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アルの還る場所  作者: 無名の記録者
第9章 海への旅
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第11話 決意の境界

 両親を見ていたリオは、ゆっくりと息を吐いた。

 胸の奥で、何かが静かに崩れ落ちていく感覚があった。


 テラの生き残りが、俺たちを消し去ろうとしているなら。

 だったら、テラをすべて消さなくてはいけない。

 やられる前に、仕掛けなければ。


 はっと息を呑んだ。

 心臓がどくん、と強く鳴る。遅れて、全身に冷たいものが広がっていく。


 一瞬でもそんな考えが脳裏をかすめたことに、ぞっとした。


「あの……」


 か細い声に、皆の視線が向く。

 小さく手を上げたユリウスは、びくりと肩を震わせながら口を開いた。


「瘴気魔獣が増えたのは、四十年前からですよね」


 言われて、リオも思い出す。

 ──確かに、ヴァルセリオがそんなことを言っていた。


「それまで、テラは三百年近く沈黙していた。つまり、その時に何か……彼らの気に障る出来事があったんじゃないですか?」


 張りつめていた空気が、わずかにゆるむ。

 確かにそうだ。

 三百年前に“殲滅”を宣言しながら、長らく行動を起こさなかったのだ。


「じゃあ、話し合えば解決できるかもしれないってこと!?」


 イリスが、ぱっと顔を明るくする。


「そうよね、怒らせちゃったなら、謝ればいいのよね!お互いにごめんなさいってすれば……いいのよね……?」


 周囲の反応を見て、イリスの表情からすっと光が消えていく。

 声も次第に細くなり、口元の笑みもすぐに消えた。


 ──互いの謝罪で済ませるには、こちらの受けた痛手は大きすぎた。

 昨日の戦いが、それほどまでに苛烈だったからだ。


 ユリウスが視線を落とし、静かに首を横に振る。


 リオはユリウスとイリスのやり取りをじっと見ていた。

 不思議と、先ほどの考えはもう消えていた。


「……許すかどうかは、また別の問題じゃないかな」


 リオは口を開く。

 胸の奥に、確かな答えが沈んでいく。


「生き残りのテラを探そう。きっと、この街のどこかにいるはずだよ」


 知りたいと思った。

 理解したいと思った。


「確かめよう。どうしてこんなことをしたのか。何が引き金になったのか」


 そして──


「俺たちと、これからどうありたいのか」

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