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迷子姉妹と楽しいお買い物

第十六話 迷子姉妹と楽しいお買い物


 王都観光の続き。

 僕たちは賑やかな通りを歩いていた。

 ルミナとミナは相変わらず元気いっぱいだ。


「お菓子!」


 ルミナが叫ぶ。


「お菓子!」


 ミナも叫ぶ。


「元気だなぁ」


 僕は苦笑した。


「元気すぎる」


 シオンも頷く。

 その時だった。

 広場で大道芸が始まる。


「おぉー!」


「おぉー!」


 二人が目を輝かせる。

 そして。


「見てくる!」


「見てくる!」


 走っていった。


「待って!」


 僕は慌てて呼び止める。

 しかし。

 人混みの中へ消えてしまった。


 数秒後。

 全員が固まる。


「……」


「……」


「迷子だな」


 シオンが言った。


「迷子だね」


 僕も言った。


 リンは額を押さえる。


「どうして……」


 メイアは静かに言う。


 否定できなかった。

 とはいえ。

 今回は王都だ。

 学園よりずっと広い。

 少し心配になる。


「探そう!」


 僕たちはすぐに動き出した。

 そして――

 三分後。


「いた」


 メイアが指差した。


「早っ!?」


 僕は思わず叫んだ。

 そこには。

 お菓子屋さんの前で。

 目を輝かせているルミナとミナがいた。


「これ美味しそう!」


「こっちも!」


 完全にお菓子に夢中だった。


「心配したんだよ!?」


 僕が言う。

 二人は振り返った。


「あ、お兄ちゃん」


「アキラ!」


 全然悪びれていない。


「迷子になった自覚ある?」


 リンが聞く。


「ない!」


「ない!」


 二人同時だった。


「でしょうね」


 シオンが遠い目をする。


 結局。


 みんなでそのお菓子屋さんに入ることになった。

 店内には色とりどりのお菓子が並んでいる。


「すごい……」


 ミナが感動していた。


「王都ってすごいね」


「そうだね」


 ルミナも頷く。


 すると。

 店員さんがおすすめを持ってきてくれた。


「こちら新作のはちみつクッキーです」


「ください!」


「ください!」


 即答だった。


 そして。

 数分後。


「美味しい!」


「美味しい!」


 いつもの光景だった。


「仲良いなぁ」


 僕が笑う。


「姉妹だな」


 シオン。


「そうだね」


 リン。

 

 その後。

 今度は買い物へ。


 ルミナは可愛いノートを購入。

 ミナは星柄のペンを購入。

 リンは新しい本。

 シオンは木刀の手入れ用品。

 メイアは――


「プリン型」


「なんで?」


 僕が聞く。


「必要」


 真顔だった。

 たぶん必要なんだろう。

 メイアにとっては。

 夕方。

 空が赤く染まり始める。


「そろそろ帰ろうか」


 僕が言う。


「うん!」


 ルミナ。


「うん!」


 ミナ。


 二人とも楽しそうだった。


 たくさん歩いて。

 たくさん笑って。

 たくさん食べた。


 本当に楽しい一日だった。


 帰りの馬車の中。


 ルミナは買ったノートを抱えている。


 ミナは星柄のペンを眺めている。


「今日は楽しかったね」


 ルミナが言った。


「うん!」


 ミナも笑う。


 その笑顔を見ていると。

 本当に仲良し姉妹みたいだった。

 僕も自然と笑う。


「また来ようね」


「うん!」


 二人が同時に答えた。

 そして。

 王立アルカディア学園。

 日が沈む頃。

 僕たちは無事に帰ってきた。


「ただいまー!」


 ルミナの元気な声が響く。


「ただいま!」


 ミナも続く。


 平和だった。

 本当に平和だった。


 だけど。


 学園の門をくぐった瞬間。

 ベルだけは空を見上げていた。

 その表情は少しだけ真剣だった。


「ベル?」


 僕が声をかける。

 ベルは振り返る。

 そして少しだけ笑った。


「いえ」


「どうしたの?」


「何でもありません」


 そう答えたけれど。

 僕には分かった。

 何かを気にしている。


 それでも今は聞かなかった。

 せっかく楽しい一日だったから。


 その夜。

 みんなが眠りにつく頃。

 ベルは研究室にいた。

 そして石板を見る。

 そこには新しい文字が浮かんでいた。


【第三封印】


【解除まで残り三日】


 ベルは静かに息を呑む。


「いよいよですね……」


 一方その頃。

 ルミナとミナは同じ部屋で楽しそうに今日の話をしていた。


「またお菓子食べたい!」


「私も!」


「今度はもっといっぱい!」


「賛成!」


 封印が近付いていることも知らず。

 二人は楽しそうに笑い合うのだった。

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