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第4話 暁の女神、封印された青魔導士に口づける

俺は振り返った。


彼女は、内陣の祭壇に腰かけていた。


まるで客間の椅子にでも座っているみたいに。


裸足が石の上で、退屈そうに揺れている。


小柄な身体。


白い髪が、絹の幕のように背中へ流れ落ちていた。


まとっている衣は儀式用のものだった。


ただし、かろうじて形を保っているだけだ。


金糸。


ゆるい布の重なり。


罠にしか見えない襟元。


片方の肩からずり落ちたそれは、神聖なふりをするのに飽きたようにも見えた。


手首と足首には金の輪。


人形につける飾りのように繊細だった。


緋色の瞳が、愉快そうな好奇心を浮かべて俺を見ている。


俺はナイフをわずかに下げた。


「素晴らしい。神様か」


彼女の顔がぱっと明るくなった。


「あら。すぐにわかったの? 光栄ね」


「死んだ神殿の祭壇に座っている。候補はかなり絞られる」


彼女は笑った。


軽く、澄んだ、音楽みたいな笑い声。


死体のそばでは、あまりにも場違いだった。


「ラフェル・ソーン」


彼女は、俺の名前を面白い菓子でも見つけたみたいに口にした。


「三十八歳。青魔導士。苦々しい、小さな生き残り」


「妙だな。あんたらの口から出ると、今のはほとんど慈悲に聞こえる」


「あら。気に障った?」


彼女は祭壇から軽く飛び降りた。


足音はしなかった。


近くで見ると、さらに厄介だった。


抱き上げられそうなほど幼く見える。


帝国が腐っていくのを眺めてきたほど古くも見える。


そのどちらも面白がっているように見えるせいで、即座に警戒したくなった。


「誰だ」


彼女は芝居がかった喜びを浮かべ、両腕を広げた。


「ネフェレット。暁の女神よ」


「だろうな。神ってやつは、手遅れになってからしか現れない」


彼女の笑みは崩れなかった。


「必死な、小さな声が呼んだの。できる限り急いで来たわ」


そこで笑みが少しだけ翳る。


「けれど、わたしが着いた時には……もう死者しかいなかった」


「なぜ助けなかった」


「助ける?」


彼女は瞬きをした。


「もう手遅れだったもの」


「なら殺せ」


彼女の目が大きく開いた。


本気でわからない、という顔だった。


「殺す? なぜわたしが殺すの? わたしたち神々は、すべての命を無条件に愛しているわ。あの子たちは、まだわたしのものよ」


俺は清浄な空気を見た。


足元の死者を見た。


彼女の背後の祭壇を見た。


「面白い愛し方だ」


ネフェレットは、古い木の床を裸足でかすかに鳴らしながら、ゆっくり俺の周りを歩いた。


「ロットが山の下へ広がるのは止めたわ。この場所が、さらに三つの村を呑み込むほど大きな傷口になるのを防いだ」


彼女は俺の正面で足を止めた。


近い。


近すぎる。


動きに合わせて衣が揺れ、白い肩の線と、その下の膨らみが十分すぎるほど覗いた。


信心深い男なら、その場で新しい罪をいくつか考えつきそうだった。


俺は信心深くなかった。


だから別の問題が生まれただけだ。


「人は、刃物を握った子供みたいに祈るの。これを取り除いて。あれを取り除いて。飢えを。恐れを。残酷さを。悲しみを」


笑みが薄くなる。


「痛まなくなるまで世界を切り刻んでくれと願い、血が流れれば神を呪う」


「それで、あんたの答えは?」


彼女は首を傾げた。


「選ぶことには意味がある、ということ。たとえ人が、その選択で醜いことをしても」


俺は乾いた声で笑った。


「選択の後始末を埋めなくていいやつが言うには、便利な哲学だな」


初めて、彼女の表情から温度が消えた。



堂の空気が、少しだけ張りつめる。



「人がわたしの名で何をしてきたか、わたしが知らないと思う?」



「火刑。狩り。教会のきれいな嘘。あれらが、わたしにとって愛しいものだとでも?」



俺は何も言わなかった。


ネフェレットの視線が、ほんの半拍だけ遠くなった。


古く。


冷たく。


それから、また笑った。


その方が、なぜか余計に悪かった。


「神々はこの時代を支配しているわけではないのよ、ラフェル。生き延びているの」


堂の外から、靴が床をかすめる微かな音がした。


ネフェレットの唇が弧を描く。


「子猫を連れてきたのね」


次の瞬間、アリステルが戸口に足を踏み入れた。


ネフェレットを見るなり、膝から崩れるように跪く。


床にぶつかる音が聞こえた気がした。


「あ、暁の女神……」


ネフェレットは嬉しそうに目を細めた。


「礼儀も知っているのね」


アリステルは額が床板に触れるほど深く頭を垂れた。


尾は片脚にきつく巻きついている。


恐怖。


畏敬。


希望。


どれも危険な類のものだった。


「ご無礼をお許しください」


彼女は囁くように言った。


「私は家のために祈りに参りました。家族のために。導きを求めて――」


ネフェレットは彼女の方へ滑るように近づき、腰を落とした。


女神が指一本でアリステルの顎を持ち上げるのを、俺は見ていた。


対比が馬鹿げている。


雨水がまだ髪に残った、震える若い姫君。


そして、手元に置く玩具を見つけたように笑う、小柄な白髪の女神。


「ん……」


ネフェレットが喉の奥で満足そうに鳴らした。


「綺麗ね」


