第12話 青魔導士、朝食で角付き侍女に査問される
金持ちの屋敷の朝は、静かに始まる。
平穏というものは正直だ。
畑にある。
よく眠れた後のひどい安宿にもある。
昼までに何も噛みついてこなかった道中にも、まれにある。
貴族の屋敷にある静けさは、別物だ。
整えられている。
管理されている。
銀食器の陰に押し込められた混乱の上へ、礼儀という薄い布をかけたものだ。
フリルグレイヴ家は、その静けさを実にうまくやっていた。
つまり、屋敷中が怯えているということだ。
俺はよく眠れなかった。繋ぎのせいだった。痛むわけではない。ただ、邪魔だった。夜のあいだに一度か二度、肋骨の下で脈打ち、無視するには近すぎるところに誰かがいると教えてくる。
そこへ、リボンと絹のアリステル、俺の頬を打った平手の音、そしてフリルグレイヴ家が「天が俺を玄関先に届けてくれた」と信じたまま眠ったという不愉快な事実が加わった。
眠れたかどうかは、ほとんど仮定の話だった。身支度をし、顔を洗い、まだ頬に薄く残る彼女の手形と和解した。朝食は、内庭を見下ろす小さめの脇部屋に用意されていた。
雨水はまだ石の上に残っていた。
米。
川魚。
漬物。
澄んだ汁。
侮辱的なほど高そうな香りのする茶。
卓には六人分の席があった。
埋まっているのは一つだけだった。
ミラが向こう側に座っていた。暗い侍女服をまとい、小さな黒い角が、髪のあいだから整った拒絶みたいに後ろへ流れている。彼女はすでに朝食を半分食べ終え、忍耐は全部食べ尽くしていた。
俺が入ると、目だけが上がった。
平坦。値踏み。朝から目が覚めすぎている。
そちらもいい朝で何よりだ。
俺は向かいに座り、茶へ手を伸ばした。
急須は、届きにくい場所へずらされていた。
俺は彼女を見た。
彼女も見返してきた。
「この屋敷は、まだ客人へのもてなしを大事にしているらしいな」
「食事は出ています。それだけで十分に寛大です」
「強い出だしだ」
「そう思いました」
もう一度、手を伸ばす。今度は急須を取らせた。つまり、ただ釘を刺したかっただけらしい。
使用人が現れ、俺のそばにもう一つ椀を置き、礼をして、俺が金持ち屋敷の不可視化術を技能と呼ぶべきか病気と呼ぶべきか決める前に消えた。
茶を飲む。
うまい。
腹立たしいほどうまい。
ミラは、自分の杯の縁越しに俺を見ていた。
「君はフリルグレイヴの血筋じゃないな」
片眉がわずかに動く。
「何でおわかりに?」
「角。性格。神が悪趣味な冗談でここに配属したような全体の空気」
ミラは杯を置いた。
「母がこの家に仕えていました。その後を、私が」
「山羊がどうやって猫の屋敷に仕えることになる」
「足場がいいので」
茶に向かって、思わず鼻で笑った。
「今のは冗談に聞こえたぞ」
「後悔させないでください」
沈黙が落ちた。
ちょうど、意図的なものになるだけの長さだった。
やがてミラが口を開く。
「アリステル様は同席されません」
「それは察していた」
「奥方様とご一緒です」
俺は空いた席を見た。
「それで、屋敷の残りは?」
「取り込み中です」
「便利な不在だな」
ミラは杯を置いた。
「昨夜、アリステル様はお部屋から戻られた時、ひどく動揺しておいででした」
「そのまま落ち着くことを許される前に、家の問題になりました」
俺は何も言わなかった。
「質問されました」
ミラは続けた。
「助言され、正され、昨日の出来事が外からどう見えるかを思い知らされました」
顎が一度だけ動く。
「こういう家がどう動くか、あなたにはおわかりでしょう」
わかっていた。おそらく、だからこそ、そういう言い方で聞かされるのが気に入らなかった。
ミラの目は、俺から離れなかった。
「何を言ったのか、聞かれました」
「何を着ていたのか。言葉が過ぎたのではないか。仮誓約を、もっと温かなものと取り違えたのではないか。女神様に公の場で印を与えられた男の前で、フリルグレイヴ家を性急で、愚かで、追い詰められているように見せたのではないか」
俺は茶を見た。湯気が、整った、役に立たない細い糸みたいに杯から立ちのぼっている。
「問われたのです」
ミラは続けた。
