王都観光と食いしん坊姉妹
第十五話 王都観光と食いしん坊姉妹
休日の朝。
僕たちは王都へやって来ていた。
「おぉー!」
ルミナが目を輝かせる。
「すごい!」
ミナも目を輝かせる。
まるで鏡を見ているようだった。
「反応まで一緒だな」
シオンが苦笑する。
「本当に姉妹みたい」
リンも笑った。
王都の大通りは人でいっぱいだった。
露店。
雑貨屋。
魔道具店。
お菓子屋さん。
どこも賑わっている。
「まずどこ行く?」
僕が聞く。
「食べ歩き!」
ルミナ。
「食べ歩き!」
ミナ。
即答だった。
「予想通りだな」
シオンが呆れる。
「反対する?」
リン。
「しない」
シオン。
即答だった。
お前も大概である。
最初に買ったのは焼き菓子だった。
「美味しい!」
「美味しい!」
2人が幸せそうに頬張る。
次は串焼き。
「美味しい!」
「美味しい!」
また同じ反応。
さらに果物飴。
「美味しい!」
「美味しい!」
無限ループだった。
「語彙力が消えてる」
僕が言う。
「美味しい時は美味しいしか出ない」
ミナが真顔で答えた。
説得力があった。
悔しい。
その後。
雑貨屋へ立ち寄る。
ルミナは可愛い髪飾りを見つけた。
「綺麗……」
銀色の小さな花が付いた髪飾り。
確かによく似合いそうだ。
「付けてみる?」
僕が聞く。
「いいの?」
「もちろん」
店員さんにお願いして試着させてもらう。
髪に付けた瞬間。
ルミナの顔がぱっと明るくなった。
「どうかな?」
「似合ってる」
僕が言う。
「似合う」
メイア。
「似合うな」
シオン。
「可愛いよ」
リン。
全員一致だった。
ルミナは嬉しそうに笑う。
「えへへ♪」
その横で。
ミナがじーっと見ていた。
「……」
「ミナ?」
「羨ましい」
「顔に出てる」
シオンが即答した。
結局。
ミナにも色違いの髪飾りを買うことになった。
二人並ぶ。
お揃いだった。
「双子だ」
シオン。
「双子だね」
僕。
「双子じゃないもん!」
ミナ。
「たぶん姉妹!」
ルミナ。
「たぶんなんだ」
リンがツッコんだ。
昼頃。
僕たちは広場で休憩していた。
噴水の近くのベンチ。
心地よい風が吹いている。
「平和だなぁ」
僕は空を見上げる。
「平和だな」
シオンも頷く。
すると。
ルミナとミナが何かを見つけた。
「あっ!」
「あっ!」
また同時だった。
二人が走り出す。
「待って!」
僕たちも慌てて追いかける。
向かった先は。
大道芸人のショーだった。
観客が集まっている。
炎の魔法。
光の魔法。
見事なパフォーマンス。
「すごーい!」
ルミナ。
「すごーい!」
ミナ。
二人とも目を輝かせていた。
見ているこっちまで楽しくなる。
だけど。
その時だった。
広場の反対側。
一瞬だけ。
僕は誰かと目が合った気がした。
黒いローブ。
赤い瞳。
人混みの向こう。
「……?」
瞬きをした瞬間。
姿は消えていた。
「アキラ?」
リンが声をかける。
「どうしたの?」
「いや……」
気のせいかな。
そう思った。
だけど。
なぜか胸騒ぎがした。
その頃。
王都の路地裏。
黒いローブの男は静かに笑っていた。
「見つけた」
その手には。
古びた石板。
石板には新しい文字が浮かんでいる。
【第三封印】
【対象確認】
男の笑みが深くなる。
「もうすぐだ」
一方その頃。
アキラたちは。
「次はどこ行く!?」
ルミナ。
「お菓子屋さん!」
ミナ。
相変わらずだった。
「さっきから食べてばっかりじゃない?」
僕。
「観光だよ!」
二人。
「絶対違う」
シオン。
みんなの笑い声が王都に響く。
迫る不穏な影にまだ気付かないまま――。




