コボとチーズと安らぎと……
お待たせしました。可能な限り毎日3000文字前後を更新出来たら良いのですが、リアルがドタバタする日もあるもので、今回は獣要素高めですが、同性愛要素ではギリギリないと思うので楽しんでいってもらえたら幸いです。
シオンちゃんと茶々は採取に、赤黒龍とふくろうはお楽しみの一時を……
そんな、『きゃっきゃうふふ』を想像していると視界に青白い光が過ぎった。
気がつけば、結構複雑そうな魔法陣らしきものが床に描かれていて、まるでエレベーターの様に下から上にあがるように何かが召された。
「よぅ、コボ……」
そう呼びかけた先の魔法陣の中には、中型犬が犬獣人になったぐらいの大きさ身長にして80cmぐらい
体毛の色は、薄汚い灰色一色で、麻袋らしき物で作ったと思われる粗末な服を1枚だけ着ていた。
魔物っぽいし薄汚い、とはいえ獣だから可愛い。コボって名前も可愛い。
「へぃ……赤黒龍の旦那……何か御入用で?」
「ん……ちょっと臭いぞ、体洗ったのいつだ?」
「へぃ……一月前……でやんすかね……」
「ふくろう、すまんがこいつを抱いてくれ」
「あぁ……はい」
「へっ? んぁ? 人間?…… おれっち人間嫌い……」
「コボ、5秒我慢したら、アレくれてやるから少し耐えろ」
「へっ、へい……客人さん、お手柔らかに……」
「こ、此方こそ」
恐る恐る近づいていく、ちっちゃい犬獣人可愛い。
と、やがて雨に濡れた犬のような匂いが鼻を刺した。
相当臭いというわけではない、ちょっと獣臭いだけだ。 やはり、幻獣は、嗅覚も発達しているのだろうか?
それから、言われるがままに、子供にハグするみたいに、跪いてから、恐る恐る抱きついた。
服の下に篭っていた匂い、咽そうになるのをグッと堪えて、ギュッと抱きしめた。
「はぁ……コボ君……大丈夫?……平気?」
大人しく体をふるわせている様子もなかった、前世で飼っていた犬をハグした感覚と少しにていた。
「ぁ……んー……なぁ、人間、これなんて魔法……?」
「ぇ?……えっとー……」
「特殊体質だ……。 どうだ? どんな感じだ?」
「そうっすか、こんなタイプあるんっすね。んー…そうっすねぇ……暖かいっす、温度じゃないんっすけど凄く暖かいんっす」
「そうか」
「……」
うまく会話に入りづらい、とはいえ、自分の特殊体質の効果は、自分が一番理解しておかないといけない。
コボは、よだれを垂らさまいと、口を時折すすっているがとても幸せそうな様子だった。
顔を覗き込むと、甘えん坊な子犬のように見えて可愛かった。
「ところで1分程経とうとしているが、そろそろ離れても良いぞ」
「ぁ……ぅー……ぇー……ぅー……」
多分離れたくないのだろう、それほどまでに心地良いのだろうか? この力の使い道とはいったい……。
「ふくろうも嫌であろう? そんな不潔な奴」
「ぁー……ぅー……ごめんなさい……きゅぅん……」
子犬のように鳴いた、可愛い。
「もう慣れました、赤黒龍様が許可して下さるならもう少しだけ良いですか?……」
「……まぁ……構わぬが、他があるので、手短にな」
他……他ってなんだろう? お楽しみだろうか?
でもな、濡れて獣臭いとはいえ、もふもふしていて可愛い、うーん……。 名残惜しい。
……。
それから、30秒ほど経った頃、赤黒龍は、暇そうに、鋭い爪で宙に何かを描いた。
その描いたものから、ポテッっと、アルミ箔に包まれた何かが落ちてきた2つ落ちてきた、15cmの三角形の形をしていた。
「ふくろうさん?……かな? こんなおれっちを癒やしてくれてありがとうでやんした!」
そういって、力を緩めるとすっと 2歩ほど前進し、くるりと此方を向いてお辞儀をした。
「ぁ、うん、いえいえ、こっちも抱きしめられて嬉しかったよ」
「キャゥゥゥ……」
目をうるうるさせながら、可愛く鳴かれちゃ、こっちとしても何かしてあげたくなっちゃう。
そんな中、赤黒龍が、口を開く。
「んー、じゃ、コレやるからまた何かあった時は頼む」
「ぁっ、ありがたく頂戴するでやんす!」
コボが赤黒龍の方を振り向くと、ひょいっとアルミ箔に包まれた何かをキャッチした。
それと同時に何かに気づいたようで、ちょこちょこと寄ってきた。
「あの、ふくろうさん、よければお一つ……」
「これは?……」
そう問いかけると赤黒龍が代わりに答えた。
「少し値の張るチーズだ、コボはそれが好きなんだ」
大好物を会って間もなく僕に差し出すコボ。 正直泣けてくる。愛くるしすぎ!!
「あ、ありがとう、じゃ、僕も何かあげるよ」
そう言ってから、腰につけた道具袋に手を突っ込むと、アイテムリストが脳内に現れる。
薬草や石を渡してもしょうがない、干し肉で良いかな?
