でも、それは俺にも有利に働くよ」
「生かせるかどうかは本人次第。銃はただの道具。そっちはできてないみたいだけど?」
「いいや? それに、俺はまだ本気じゃないからね」
「それは知ってる」
レリアはアルファの右肩の辺りににピストルを数発撃った後に、右からアルファに向かって接近し、袈裟斬りでブレードを降った。
アルファはそれを避けきれず、浅くない傷を負う。
「やるね」
レリアはその言葉にも反応せず、ショットガンを構えて発射しようとする――が、それはアルファによる銃口の蹴り上げによって止められる。
レリアはそれの反動によって体勢を崩し、その隙にアルファの電撃を纏った拳が飛んでくる。
レリアはそれをブレードで受け止めた。
「っ!」
「ふぅ、流石にそれで受けられると痛いね」
アルファの拳はシューという小さな音ともに煙を上げていた。
「さっきからずっとこんな感じだね、これを続けてどうするの?」
「……じゃあ、そろそろ終わらせ――」
『レリア!』
その時、後ろからリレイの声が聞こえた。
「――え?」
後ろを振り向くと、リレイが一人で顔を覗かせていた。
「なんだ、あいつか。一体何しに来たっていうんだ、ただの球体が――」
不機嫌そうにアルファは言うが、それにレリアは割り込んで発言する。
「あれは、リレイだけど?」
「――まさか、いや、もしかして前にやってた俺の実験の影響で……なるほど。それは悪いことをしたね……」
アルファは申し訳無さそうに言った。
「話してきなよ。何か用があるんだろうし、レリアにも休憩が必要だろ?」
「……気味が悪いったらありゃしないね。あなたはいいの?」
「俺はいいよ。レリアと同じで嫌われていたら怖いしね」
「そう……じゃ、行くから。後ろから攻撃しようなんて考えないほうがいいよ」
「もちろんさ」
レリアはアルファに背を向け、リレイの方に歩き出した。
「ここがよくないかも」「ここが面白いかも」などのご感想等あれば頂けると幸いです。




