表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/44

第三封印の鍵と二人の銀髪少女

第十四話 第三封印の鍵と二人の銀髪少女


 食堂の空気が静まり返る。

 ベルの言葉はそれほど衝撃的だった。


「その子は第三封印の鍵です」


 ミナはプリンを食べていた。


「美味しい♪」


 そして隣のメイアも食べていた。


「美味しい」


 緊張感がなかった。

 驚くほどなかった。


「いやいやいや!」


 最初に叫んだのはシオンだった。


「第三封印の鍵って何だよ!?」


「そのままの意味です」


 ベルは真面目な顔で答える。


「ルミナさんにかけられた封印を解除するために必要な存在です」


 ミナはスプーンを止めた。


「私が?」


「はい」


「へぇー」


 軽かった。

 びっくりするくらい軽かった。


「もっと驚こうよ!?」


 思わずツッコんでしまう。


「だって分からないし」


 ミナは首を傾げる。


「それに」


「それに?」


「お腹いっぱいになってから考えたい」


 全員が黙った。

 ある意味大物だった。

 ルミナがそんなミナをじっと見つめる。


「ねぇ」


「ん?」


「本当に私がお姉ちゃんなの?」


 ミナは少し考えた。


 そして。


「たぶん」


「たぶん!?」


 今度は全員がツッコんだ。


「いや、だって私も詳しく覚えてないんだもん!」


「どういうこと?」


 リンが聞く。


 ミナは少しだけ困ったような顔をした。


「気が付いたら外の世界にいたの」


「外の世界?」


「うん」


「それで?」


「ずっと誰かを探してた」


 そう言って。

 ミナはルミナを見る。


「ずっと探してたらお姉ちゃんを見つけた」


 その表情は真剣だった。

 いつもの明るい顔ではない。


「だから会いに来た」


 ルミナは少し戸惑っていた。

 でも。

 嫌そうではなかった。

 むしろ。

 どこか安心しているようにも見えた。


「変なの」


「変かな?」


「うん」


 ルミナが笑う。


「でも嫌じゃない」


 ミナの顔が明るくなった。


「本当!?」


「うん!」


 次の瞬間。

 ぎゅうううう!


「わっ!?」


 また抱きついた。


「会えて嬉しい!」


「苦しい苦しい!」


 仲良くなるのが早かった。

 その様子を見ていたシオンが小さく笑う。


「なんか本当に姉妹っぽいな」


「そうだね」


 僕も頷いた。

 銀色の髪。

 紫色の瞳。

 笑った顔。

 本当にそっくりだった。


 その時。


 ベルが小さく咳払いをした。


「実はもう一つ分かったことがあります」


 みんながベルを見る。


「第三封印は近いうちに開きます」


 食堂の空気が少し変わった。


「どれくらい?」


 リンが聞く。

 ベルは答える。


「数日以内です」


「早っ!」


 シオンが驚く。

 僕も同じ気持ちだった。

 そんなに近かったのか。


 しかし。


「じゃあその前に遊ぼう!」


 ミナだった。

 全員がそちらを見る。


「え?」


「だって数日あるんでしょ?」


「まぁ……」


「だったら遊べる!」


 満面の笑み。

 ルミナも反応する。


「遊ぶ!」


「遊ぶ!」


 二人とも目が輝いていた。

 ベルが頭を抱える。


「緊張感が……」


「ないね」


 僕が言った。


「ないな」


 シオンも頷く。


 でも。

 少しだけ思った。

 不安なことはある。

 封印のことも。

 ミナのことも。

 まだ分からないことばかりだ。


 それでも。

 今この瞬間は。

 みんなで笑っていたかった。


「じゃあ明日どこ行く?」


 僕が聞く。


「街!」


 ルミナ。


「街!」


 ミナ。


 またハモった。


「仲良いなぁ」


 シオンが笑う。


「似た者同士」


 メイアが言う。


 その言葉に。

 みんなが笑った。

 こうして。

 アキラたちは久しぶりに学園の外へ出かけることになる。


 しかし――


その頃。

 王都から遠く離れた山奥。

 一人の男が静かに目を開いていた。


 漆黒のローブ。

 赤い瞳。

 そして。

 手には古びた石板。


「第三封印が動いたか」


 男は不気味に笑う。


「ようやく見つけた」


 その視線は。

 王立アルカディア学園の方向へ向けられていた。


 平和な時間は続いている。

 だけど。

 少しずつ。

 新たな物語も動き始めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