子が巣立つ日
今日我が子が家から出ていく。
高校を卒業し、東京の大学に通うことになり、巣立っていく。
親の目から見ても立派に育った。
優しく人のことがよく考えられる子だ。
ナップザックを背負って出ていく後ろ姿は、想像していたよりも大きく感じた。
立派になった。
誇らしい……嘘だ。寂しい。
寂しすぎる。しかし、誇らしくもある。
人を一人育てるという重圧からようやく解き放たれ、私は明日から自由だ。
一つの偉業をなしたと言ってもいいのではないだろうか?
きっと魔王を倒した勇者はこんな気持ちなのだろう。
達成感と寂しさと、そして今後自分の人生でこれ以上の体験はないという確信。
ピークが過ぎたという静かな寂寥感。
人によっては、これからの余生をより素晴らしくしようとやっきになるのだろうが、私はこんなときに便利な言葉を知っている。
足るを知る
もう満足である。私の人生は素晴らしい人生だった。
だから、これからはゆっくりと今までの日々を時折噛みしめながら、時の流れに身を任せようと思う。
私のスローライフがここから始まる。
上京した息子から結婚するから一緒に住まないか?と言われるまで、私の平穏は守られた。
嫁姑戦争がここから始まる。
戦いに備え、気合を入れ出陣した。
元勇者を舐めないでいただきたい。




