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アルの還る場所  作者: 無名の記録者
第11章 未来を紡ぐ手
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第5話 守る者の選択

 早速、海底都市で得た情報を共有した。


「まさか、古代人の住処だったとは……」


 ヴァルセリオが呆然と呟く。

 イゼリアは、腕組みをしたまま眉を寄せた。


「いや。それよりも、西の未開域が実は爆心地で、三百年前に一度、世界が滅びかけただと……?」

「魔法を使えない人間、テラってのも、空想の話みたいだ」


 ジークが、イゼリアの隣で息を吐く。

 ノエルも少し青ざめながら言った。


「魔法が使えないから、瘴気を武器にした……しかも、竜にまで手を出そうとしたとは。にわかに信じがたいですね」


 ラウレンも、ゆっくりと頷く。


「竜の伝説に、そのような裏があったとは……」


 アレンが、1号の肩に手を乗せた。


「すべて、1号が過去の記録をもとに教えてくれたんだ」

「ほう……小さいのに、すごいな」


 イゼリアが頬を緩め、賞賛を送る。

 1号は、アレンの足にしがみつきつつ、イゼリアを見上げた。


 アレンが、重く告げる。


「海底都市にある古代の知識や技術は、世界を何度でも壊せる。だからこそ、公表せずに、監視下に置くことを提案する」


 フィオナが、ゆっくりと頷いた。


「知識もないまま不用意に手を出して、三百年前の悲劇を繰り返すわけにはいかないから」


 ジークが、首の後ろを掻く。


「まあ、それはいいんだけど」


 その視線が、1号に向く。


「イチゴウ、っていったか?お前はそれでいいのか?一応、故郷なんだろ?」


 1号はジークを見上げて目を丸くした。

 戸惑いがちに眉を下げ、頷く。


「我は、汝たちに従うよ」

「……しゃべった。しかも、じいちゃんみたいな話し方だ……」


 なぜか、ジークの方がもっと驚いたような顔をする。

 イゼリアが、呆れを含んだ目をジークに送った。


「生きてるんだ、話すくらいするだろう」

「いや、まあ、そうなんだけどさ……」


 ノエルは膝を折り、1号と目線の高さを合わせた。


「ごめんなさい。あなたのことを拒んだり、怖がらせようとしたわけじゃないんです。ただ……私たちは、立場上、何でも簡単に受け入れるわけにはいかないんですよ」


 その言葉に、1号はゆっくりと頷いた。

 ノエルが微笑んで、1号の頭を撫でる。


 その様子を、リオは少し離れたところで見ていた。

 すぐ近くに、ユリウスとイリスもいる。


 ユリウスが重たげに口を開く。


「ねえ、僕たち……」


 その声は、小さい。


「言っちゃだめ、なのよね……?」


 イリスも小声で呟いた。

 リオは小さく頷く。


 アレンとフィオナが、すべての責任を負ってくれた。

 そしてそれは、リオたちのためだけではない。

 1号のことを考えてだと、言われなくてもわかった。


 ここで本当のことを話すのは、二人を裏切るようなものだ。


 けれど。

 嘘はついていない。

 それでも、罪悪感はあった。


 少し息を詰め、1号の背中と皆の顔を交互に見た。

 言えない真実の重みが、胸をぎゅっと押し潰すように感じられた。


 リオは、自分に言い聞かせるように言った。


「俺たちは、何も見てない。何も、知らないんだ」

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