あの日と同じ……?
『――と、言ったところです』
「……ちょっと情報量が多いな」
星流はこめかみを押さえながらそういった。
『まあ無理もありませんね』
「というかリレイ、お前そんな大変な人生送ってたんだな……」
『確かに他の人と比べると大変ですね。しかし、その分手に入れるものも多いです。あまり悪いものでもありませんよ』
「……お前は聖人か何かか?」
星流は呆れたような驚いたような表情で言った。
『よく言われます』
「……やっぱ違うわ。ともかく、レリアもそうだけど、色々あったんだな。そりゃ引きこもるわ」
星流は天井を見上げながら言った。
「俺なんて、こっちに来てからもなぁなぁで適当に生きてきたし、多分昔もそうしてたんだろうな……」
『確かにそうかもしれませんが、自分でそうやって言えるということは、そこまででもなかったのではないでしょうか』
「どういうことだ?」
『本当になぁなぁで生きている人は『自分は真面目に生きている』と思い込んでいる場合が多いということです』
「へぇ……そうなのか」
『私の一見解ですがね。ともかく、今日はレリアのこともありますし、休息を――』
その時、通路の向こうから慌ただしくケイルが走ってきた。
「リレイ……と、君ははじめましてか」
ケイルはリレイを見た後、星流を見てそう言った。
「え? ど、どうも。青原星流といいます」
『こんにちはケイルさん。慌てた様子でしたが、どうしたんですか?』
「そうだ、その件で用がある。レリアを見なかったか?」
ケイルは食い気味に言って、リレイに質問した。
『今日は随分忙しそうですね。レリアなら、ずっとここで話していたので見ていませんが……何かあったのですか?』
「それが、レリアがいなくなったのだ」
『……本当ですか?』
「ああ。この手紙を置いてな」
ケイルが渡したその紙には綺麗な字で『決心した。ケリをつけてくる』と書かれていた。
『……なるほど。大方、私との話でアルファを殺してでも止めることを決意し、飛び出ていったといったところでしょう。全く、レリアはいっつも一人で突っ走っていくんですから……』
呆れたような声で言うリレイ。
「ふむ、なるほど……アルファを追って、か。可能性はあるな。アルファの痕跡は簡単に追えるものだった。行き先は我々にも分かる。がしかし、一人でかのフェニックスに挑むのは相当危険なのではないか?」
『そうですね。レリア一人では危険が及ぶ可能性もあります』
「……アルファは、我々興生の人間では太刀打ちできないほど強かった。リレイ。君ならこの状況、どうすればいいのか知っているのではないか?」
ケイルは真剣な表情でそう言った。
その瞳には焦燥の色が浮かんでいる。
『知っている、と聞かれると微妙です……が、勝算のある作戦ならばあります』
リレイが冷静にそう答えた。
「本当か? 必要なものはあるか?」
ケイルは少し食い気味に言った。
『必要なものと言えば、レリアが持っていったと思われる以上の装備品ですかね』
「それなら沢山あるだろう。この興生の強力な装備品を全て集めてこよう」
「あの……そ、それって大丈夫なんですか? あんまり知らない人にそんな重要なものを渡して」
恐る恐ると言った様子の星流。
「……確かにそうかもしれない。あまり重要なものはやめておくことにする。すまない、自分でも分かるほど焦っているんだ」
冷静さを取り戻した様子のケイルは、軽く謝罪をした。
「ああいえ、俺は別に大丈夫です」
『あまり無理はしないでください。それで、必要なものはそのくらいです。あとは精神を移す装置でもなければ必要ありません』
「ふむ、流石にそんなものまではないな……本当にこれだけか?」
『ええ。ですが、これだけなら誰でもできます。問題は、その後です』
「何か策があるのか?」
『はい。私の体を取り戻します』
「……すまない、一体どういうことだ?」
『分からないのも無理はないですね。ですが、私だって元々こんな体ではありません。元々はレリアと同じフェニックスです。その体に戻れれば、私は大きな戦力となります』
「なるほど、大まかな概要は分かった。詳細は分からない部分もあるが、今は急を要するだろう……後は頼んだぞ」
ケイルはリレイに軽く頭を下げた。
「それと、今更私が言うようなことでもないだろうが――レリアを、助けてくれ」
ケイルは姿勢をただし、もう一度深く頭を下げた。
『もちろんです。私の家族ですから』
リレイはディスプレイ上の顔でウィンクをした。
「ここがよくないかも」「ここが面白いかも」などのご感想等あれば頂けると幸いです。




