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胡蝶の夢、夜に舞う  作者: 天霧 翔
第一章 胡蝶編
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提案

「ふむ、案とはなんなのじゃ?ハル、言ってみるがよい。」


 偉そうに踏ん反りかえっているロリババア。さっきまでの殊勝な態度が嘘のようだ。


「こら!ババア言うな言うとるじゃろ!あと偉そうじゃなくわらわは本当に偉いのじゃ!」

「はいはい、いい子ですね。飴ちゃん食べます?」

「こ、子供扱いするな!わらわは280歳じゃぞ!」


 これだからアマネの扱いは面倒臭い。ババアと言えば怒るし、おこちゃまと言っても怒る。一体どうすればいいと言うのだ。


「ええい、普通じゃ!普通に扱えばいいのじゃ!・・・もうよい!早くお主の案とやらを言うのじゃ!」


 アマネが地団駄を踏みながら叫ぶ。何か面白いのでこのままアマネで遊ぶのも悪くないが、殺されそうなので止めておこう。下手したら胡蝶をクビにされかねん。


「わかりました。まず1つ目ですが、今後は護衛して頂ける方と一緒に帰るというので如何でしょう。」

「それはコハルのように・・・その・・・隠れたりせず・・・一緒にってことでありんす?」

「はい、もちろんそうですが?」


 何故ヨギリがわざわざ聞き返してきたのかよくわからない。それ以外の意味などないだろう。


 正直護衛してもらう時点で申し訳ないので、それ自体を遠慮したいのだが、彼女達はそれは絶対に止めないと言っている。それならば少しでも手間を減らせればと思い、これを提案した。一緒に帰るのであれば、影から密かに見守らなくていいし、大分楽だろう。


「それは良い案じゃ!うむ!わらわは大賛成なのじゃ!」

「それならよかったです。サクヤさん達はどう思いますか?」

「はい、私達も大丈夫ですよ。ねえ、皆さん?」


 サクヤの問いかけに頷く嬢達。


 全員賛成のようだ。よかった。俺としても仕事帰りに話し相手が出来るし、とぼとぼ1人寂しく帰らなくて済む。


 だが問題が1つ。


「ただこの方法だと、目立つんですよね。サクヤさん達と帰ったりなんかしたら・・・さらによからぬ噂を呼びそうで心配です。」

「大丈夫ですわ。それなら昨日のように魔法をかければいいんですわ。」


 コハルが平気平気と軽い感じで言ってくるが、そう言う事ではない。


「でもそれだと結局コハルさん達が面倒でしょう?」


 魔法を使うには魔力が必要らしい。俺は魔法を使えないので、それがどの程度大変なのかはわからない。だが余計な手間をかけさせる事になるのは確実だ。そもそも娼婦としての仕事が終わった彼女達に護衛を頼むのは非常に不本意だ。俺の仕事は嬢達のケア。その俺が疲れさすような事をしてどうする。本末転倒だ。


「そ、そんなことないでありんす!」

「ど、どうしたんですか、ヨギリさん。そんなに大声出すなんて珍しい。」


 いつも優雅で気品があり、一挙手一投足が美しいヨギリ。そんな彼女が大声を出すのは本当に珍しい。まあ娼婦の時のヨギリはという注釈はつくが。普段のヨギリは方言丸出しで、言動は粗暴だし、振る舞いも粗野だ。


「・・・な、なんでもないでござりんす。気にしないでくんなまし。」

「もうすぐお仕事なんですからお願いしますね。」


 とはいえ普段のヨギリの方が俺は愛嬌があって好きだ。ただ本人に言った事はない。娼婦の仕事に変な影響が出ては不味いので、俺は基本的に私的な意見は言わない。「その衣装可愛いですね」など褒めたりは当然するが「私は好きです」等、個人的見解を言わないよう細心の注意を払っている。まあ娼館で働く関係者として当然の事だろう。


「それで?ハルさんはどうしたいのかしら?」


 もう1つ案があるんでしょとコハル。その通りだ。


「はい。そこでもう1つの案なのですが・・・私がここに住むというのはどうでしょう。」

「なんじゃと?それはつまりお主が『胡蝶』に住むと言う意味かの?」

「はい、もちろんアマネさんが許可してくださるならですが。」


 俺が胡蝶に住んでしまえば、そもそも護衛の必要がなくなる。職場に住むのはどうかと思うが、住み込みで働いていると思えばいいだろう。それに今住んでる場所に全く思い入れはないし、すぐに引き払ってもなんら問題はない。


「わらわは別に構わんのじゃが・・・」

「あの部屋全然使ってないですし、丁度いいかと思いまして。」


 そう、ヨギリやコハルが勝手に私物を持ち込んで、女子部屋と化しているあの部屋だ。せっかく俺の部屋をアマネがくれたのだから、これを機に使うというのも悪くはないだろう。


「ふむ・・・なるほどの。」

「どうでしょう?どっちがいいですか?」


 ここはアマネ達に決めてもらうのがよさそうだ。俺としてはどちらでも構わない。彼女達が負担にならない方を選んで貰えればそれでいい。


「アマネ・・・!ここは会議するべきだと思いますわ!」


 コハルが見た事がないくらい真面目な顔をしている。


「そ、そうでありんすね。慎重に考えないと駄目でありんす。」

「そうじゃな!お主ら集合なのじゃ!」


 なんだこいつら。仕事の時より真剣な気がするのだが・・・。


「いやいや、そんなに真剣になることじゃ・・・」


 アマネ達にとってどっちが楽か言ってくれればいいだけだ。何をそんなに悩むことがあるのか。ましてや全員で会議など大袈裟すぎる。


「ハルさんは黙ってなさい!」

「そうじゃ!お主はどっかいっておれ!」

「シッシッでありんす。」


 え、なにそれ酷い。


「いや、私の事ですから私も参加・・・」

「「「うるさい!!!!」」」


 もうやだ、ここ怖い。


「じ、じゃあ先に仕事してますので決まったら待合室に来てください・・・」

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