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アルの還る場所  作者: 無名の記録者
第12章 積み重ねたもの
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第6話 隣にいる理由

 旅から戻ったあと、1号はリオの後ろをついてくるようになった。

 アレンは、その変化を何も言わずに見守るだけだった。


 学園生活も再開した。


 はじめて1号と一緒に教室へ入ったとき、当然のように驚かれた。

 だが、預かっている子で、事情があって一緒に学ばせてほしいと伝えると、みんなあっさり受け入れてくれた。


「……実は、隠し子ってことはない?」


 同級生の一人が、興味本位でそんなことを尋ねてきた。

 1号はその生徒を見上げたまま、じっと見つめる。そして微笑んだ。


「残念ながら、違うよ。我も、アレンの息子だったらよかったんだけどね」

「わー、わかる!アレンさんの息子とか、憧れるよね!」


 すぐに別の声が乗る。


「いや……息子なんて、憧れでなるものじゃないでしょ」


 リオが引き気味に返した瞬間、教室の空気が止まった。


 全員の視線が、一斉にリオへ向く。


「俺、今日ほどリオが憎らしいと思ったことないよ」

「うん、本当、そうだよね」

「えぇ……」


 納得いかず、眉を寄せる。


 隣で、1号が笑った。


 その穏やかな空気のまま、1号は自然とクラスに溶け込んでいった。


 *


 寮の自室で、リオは新しい魔法陣を作っていた。


 部屋には椅子が一つ増えている。1号の分だ。

 隣に座った1号が、完成していく魔法陣を見つめている。


「リオ」


 ふいに声が落ちた。


「ここ、制御が甘いね。これだと六割くらいの確率で暴発するよ」

「ん?……本当だ。ありがとう、1号。これ今日納品予定だったんだ、助かった」


 リオはすぐ、修正に取りかかる。

 だが、途中でふと手を止めた。


「どうしたの?間に合わないよ?」


 不思議そうに首をかしげる1号に、リオはゆっくり目を向けた。


「1号……もし俺たちが間違えそうになったら、止めてほしい」


 1号が一瞬、きょとんとした表情を浮かべた。


 リオはまっすぐ見つめ、言葉を選ぶようにして付け加える。


「殴ってでも、ね」


 少しだけ間を置き、頬を緩めて続けた。


「もちろん、1号が踏み外しそうになったら、俺たちも怒るから」


 1号は目を丸くする。

 ゆっくりと瞬きをして、眉を下げた。


「我が殴ったら、リオは吹き飛ぶよ?」

「大丈夫。俺だって鍛えてるんだから」


 どちらからともなく笑みがこぼれ、二人は小さく笑い合った。

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