「気を使わなくていいでやんすよ!………あっ、ありがとでやんす」
遠慮深そうに返事をするも、嬉しかったのか、顔を少し赤くし、3枚の干し肉をコボは受け取ってくれた。
それから、その1枚を赤黒龍に差し出すのであった。
「ど、ドウゾ……」
「あ、嗚呼……うーむぅ……」
少し困った様子で赤黒龍から、『貰って良いのか?』と視線が飛んできた、コクリと頷く。
「そ、それじゃ、コボ、またのぅ」
「はい、赤黒龍の旦那、ふくろう様、また……、
「ぁ…うん」
そして、再び床に描かれた魔法陣に入ると、今度は地面に溶けていくかのように消えていくコボであった。
そして、さり気なく『様』付けで呼ばれたことに、気づいて、何かこそばゆい気持ちになるのだった。
想像以上に平和である、そりゃ、争いもあることもあるのかもしれないけど、心安らぐ一時があって本当に良かった……。
「えへへ……」
ただなんとなく笑った。 赤黒龍は、何も問いかけてこない代わりに。
「これ食っていいか?」
と言ってきた。 コクリと頷き、赤黒龍が味わって咀嚼する20秒ほど、待った。
「ご馳走様」
「はい、お気に召したなら良かったです」
そう言ってからふと絨毯の上に置いていたチーズが包んであるアルミ箔が気になった。
ここはマナー的に少し食べてからしまうのがベストだろうか?
恐る恐る開けるとそこは、アニメに出てきそうな穴が沢山あいた三角のチーズが姿を表した。
実を言うと、チーズが少し苦手です。 牛乳は大好きなんだけど、発酵すると凄く臭いし、しょっぱいし……。
とはいえ、赤黒龍さんがくれたチーズ、好感度アップのためにも頂かねば。
一口分摘んで
……パクっ
「……ぁ……美味しい……」
乳臭いけどそれはほんの少しで、芳醇な香りと牛乳本来の甘さと僅かながらの塩分が堪らなかった。
「フフン……わしへの献上物は全て一級品じゃからな」
「なるほど……ではもう少しだけ……」
そして、二口目を千切ってから、それを口に運んで、再びアルミ箔にしまい、道具袋に入れた。
チーズでビールを飲む人の気持ちが分かったかもしれない。
「で、ふくろうとやら、わしはもう、主の特殊体質には大体の見当がついておるんじゃが」
「あっ……はい」
「汚れていたコボの後ってのは不本意じゃが、わしを抱いてみろ」
「ぇ……ぁっ、はい」
それから互いに歩み寄り、そっと手を伸ばす。
ひと目あった時は突進して、さっき相手側からハグされたが、改めてこのようなシチュエーションになると、凄くドキドキする。
ドクッ……ドクッ…。
ゆっくりと手を伸ばし、そして、夢にまで見たお触りタイム……。
対象まで30cm……25cm……20cm……15c……。
「嗚呼ーもぅ、ちんたらするなて時間無いんじゃからっ!!」
赤黒龍さんが怒鳴りながら僕の腕を掴んで、自らの背中へ誘導した。
「す、すいません……」
「ぃゃ……んーむ……」
赤黒龍の顎がボクの肩に乗る。ほんの少し重いが、体重は殆どかけていないようだった。
「……」
何か会話をするべきだろうか?「どうでしょうか?」みたいな
「……そ、その……せかしてすまんかった……」
「い、いえ……ヘタレですいません……凄く暖かいです……」
「ぬぁっ……むー……」
「あはは……幸せです、赤黒龍様とこうしてられるというのは……」
よくわかんない、感覚、数時間前まで互いの姿や声すらしらなかったのに。
互いの心音を感じ、互いの息遣いを感じ、互いの体温を感じる。
とはいえ、こういうことってして良いのだろうか?という気持ちになる。浮気にならないだろうか……。
「なぁ……ふくろう、上脱いでくれぬか?」
「へっ……? どうして」
「言ったじゃろ、オマエの特殊体質を調査しておるんじゃ、素肌越しでどうなるかと思ったんじゃ」
「……ぁっ、はい……分かりました」
調査であってやましいことではない。 グローブを脱いで、上着を脱いで、下着を脱いで……。
本当にやましいことじゃないだろうか?……。
脱いだ服を離して間もなく、今度は強引に抱きしめられた。
「おわっ‥…」
そして、体が浮き上がった。 どうやら、浮遊し始めたようだ。
「足、巻きつけて良いぞ」
「あっ、はい……」
ぷかぷかと床上30cmの浮遊はぎこちなく、ボクは、抱きしめる手に力を入れて、下半身を動かし、足で赤黒龍に抱きついた。
抱きつく間もなく、赤黒龍は、体を回転し、仰向けの状態になったので、ボクは、丸太に抱きついているような状態になった。
「ふくろう、性欲とは多分違うから安心しろ……主を触れてるとリラックスできるみたいじゃわい」
「な、なるほど……そ、そうですか……」
リラックスできる関係とは何なんだろうか? とはいえ、もしかして、もしかしたら
この世界でボクだけにしか出来ないことがあるのかもしれない。
それが何かなのかは…… 今は考えたくない……。
赤黒龍が何かを唱えているようにも感じたが、どうでもよくなった。
なるほど、これが赤黒龍さんが味わっているリラックスというものなのかもしれない……。
「……し、幸せです……Zzzz……Zzzz……」
「……深く眠れ……そして、少しでも悲しみと、寂しさが紛れるようにの……」
赤黒龍さんが優しく何かを言っていた。
よくわからないけど、母のぬくもりと似たようなものを感じた気がした。
ボクが茶々やコボに与えたのもこんな感じのぬくもりだったのだろうか?……
次回の更新を楽しみに。因みに27日夜に35~37話一気に書かせていただきました。 ご意見ご感想御座いましたらお気軽に、とっても励みになります!