「恩寵の印であるはずのものを、騒ぎに変えてしまったのではないか。誓いの形を損ねたのではないか。お部屋を出た後、暁の女神が沈黙なさったことは、不興の表れではないか。一夜の屈辱が、この家全体をまた不確かさの下に戻してしまったのではないか」
ミラの指が、自分の杯を一度だけ強く握った。震えるほどではない。ただ、皿に置いた時、磁器が小さく鳴る程度には。彼女の手が、俺たちの間の卓に置かれた。怒りを力ずくで押さえ込んでいる人間を見慣れていなければ、平静に見えるくらいには、しっかりと。
「アリステル様は、具合が悪いのではありません。結果を受け止める手助けを、受けておられるのです」
その一文の中には、醜いものがいくつも詰まっていた。ミラは、その中で一番ましな言い方を選んだ。それだけで、昨夜がどれほどひどかったのかはわかった。
俺はもう一口、茶を飲んだ。
「よかった。眠れなかったのが俺だけだったら、寂しいところだった」
彼女の目が鋭くなる。
「面白がっているのですか」
「違う、避けられないことだったと思っている」
「だからといって、ましにはなりません」
「貴族ってのは、何をしてもましにならない」
ミラはそれを流した。つまり、目の前にもっと大きな獲物があるということだ。
「あなたはもう、ご自分の判断がご自分だけに関わるものだと思って振る舞える立場ではありません」
俺は箸を取り、真面目な料理にふさわしい真面目さで魚へ向かった。
「そうなのか?」
「そうです」
声は平らなままだった。
「女神様があなたの名を公に告げ、アリステル様があなたの命と繋がったまま門をくぐった時点で、あなたは個人的な厄介事ではなくなりました」
俺は飲み込んだ。
「ずいぶん物々しい言い方だな」
「正確な言い方です」
もう一口食べる。魚はうまかった。フリルグレイヴ家に、この魚はもったいない。ミラは、俺が噛むのをあからさまな不満とともに見ていた。
「あなたはもう道の上にはいません、ソーン様」
「肩をすくめて後始末を置き去りにし、噂が追いつく前に消えることはできません。この家では、一つの仕草が憶測になります。一つの言葉が方針になります。間の悪い屈辱一つが、兆しなのか、寵なのか、不名誉なのかという問題になります」
俺は顔を上げた。
「てっきり、君は個人的に俺が嫌いなだけだと思っていた」
「嫌いです。これは、私が役に立っているだけです」
彼女は手を組んだ。
「昨夜、ご自分が何をしたかわかっていますか」
「わかっている」
「アリステル様は、この家が慣習を期待したから、あなたの部屋へ送られました」
「命じられたから行かれたのです。ご本人がそれをどう感じていたかは、戻ってきた瞬間から、あっという間に問題ではなくなりました」
「練習してきたな」
「短い方を」
「効率的だ」
「あなたと違って」
俺は茶越しに彼女を見た。彼女の表情は、さらに平坦になっていた。怒りは薄い。その分、値踏みが濃くなっている。
なぜか、その方が悪かった。
「つまり、可能性は二つです」
すでに嫌な予感しかしなかった。
「それは普通、俺の台詞だ」
「アリステル様を望んでいなかった」
「まったく違う」
「では」
彼女の目が、ほんのわずかに細くなる。
「二つ目は、身体的な問題です」
俺は彼女を見た。
彼女は瞬きもしなかった。
「冗談だろ」
「愚かな可能性を、変数から取り除こうとしているだけです」
「やり方を拒否する」
「拒否はご自由に」
ミラは平然と返した。
「ですが、アリステル様の将来に関わるかもしれない問題について、弱点を把握するのは私の務めです」
俺は鼻筋をつまんだ。
「ミラ」
「はい」
「この屋敷、アリステルを家ぐるみで寝所に押し込むことに、妙に熱心すぎないか」
彼女は落ち着き払った手つきで腰の鞄に手を入れ、小さな栓付きの瓶を二つ、俺たちの間の卓に置いた。
俺はそれを見た。
それから彼女を見た。
「断る」
「一つは血の巡りに。もう一つは自信に。問題が大きさか働きかによって、服用量を調整できます」
俺はもうしばらく彼女を見つめ、それから意図せず短く笑ってしまった。
「山羊」
「君は、もっと常識的な女だと思っていた」
「常識的です」
彼女は即答した。
「だから準備してきました」
「俺を嫌っている女から薬は受け取らない」
「嫌っているのは、あなたの判断力です」
