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第三封印解除

第十九話 第三封印解除


 白い扉は静かに光を放っていた。

 広間全体を包み込むような優しい光。

 不思議と恐怖は感じない。


 だけど。


 圧倒されるような存在感があった。


「始まる……」


 ベルが呟く。

 その直後。


 ゴォォォォォ……


 重い音と共に。

 白い扉がゆっくり開き始めた。

 眩しい光が溢れ出す。

 思わず目を細める。


「うわっ!」


「眩しい!」


 ルミナとミナも目を覆った。


 そして。


 光が落ち着いた時。

 僕たちはその先を見た。

 そこに広がっていたのは。

 どこまでも続く白い世界だった。


 空も。

 大地も。

 全てが白い。

 まるで雲の上みたいな景色。


「綺麗……」


 リンが思わず呟く。


 僕も同じ気持ちだった。

 その時。

 白い世界の奥から。

 一人の人物が歩いてくる。


 ゆっくり。

 静かに。


 まるで僕たちを待っていたかのように。

 現れたのは。


 長い銀色の髪を持つ青年だった。

 年齢は二十代前半くらい。

 優しそうな雰囲気。

 金色の瞳。

 白いローブ。


 そして。


 どこか懐かしい空気。

 敵意は全く感じない。

 むしろ。

 安心感があった。


挿絵(By みてみん)


「ようこそ」


 青年は微笑んだ。


「待っていたよ」


 その声を聞いた瞬間。

 なぜか胸が温かくなる。


「君がアキラだね」


 青年は僕を見る。


「はい……」


「やっと会えた」


 嬉しそうだった。

 本当に。

 心から喜んでいるように見えた。


 すると。


 シオンが小声で言う。


「敵っぽくないな」


「うん」


 僕もそう思った。

 怖さが全然ない。

 青年はみんなを見る。


「君たちもありがとう」


「え?」


 リンが首を傾げる。


「アキラを支えてくれて」


 その言葉に。

 みんな少し驚いた。


「僕たちを知ってるんですか?」


 ベルが尋ねる。

 青年は頷く。


「知っているよ」


「ずっと見守っていたからね」


 不思議な言葉だった。

 だけど。

 嘘を言っているようには見えなかった。


 その時。


 ルミナが前へ出る。


「あなた誰?」


 直球だった。

 青年は苦笑する。


「そうだね」


「まず自己紹介かな」


 そして。

 静かに名乗った。


「僕の名前はアルス」


 その名前を聞いた瞬間。

 ベルの表情が変わった。


「まさか……」


 ベルが固まる。


「知ってるの?」


 僕が聞く。

 ベルは震える声で答えた。


「古代文明の記録にだけ残る人物です」


「え?」


「世界を守った英雄の一人」


 全員が驚いた。


「英雄!?」


 シオンが叫ぶ。


「そんなすごい人なの!?」


「元だけどね」


 アルスは笑った。

 全然偉そうじゃない。

 むしろ親しみやすい。


「今はただの管理人みたいなものかな」


「管理人?」


 僕が聞く。


「うん」


 アルスは白い世界を見渡した。


「この場所と」


「封印を管理している」


 すると。

 ミナが手を挙げる。


「質問!」


「どうぞ」


「お腹空かない?」


 沈黙。

 広間が静まり返る。


「そこ!?」


 僕とシオンが同時に叫んだ。

 だが。

 アルスは笑った。


「空くよ」


「やっぱり!」


「君は甘い物 好きかい?」


「好き!」


 ミナが嬉しそうに言う。

 なぜか仲良くなっていた。


 早い。

 色々と早い。


 そんな様子を見て。

 アルスは優しく微笑む。


「本当に良い仲間たちだね」


 その言葉に。

 僕は少し照れた。

 シオンも照れていた。

 リンも少しだけ笑う。

 ルミナとミナはよく分かっていなかった。

 メイアはプリンを食べていた。


 通常運転だった。


 そして。


 アルスの表情が少しだけ真剣になる。


「さて」


 空気が変わる。


「第三封印は解除された」


 みんなが息を飲む。


「だけど」


「だけど?」


 僕が聞く。

 アルスは静かに続けた。


「これは終わりじゃない」


「始まりなんだ」


 白い世界が淡く輝く。


「君たちはこれから」


「世界の本当の姿を知ることになる」


 その言葉は。

 どこか重かった。


 だけど。


 恐ろしいものではない。

 未来へ進むための言葉だった。


 そして。


 アルスは真っ直ぐ僕を見る。


「アキラ」


「はい」


「君がこの世界へ転生した理由」


「君だけが使える魔法の意味」


「そして」


 一呼吸置いて。

 優しく微笑む。


「君がここへ来た本当の理由を教えよう」


 白い扉は開かれた。

 第三封印は解除された。


 長かった学園の日々。

 仲間たちとの出会い。


 数々の冒険。

 その全てが。

 ここへ繋がっていた。


 そして物語は。

 新たな舞台へ進み始める。

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