最高のただいまとおかえりと
最高の平和な小説になるよう頑張ります、タイトル変えました、改めまして宜しくお願いします。
45話にてブクマ数変動109、有難うございます!
深手を負ったジークが目を覚ますと そこには?……
優しく何かに包まれる感覚の中聞こえた声。
『じーく、少シ用事ガ出来タカラ、かるらトフクロウヲオ願イネ』
目を開けると、辺りは不思議な空間だった。
『……用事? チェンジ様どこか向かわれるのですか?』
『ウ、ウン……、アッ、ゴ、ゴメン……ト、兎ニ角……オ、オ願イ……』
『ま、待って下さい……。 私も御供させて……』
そう言いながら慌てて追いかけようとするも、それよりも早いスピードでチェンジ様は、霧の中に溶け込むように消えてしまった。
『……』
「ジーク……起きて、起きて!」
懐かしい声がする。 声の方を見ると懐かしい相棒の姿があった。
「……レック、どうした?」
ここは夢の中だろうか? それでも会えたことが嬉しい。
そっと手を伸ばし、レックの頭を撫でる。
目を閉じ、更にその手にこすりつけるかのように頭を斜め上にあげるレック
「んぁ……うぅ……、そういうのは後で……、嫌な気配がするんだ」
「……? そうなのか?」
そう問われ、目を開いてから、ぼやけた思考を少しでも活性化させて辺りを伺う。
「……ん……」
僅かな焦げ臭い匂い。 確かな嗅覚。
いや……それよりも……。
「うっ……」
胸部と左下脇腹にダメージを受けた跡と余韻の痛み。
「これ、これ飲めば良いんじゃない……?」
そう言われてレックを見ると、高レベル向け、或いは緊急向けのフラスコに入った回復薬(約200ml)を抱きかかえていた。
自分の身長の半分程ある回復薬を抱きかかえている状態は、なんというか可愛い。
「……」
それ……少し高いから、勿体ないような、そうは思いつつも、
体に痛みが伴い歩くのに支障が出そうで、そして、何よりもレックの提案なのだから応じることにした。
「……んっ……んっ……ぷは……」
一気に飲み干す。
空となった瓶を道具袋にしまいながら思う。
レックを触った感触、リアルな匂いとリアルな痛みといい、その他諸々の夢にしてはリアルすぎる感覚……。
「……いや……まさか……そんな訳がない……」
「あ、そだ、今言うことじゃないのは分かってるんだけど、この箱貰ってもいい?」
そう言われ、恐る恐るレックの方を見ると、レックの亡骸が入っていた箱が転がっていた。
「ぇ……」
手を伸ばし受け取り、外見を確認する。
「……捨てないでよ? 一応おっちゃん達からもらったプレゼントなんだし」
「……あっ、嗚呼……」
ただただ状況が読み込めない。
「……って、そうじゃない、急がないといけないの! もう痛みは楽になった? とりあえず箱しまって、あっちの方に行こう、カルラさんが……」
……。
その言葉を聞いて、全身に寒気を感じた。
……夢じゃない……。
「夢じゃない……ゆ、夢じゃ……」
頭の中じゃ処理できず、言葉に発する。
「……夢? ……あ、嗚呼……えっと、ただいま、ジーク、身体能力はあの頃とあんまり変わってないから、足引っ張るかもだけど……改めて宜しくお願いします!」
「……嘘……じゃない……? やたら喋り方うまくなってるけど……本物……?」
「ぁ……うん、詳しくは後で話すけど、とりあえず、カルラさんを……」
箱をそっと置いてから、震える手でレックに触れる。
「あ……え?……」
「ごめん、十秒だけ待って……おっ、おっ、おがえり……」
「……た、ただいま……」
苦しいぐらいに泣いたあの時をひっくり返すかのように、腫れものを扱うみたいにレックを抱いて、ギュっと抱きしめ頬ずりをした。
ザラザラしても、頬を傷つけても……例え鱗の出っ張りで頬から出血しても
やめられなかった、ただ、ただ、感じて居たかった。
「……ジーク……他の使い魔を雇わないでくれてありがとう……」
「……んっ……」
ほんの少しだけで今は十分だった。 とりあえず緊急事態らしき状況を無事回避せねば……。
「あれ? もう良いの?」
「……バーカ……カルラが危ないんだろう…… 後、礼もあるけどお仕置きもするからな……」
「……うん……良いよ、ただ、これが終わったら、血飲ませてね」
「……はぁ……」
数年ぶりのいつもの光景、呆れつつも微笑したら、その後に一筋の涙が流れた。
もう戻ることがないと思っていた日々が戻ってきた。
夢ならば覚めないでくれ、或いは、再びレックと過ごせている幸せな現実を1秒でも長く繋ぎとめてくれ……。
箱を道具袋にしまってから、風が吹く方向というか、最初に居た原っぱを目指して、レックを右肩に乗せ、ついでに、風の抵抗を少なくする魔法をかけてから駆け出した。
「すっかり大魔法使いだね」
「……オマエが居なくなってからつい最近まで、最高にモノクロの毎日だったけどな!」
「……それにしてはさー?」
何故かレックの含みのある言い方。
「ん?」
「いけない遊びしてたよね」
「…………」
「……ずっと見守ってたよ、いけないことかもだったけど、でもすっごく頑張ってた」
「……見守ってた?」
聞き返すと同時に、『頑張ってた』という言葉が身に染みて涙が出そうになる。
「……傍に居るのに、声すらかけられないのがオイラも辛かったけど……」
「……」
森の入り口まであと少し、オレ同様レックも相当辛かったのだろうか?