ミラは訂正した。
「あなたの身体は、残念ながら関係があります」
俺は顔を手でこすった。
「念のため言っておくが」
「どちらにも問題はない」
「では、単純に愚かということですね」
「それが一番有力な説だったな」
ミラはもう一拍だけ俺を観察し、それから診断の機会を失って落胆した外科医みたいな顔で瓶に栓を戻し、鞄へしまった。
「よろしい。その方が対処しやすいです」
俺は彼女を指さした。
「この屋敷には、おかしいところが多すぎる」
「あります」
彼女は認めた。
「あなたが朝食の席にいることも、その一つです」
使用人が入り、礼をして茶を淹れ直した。
今度の使用人は、折り畳まれた書類の束をミラの膳のそばへ置き、何も言わずに下がっていった。
ミラはすぐにはそれに触れなかった。
「節度を、許しと取り違えないでください」
「寝台脇の対応が見事だな」
「私はあなたの寝台脇にはおりません」
「まだな。朝は長い」
それだけは、怒りではなく軽蔑の始まりくらいには届きかけた。
俺は魚に戻った。俺の食欲は、もっとひどい会話にも耐えてきた。
ミラは数口分だけ俺を黙って食べさせてから、書類を開いた。
その表情が、次の厄介事を見つけ、それを予定に組み込むと決めた人間の実務的な鋭さに変わる。
「第二鐘で、下の訓練庭へ出ていただきます」
俺は噛み続けた。
「断る」
「その答えは、もう使えません」
飲み込む。
「なら、予定を立てたやつには失望を覚えてもらおう」
ミラは書類を卓の上で滑らせた。
俺が無視できない程度には近く。
だが、俺が協力すると信じているようには見えない程度には遠く。
「昨日、街はあなたに誓いの印が与えられるところを見ました。今日は、それが間違いではなかったと示す日です」
「間違いだった」
ミラは手を組んだ。
「あなたを兆しと見る者もいます。厄介事と見る者もいます。丁重に、そして速やかに葬るべき凶兆と見る者もいます」
「ようやく、まともな派閥が出てきたな」
彼女の目が細くなる。
「第二鐘で」
ミラは続けた。
「あなたはアリステル様とともに下の訓練庭へ出る。命じられた場所に立つ。家の衛兵、神殿の巫女たち、そして噂が勝手に形を選ばないよう見届けるだけの証人たちに見られる」
「どうして脅しみたいに言う。どう聞いても命令だろ」
ミラが書類を一度叩いた。
「両方です」
衝立の向こうから、叩く音がした。
ミラは振り向きもせずに応じた。
「入りなさい」
別の使用人が深く頭を下げた。
「女神様が、お部屋におられません」
ミラは目を閉じた。
俺は茶に向かって笑った。
「それは脅しに聞こえるな」
使用人は、賢明にもそれ以上何も言わなかった。
ミラは指先を軽く振って彼を下がらせ、それから二呼吸分だけ、じっと座っていた。
再び目を開けた時には、もっと深く、もっと古い屋敷の恐怖がそこに入り込み、規律の下へ素早く埋められていた。
ほとんど有能に見えるくらいには速かった。
「結構です」
もちろん、真逆の意味だった。
「では、この一日が何になる予定だったにせよ、今さらに悪くなりました」
俺は少し背を預けた。
「心安らぐ屋敷だな」
「いいえ。この街に来てから、あなたはその言葉を何度も誤用しています」
彼女は席を立った。
小柄で、均整が取れていて、山羊めいた頑固な安定感を、すべて無駄なく動きへまとめている。
「第二鐘で、下の訓練庭へ」
「行かなかったら?」
彼女の視線が、冬の閉ざされた礼拝堂みたいな温度で俺に据えられた。
「私が迎えに行きます」
「そして、巫女たちより丁寧ではないとお約束します」
彼女は出ていこうとして、敷居のところで足を止めた。
振り返りはしなかった。
「それと、ソーン様」
「何だ」
「今朝アリステル様と話すなら、利口ぶらないでください。あの方はもう、あなたのそれを十分に浴びています」
そう言って、彼女は去った。
俺は一人、茶と魚と、さっきまで俺の尊厳を脅かしていた薬瓶の空白と、フリルグレイヴ家が俺の協力に関係なく、俺をその機構へ折り込むと決めたらしい感覚の中に残された。
それでも茶は飲み干した。
天が用意した次の災難に向かうなら、腹は満たしておくべきだ。
屋敷のどこか高い場所で、鐘が一度鳴った。
続いて、もう一度。




