既知の侵入者?
『警告、侵入者が発見されました。繰り返します、侵入者が発見されました。一般人はただちに他階層への避難をしてください。防衛隊の皆様は指示を待ってください。繰り返します――』
「……どういうこと?」
レリアは眉間にしわをよせ、そう呟いた。
「と、とにかくやばいってことです! やばい人が来てるので、早く逃げましょうってことですよ!」
ニイラは焦った様子でレリアに促した。
『一般人は逃げてくれ、と言われましたので、私も逃げようと思います。この体では何もできませんからね』
リレイは至って冷静な様子でそう言い放った。
「な、なんかやばそうだし俺も逃げたいぞ……けど俺強いらしいしどうすれば……」
星流は自分の体のことも考え、どうすればいいのか分からないといった様子だ。
『防衛隊がいるので大丈夫なのではないでしょうか。彼らの中には戦闘のプロもいるようです、下手に介入するより、任せるほうが効率がいいのではないでしょうか』
「……そ、そうか。そうだな。逃げるか」
「分かった。じゃあ逃げよう」
レリアはそう決断したようだ。
「危ないみたいだから、走って」
「りょ、了解です!」
ニイラはそう返事して、四人は走り出した。
レリアは本来もっと早く走れるはずだが、他三人に歩調を合わせ、遅くしているようだ。
通路に出てみると、サイレンや警告の割にはいつもと変わらない様相を呈していた。
「いつもとあんまり変わらないみたいだけど……」
『恐らく、まだ『侵入者』とやらがここまで来ていないということなのでしょう。まあここはそこまで重要な施設でもないでしょうから――』
リレイの言葉な大きな地響きによって遮られた。
どうやら音の近さからして、そこまで遠い距離でもないようだ。
『ちょ、ちょっと怪しくなってきましたね……』
「だ、大丈夫なんでしょうか……」
「分からない。けどとりあえず今やるべきことは逃げること」
レリアは真剣な表情のまま、そう言った。
すると――
大きな衝撃とともに、目の前が粉塵で覆われる。
「……侵入者かもね」
「え、えぇっ! ま、まずいじゃないですか!」
「しっ、とりあえず様子見」
しばらくすると、視界が晴れてきた。
そこに見えたのは、人一人ほどの大きさの影。それが二つ。
背の高い緑色の髪をした男と、車椅子に乗った普通の男性のようだ。
「全く、面倒くさいな……俺らに危害を加えてくるなんて酷いな。ねぇ父さん?」
背の高い男が、車椅子の男にそう問いかけるが、返答は返ってきていない。
どうやら、それらは一方的に会話をしているようだ。
よく観察すると、車椅子の男には目に光が宿っておらず、生きているのかさえ怪しい状態だ。
一方、背の高い男は武装しているように見える。腕や足には灰色の迷彩模様をした何らかの装備をつけている。そして、手には西洋の長剣ほどの長さを持ったブレード。それからは光が放たれており、ただの剣ではないようだ。
レリアは『父さん』という部分を聞いて眉をピクリと動かした。
「あなたは……誰?」
「あれ? ここにもいたのか。もうそれ、聞き飽きて――いやまって、もしかして、レリアかい?」
背の高い男は、手に持ったブレードの光を消して地面に落とし、喜びの混じった声音でレリアにそう問いかけた。
「……アルファ」
レリアは怒りと悲しみが入り混じったような表情で、そう言った。
「ここがよくないかも」「ここが面白いかも」などのご感想等あれば頂けると幸いです。