そう思うと、右肩にいるレックを左手で掴んでから、
左腕と胸部分でレックを挟んでから駆けた。
「えへへ……ジークの手あったかい、大好き……」
「……嗚呼、オレも大好きだ」
「うっ……あ、ジーク、カルラさん以外に敵の気配は無いよ、深手を負っているせいか息が浅いから……」
「……分か……」
「分かってる」そう言いかけた言葉を慌てて飲み込んだ。
「……そうか、じゃぁ、道具袋からさっきのより一段上の回復薬取り出してくれ」
そういってから腕を緩め、体を自由に徘徊させる。
近づくごとに焦げ付いた匂いが強くなる。
そして、森の入り口を抜けると、少し驚く光景だった。
魔法や剣技の衝撃で、入り口周辺の数本の木がなぎ倒されていたり、ぐちゃぐちゃになっていたりしたのだが
何よりも凄いのは、森の入り口から30メートル程いった所に、20メートルぐらいの穴があり、その中心にカルラがいた。
その光景は、まるで隕石が落ちてきた跡のような光景だった。
カルラは仰向けのまま倒れており、何故か、質の高い装備ではなく、動きやすい軽装備と切れ味の悪い大剣を装備していたようだが、
大剣は大半が損傷し、軽装備もかなりボロボロなものになっていた。
すぐさまサーチをしてHPMPを確認する。
……
……
MP量はまずまずだが、HPがほんの少ししか残ってなかった。
「……やれやれ」
呆れながらも、呪文を詠唱する。
「ジーク、これでいい?」
詠唱を始めて間もなく、レックが回復薬を抱えて道具袋から潜り込んでいた上半身を出した。
ちらりと目視をして、コクリと頷く。
「良かった、あ……こりゃまた酷いね……」
レックが心配するが、とりあえず問題はない。
穴の深さは恐らく10数メートル、地の呪文を唱え、
1段辺り横幅150奥行40センチ、高さ30センチ、ほどの階段を創造を開始する。
『ゴ、ゴゴッ、ゴゴゴッ……』
唸る地面。
40秒程で荒い階段になった。
さっきからレックが関心しっぱなしだ。 大好きな相棒に喜ばれるのは気分が良かった。
それから、こけないように注意しつつも、カルラの元へ駆けつける。
肩を叩いてから、レックが一生懸命役立とうと回復薬の飲み口をカルラの口にあてがいゆっくりと流していた。
30秒で意識が回復し、1分後には喋れるようになり、
2分後には起き上がった。
最初はレックのことに気づいていなかったが、状況を話すと『恐らくチェンジなのだろう』と返事が返ってきた。
「……何があったんだ」
色々自体が飲み込めなかった。
戦闘用の装備じゃなかったこと、俺の使い魔が生き返っていたこと、チェンジが居ないこと
……本当に何があったんだ?
ウォーミングアップの予定だったカルラと憑依されたチェンジの間に何があったのか、
何故レックは生き返れたのか
次回、暴走と繋ぎ止めていたもの (予定)
あれ? ひょっとして若干のネタバレになっちゃってる?




