第15話 青魔導士、猫耳姫の家名まで背負わされる
街はろくに眠れなかったらしい。
それでも、認める気のない顔で朝を迎えていた。
使用人たちは、上の中庭を静かに行き来していた。侍従たちは、ネフェレットが目覚めさせたものに焦がされたリボンを取り替えていた。
石工と人夫たちは、誰かが被害を大げさに語る暇もないほど早く、夜明け前から下の訓練庭の割れた石を片づけ始めていた。
内神殿からは、慎重に間を置いた鐘の音が響いていた。
祝いではなく、秩序のために鳴らす類の音だ。
フリルグレイヴ家は、古い家が最も得意とすることをしていた。
人目につかないように血を流すことだ。
俺は門のアーチの下に立っていた。
外套を着込み、荷物は詰め終え、忍耐はすでに、職業道具みたいな薄さまで削れていた。
中庭には、煙と新しい漆喰の匂いがかすかに残っていた。
馬丁が、ミラが強く主張して手配させたラバの手綱を持っていた。そのラバは、俺たち全員に等しく腹を立てている顔をしていた。
仲間がいて何よりだ。
ミラは背中に負った盾を確かめ、腰の鞄を確かめ、それからアリステルの荷物の紐を確かめていた。
戦に備える女の、喜びのない精密さだった。ついでに、現実の作りの悪さを恨んでいる顔でもある。
彼女は侍女服をやめ、旅装に着替えていた。
品位よりも動きやすさを優先した服だ。
暗い色の身体に沿う上衣は、胸元を紐で締めている。一応、慎みというものに相談はしたのだろう。そのうえで却下したらしい。
袖は短く、腕の動きを邪魔しない。腰には前後を割った上掛け。その下の細身のズボンは、隠すべき形をほとんど隠していなかった。
ミラは、実用性で隠すほど余計に目立つ類の体つきをしていた。
細い腰。
豊かな腰回り。
そして、胸元は十分に主張が強く、彼女がきびきび向きを変えるたびに、集中力に対する異議申し立てになった。
服は明らかに、動きやすさで選ばれている。
それでも不公平なものは不公平だった。
アリステルは外階段の近くに立っていた。
片手をもう一方の手の上に軽く重ねている。名家が褒めすぎ、使いすぎる、あの整った静けさだ。
喉の首輪は、身体を包む外套の下にほとんど隠れていた。
それでも時折、朝日が白い石を拾い、私的な侮辱みたいに一度だけ光らせる。
フリルグレイヴ卿と夫人が、奥の館から並んで降りてきた。
夫人は先にアリステルのもとへ歩み寄り、一歩手前で止まった。
中庭には目が多すぎる。
古い家の人間は、痛む時ほど節度を愛する。
夫人の視線が、娘のフード、外套、レイピア、手、靴、顔を一度ずつなぞった。
汚れを確かめる母親ではない。
欠けた部品がないか確認する指揮官の目だった。
「覚悟はできているのね」
拒否という選択肢が、すでに部屋から締め出された後の問いだった。
アリステルはわずかに頭を下げた。
「求められていることは、理解しております」
母親の目が和らいだ。
ほんの一拍だけ。
「私が聞いているのは、そういうことではありません」
アリステルは、脇で一度だけ指を強く握り込んだ。
「……いいえ」
「よろしい。確信など、たいていは姿勢のいい無知です」
フリルグレイヴ卿は、娘の反対側で足を止めた。
俺たち三人を、あり得る未来のすべてに値札をつけるような目で見ている。
まず視線がミラに止まった。
「わかっているな」
低い声だった。
「これは、もはや普通の奉公ではない」
ミラはひるまなかった。
「はい、旦那様」
「それでもか」
顎がほんのわずかに固くなる。
「それでも、姫様は行かれます」
フリルグレイヴ卿は一度だけ頷いた。
それから、俺へ向き直る。
この屋敷は、この二日ほどを使って、俺が答えなのか、兆しなのか、あるいは手遅れになってから悔やむ類の厄介事なのか、判断しようとしてきた。
結論は、おそらく全部だった。
「ソーン殿。娘を道へ送った時、私はあなたに契約を託した。雇われた剣だ。必要に迫られた、実務的な判断だった」
目が一瞬だけアリステルへ動き、また俺へ戻る。
「その信頼は狭いものだった。これは違う」
「あなたは娘を生きて帰した。そのことについて、この家は感謝している」
感謝、という言葉を、彼はほんの少しだけそこに置いた。
それが温かさとは別物だと示すには十分な長さだった。
「だが、娘は変わって戻った。誰にも理解できない形で結ばれ、恐怖を噂に変えたがる街の目にさらされた」
彼の視線が、一瞬だけアリステルへ動く。
「そして今、娘はまたあなたを傍らに置いて出ていく。この家の名を背負い、外に待つ何かへ向かって」
アリステルは、脇で一度だけ指を強く握り込んだ。
「喜んでいるふりはしない。していない。突然寛大になったから、あなたを信じるふりもしない。私はそういう人間ではない」
視線が俺を捉えたまま動かない。
「だが、必要があなたを我が門へ二度連れてきた。そして二度とも、娘は生きていた。だから私は、あなたが何者かを信じる前に、あなたが何をしたかを信じる」
正しい。
不愉快なほどに。
「わかりました」
フリルグレイヴ夫人が、しばらく俺を見ていた。
「ならば、もう一つ理解なさい。こちらに他の選択肢がないことと、目が曇っていることを取り違えないように」
「取り違えません」
「ええ。そうなさい」