アリステルは耳の先まで真っ赤になった。


俺は咳払いをした。


「その子を壊すなよ。もう十分参ってる」


ネフェレットがこちらを振り返る。


「今の、少し庇っているように聞こえたわ」


「余計なお世話だ、という意味だ」


「嘘つきでもあるのね。可愛らしいこと」


ネフェレットは立ち上がった。


そして、どうやら神性というものは俺を名指しで馬鹿にするために存在するらしく、裸の片足をこちらへ差し出した。


「口づけなさい」


俺はそれを見た。


「断る」


アリステルが息を呑むような、ほとんど悲鳴に近い音を漏らした。


ネフェレットの笑みが深くなる。


「迷いもないのね。よろしい。すぐ跪く男は嫌いなの」


「跪くのは得意じゃない。膝が悪い」


彼女は挑発するように足の指を揺らした。


それから、俺を見つめたまま、ネフェレットは肩の結び目へ二本の指を滑らせ、軽く引いた。


布がわずかに落ち、白い肩が露わになる。


アリステルが小さく詰まった音を立てた。


「これなら助けになるかしら?」ネフェレットは軽く尋ねた。


俺は親指でナイフの血を拭い、彼女の目をまっすぐ見た。


「女神が信仰を得るために脱ぎ始めるなら、天界は思ったよりひどいことになっているな」


アリステルは、巻き添えの冒涜で死にそうな顔をしていた。


ネフェレットは、明らかに楽しみすぎていた。


「あら」


小さく呟く。


「ひどい人」


「それでも跪いてはいない」


彼女はくすりと笑った。


本当に、くすりと。


次の瞬間、堂の温もりが消えた。


針のように細い青白い光が、彼女の掌の上に生まれる。


圧力を帯びて低く唸り、まっすぐ俺の心臓を狙っていた。


「指先ひとつで、あなたは死ぬわ」


俺は退かなかった。


彼女の笑みが消える。


「命が惜しくないの?」


「もう使い切った。今は釣り銭みたいなものだ」


ネフェレットは、長いあいだ俺を見つめた。


やがて、その光がアリステルの方へ流れる。


「なら、従順な子に聞いてみましょうか。恐怖は、とても素直な答えをくれるもの」


アリステルの息が乱れた。


「お、おやめください……どうか……」


「その子を巻き込むな。放せ」


「面白い」


ネフェレットが囁く。


「あなた、それを繰り返すのね」


「なら、別のところを狙え」


彼女の目が、悪戯めいた喜びで細くなる。


「そうしなければ、どうするの? 青魔導士」


俺はナイフを上げた。


「手出しできない相手だと思うのをやめる」


半拍のあいだ、何も動かなかった。


それからネフェレットは仰け反るように笑った。


掌の光が砕け、漂う粒になって散る。


「ああ。あなた、面白いわ」


ネフェレットは近づいてきた。


触れられる前に、肌の冷たさがわかるほど近くへ。


彼女の指が俺の頬を撫でた。


与えるつもりなのか、台無しにするつもりなのか、まだ決めていない祝福みたいだった。


「女神を脅す。わたしに逆らう。崇拝を拒む。恐怖も拒む」


緋色の瞳が、炭火のように光る。


彼女は身を寄せ、囁いた。


「人間は、使者を殺すのが本当に上手ね。でも、あなたはしぶとそう」


ネフェレットは一度、俺から目をそらした。


「最後の者たちを、あなたたちは何と呼んだのだったかしら。背教者? 偽預言者?」


彼女は微笑んだ。


「ああ。炎に正義の名を与えたい時は、魔王と呼んだわね」


背後で、アリステルが小さく壊れたような声を漏らした。


「物語は……」


ネフェレットは祈るように両手を合わせた。


だが、その姿に敬虔さは欠片もなかった。


「あなたたちのような者は、普通の魔術師のようにマナを取り込むために作られたのではないの」


「青魔導士は、受け取るために作られた。宿すために。より大きな何かが力を注いだ時、危険なものになるために」


ナイフを握る手に力が入った。


「嫌な話になってきたな」


「ええ」


彼女は軽く言った。


「あなたは気に入らないでしょうね」


ネフェレットの視線が、壊れた神殿と、死者たちと、石に残ったロットの黒い染みをなぞった。


「神々は死んだ。隠れた。囚われた。あるいは、聞こえないふりをしている。古い守りは崩れ始めている。この病は終わりではないわ、ラフェル。これは兆候よ」


彼女は俺を見直し、あの小さく、目を奪われるほど不公平な笑みを浮かべた。


「そして、わたしには守護者が必要なの」


アリステルが、自分の意志に逆らうように囁いた。


「本当だったのですね……」


「ラフェル・ソーン」


ネフェレットは爪先立ちになった。


「扉を叩けば何が応えるのか、見てみましょう」


彼女は片手を俺の首の後ろへ滑り込ませた。


文句を言うか、噛みつくかを決める前に、ネフェレットは俺に口づけた。


優しくはなかった。


残酷でもなかった。


そのどちらより悪かった。


それは、鎧の隙間へ刃が滑り込む時のような親密さだった。


正確で、意図的で、偶然などとは絶対に間違えようのないもの。


青白い光が、俺の身体の中で爆ぜた。


膝が石の床を打った。


どこか遠くで、アリステルが叫んだ。


頭蓋の内側で轟く音の向こうに、ネフェレットの柔らかな笑い声が聞こえた。


「おめでとう、青魔導士。あなたの封印は解かれたわ」

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