学食、それと一日の終わり
「ここが学食か……意外と狭いな」
広さはファストフード店一つ分ほどの大きさだろうか。
十個強あるテーブルはすべて埋まっており、狭くはあるが賑やかだ。
中にはドレスのようなものを来た少女がいたり、あとから付けたものなのか、もとから生えているのか分からない動物の耳の生えた男性がいたりした。
『そうですか? こんなものではないでしょうか』
「うーん、そういうもんか」
「おいしいものがあればなんでもいいかな」
あっけらかんとした様子でレリアはそう言った。
二人がカウンターに向かうと、そこから出てきたのは零子だった。
「おっ、三人とも朝ぶりだね」
『零子さん、学食の受付もやっていたんですね』
「最近はみんな成長して、私の生活指導がいらなくなってきたからね。この仕事も入れてもらってるんだよ。好きなもん頼んできな」
「じゃあ……ハンバーグ定食でお願いします」
星流はリストを見て、見慣れたものを頼んだようだ。
「私はきつねうどんで」
『私は……いや、ちょっとまってください。私は頼めないですね』
リレイはここに来て自分に口が存在しないことを思い出したようだ。
「……外で生きるより興生で生きるほうが大変なのリレイくらいじゃないか?」
『技術担当の人ならきっと味覚を……無理ですね。諦めましょう』
少し落胆した様子のリレイ。
「ご飯を食べれないのは残念だね……でも誰かと一緒に喋るのも楽しいもんさ、頑張りな」
『ありがとうございます』
そう言って零子は厨房に入っていった。
◇
「ハンバーグめっちゃ美味しかったな……この世界でこんなものが食べられるとは」
『いやぁ、私も早く食べられるようになりたいですね』
「技術担当さんに腕もなんとかしてもらってたし、そこもなんとかできないの?」
『あまり弄るとおかしくなる可能性があるので、これ以上は厳しいそうです……残念ですね』
「……そういえばあそこにいた面子、結構凄いのいたよな」
星流はそこにた人達を思い出して、そう言った。
『動物の耳が生えていたり、お嬢様っぽい方がいましたね。お嬢様はともかく、動物の耳は私も驚きました。レリアさんは何か知っていたりしますか?』
「うーん、前にも同じ人は見たけど、その人はただファッションでやってるだけだったな……」
『成人男性がケモミミ……いえ、深く考えてはいけませんね。さあ次は授業ですから、気合い入れていきましょう!』
「きゅ、急にどうした。授業はちゃんと受けるぞ」
教室の扉を開けると、智也の声が聞こえた。
「お、戻ってきたか」
教室には依然として三人以外はいないようだ。
「他の子と一緒だとは言ったが、今日の予定はそのままで行くぞ。じゃあ席につけー」
◇
「それじゃ……もう時間だな。今日のところはこれで終わりだ、解散ー」
(意外とあっさり終わるんだな……)
星流は全体的に自分の記憶と少し違う学校に戸惑っているようだ。
「んー、終わったー」
レリアはそう言って伸びをしている。
「終わりかー、意外と簡単だったな」
(小学校の終わり際から中学校初期あたりくらいの教育になるのか? 社会とかは違いすぎてよく分からないな……)
時計を見てみると、午後五時を指し示している。
『教師は一人でこなしているようです。ここでの大体の生活の方針が細かく分かってきましたね』
「そうだな」
『思ったよりもライトなスケジュールで助かりました。まあ明日からは色々増えるんでしょうが』
「今日はオリエンテーションみたいなもんだろうからな。明日から頑張ろう」
「それじゃあ自由時間だし、私は適当に散策でもしてこようかな。一層とか言ってた場所も気になるし」
授業では、興生の詳細も教えてていたのだ。
一層とは主に民間の人が暮らす場所で、三層はここの管理をしている『管理委員会』の場所で、重要施設だそうだ。そして二層は今三人がいる場所で、最先端技術を扱う場所や『管理委員会』直属の施設があり、四層より上は民間人が勝手に開拓した場所、というようになっているらしい。
『一層は民間人が暮らす場所でしたか、観光にはピッタリですね』
「あとご飯が美味しい店も気になるし……」
レリアは小声でそう付け足した。
「俺もこのあたりがどんな感じが気になりますし、ここにいる人も気になるのでこの辺見て回ってみます」
『それじゃあ私は……個室に帰ってますねー』
一人個室に帰ると言うリレイ。
「あれ? リレイはいいのか?」
『まあそのうち分かるでしょうから、私は休んでいようかと』
「そうか。じゃあまたな」
『それでは』
「じゃあね」
「ここがよくないかも」「ここが面白いかも」などのご感想等あれば頂けると幸いです。