そして、再びアリステルへ向き直る。
「門が閉じる前に、街はあなたの出立について語り始めます」
「もう語っております」
母親は驚かなかった。
「街は怯えています。怯えた人々は、恐怖を抱えやすい形にしたがるものです」
アリステルの視線がわずかに下がる。
夫人が一歩近づいた。
声は低い。だが柔らかくはなかった。
「あなたは隠されるのではありません。正されるのでもありません。昨日の出来事などなかったことにするために、この家があなたを外へ出すのでもありません」
アリステルは黙って立っていた。
「あなたは寵のもとに発つのです。務めのもとに発つのです。街が語らねばならないのなら、繰り返すに足る勇気を与えなさい」
それまで門の近くで中庭の鳩を眺めていたネフェレットが、ようやく振り向いた。
鳩という生き物の設計に、不満でも見つけたような顔だった。
「厳しいわね。でも、冷たくはない」
フリルグレイヴ夫人の目は娘から離れなかった。
「人をさらに怯えさせるだけの優しさに、価値はありません」
フリルグレイヴ卿が、一度だけ衛兵たちを見た。
そして門へ。
「知らしめよ」
その声は、必要なだけ遠くまで届いた。
「フリルグレイヴ家は、その娘を暁の寵のもとに送り出す。退くためではない。応えるためだ。暁のもとで印を受けた守護者は、道が不確かになる時、安全な壁の内に留まる者ではない」
衛兵たちが頭を下げた。
侍従たちもそれに続く。
ソーレン隊長が、軽く拳を胸に当てた。
ミラは、呼ばれるまでもなくアリステルの横へ進んだ。
盾持ち。
侍女。
壁。
ネフェレットは、ようやく形が整ったと言わんばかりに笑った。
俺は荷物を肩に直し、門の向こうの道を見た。これ以上長い演説を誰かが始めるなら、そいつらを置いて出発すると決めた。
アリステルは、俺の顔からその考えを読んだらしい。
「そんなに面倒そうな顔をなさらないでください」
小さな声だった。
「面倒を作るのが貴族の役目だと思っていた」
「皮肉で誰かがよくなることはありません」
「ないな。でも出発は短くなる」
彼女の尾が後ろで揺れた。
フリルグレイヴ卿の視線が、俺たちを越え、門の外へ流れる。
「隊商が減った」
今度の声は、もう大きくなかった。
「手紙も減った。この街は、少しずつ孤立していた」
ミラが顔を上げた。
「私は、それを安全だと思っていた」
「今は、それがただ、知らされなくなっていただけではないかと思っている」
ネフェレットの笑みが薄くなる。
「道は、街より先に口を開くものよ」
軽い声だった。
「アルダーヴェイルのような場所が静かになる頃には、たいてい誰かが、何を言ってはいけないかを教え終えている」
フリルグレイヴ夫人の目が彼女へ動いた。
「それでも、あなたは明かそうとはなさらないのですね」
「役に立つ前に明かすほど、わたしは親切ではないの。あなたたちの道は細っている。恐怖だけでは説明できない理由で。それだけで、分別ある者は動くべきでしょう?」
「急に分別ある者が豊作になったな」
俺は呟いた。
その時、フリルグレイヴ夫人が一歩前へ出て、袖から小さなものを取り出した。
細い漆塗りの箱。
黒地に、白い結び目の意匠が蓋に入っている。
「強い治癒薬です」
ミラは両手でその箱を受け取った。
「奥方様」
「事がすでに重大になってから使いなさい」
ミラは頭を下げた。
「はい、奥方様」
フリルグレイヴ夫人が俺へ向き直る。
「あなたはもう、私的な傭兵としてこの一連の出来事の中を動いているのではありません」
「その道へ、私の娘と、この家と、その名を連れていくのです」
視線は和らがなかった。
「ゆえに、いざという時、あなたが自分の良心を守ることではなく、フリルグレイヴにとって最善のことを選ぶと信じるほかありません」
俺はその目を受け止めた。
「承知しました」
「そうありなさい」
アリステルは一度だけ両親を見た。
それから門へ。
最後に、自分の手へ視線を落とした。
フードをしっかり整えようと手を上げた時、指先が偶然、喉の首輪に触れる。
ほんのわずかな一瞬だけ、動きが止まった。
最初に門へ向かったのはネフェレットだった。
白い衣が足首の周りで揺れている。
裸足で、満足げで。
神と子供だけが正直にできる類の顔だった。
俺たちも続いた。
外橋のところで、フリルグレイヴ卿と夫人は足を止めた。
衛兵と侍従たちが、少し離れた場所から見守っている。
アリステルは、両親に一度だけ頭を下げた。
服従のために去る娘の礼ではない。
服従はすでに終わり、もうそれが問題ではなくなったのだと受け入れる者の礼だった。
ミラは盾をさらにしっかり背中へ収め、アリステルの肩の位置に立つ。
俺は最後に一度だけ振り返った。
フリルグレイヴ卿は、年月と不安にもかかわらず、まっすぐ立っていた。
フリルグレイヴ夫人は、その隣に立ち、両手をきちんと前で重ねている。
家がそれを求めるから、静かだった。
フリルグレイヴは、手を振らなかった。
やがて橋が俺たちの靴の下を過ぎ、門が背後へ落ちる。
フリルグレイヴ家は、もう俺が彼女を返した場所ではなくなった。
落とさずに前へ運べと期待されているものになった。
それを、俺は顔に出すよりずっと嫌っていた。




