突然の妹!?
第十三話 突然の妹!?
王立アルカディア学園正門前。
空気が固まっていた。
理由は簡単。
目の前の銀髪少女が――
「お姉ちゃん!」
と言いながら抱きついた
誰も動けない。
誰も喋れない。
唯一動いていたのは。
プリンを食べるメイアだけだった。
「平和だ」
僕は思った。
いや全然平和じゃなかった。
「えっと……」
最初に復活したのはリンだった。
「ルミナがお姉さん?」
「うん!」
銀髪少女は元気よく頷いた。
「本当に?」
「本当に!」
自信満々だった。
しかし。
ルミナ本人は。
「知らない」
即答だった。
銀髪少女がショックを受けた。
「そんなぁ!」
今にも泣きそうである。
「だって初めて会ったし!」
「そ、それはそうだけど……」
少女はしょんぼりした。
なんだろう。
悪い人には見えない。
むしろ。
ちょっと残念な人っぽい。
とりあえず。
話を聞くことになった。
場所は中庭。
みんなでベンチに座る。
銀髪少女はきょろきょろしていた。
「すごい!」
「学園だ!」
「学園だからね」
僕。
「すごい!」
「二回言った」
シオン。
「まず名前は?」
リンが聞く。
少女は胸を張った。
「ミナ!」
「あっ」
僕たちは顔を見合わせる。
聞いたことがある。
外の世界から来た少女。
以前ベルが話していた名前だ。
「ミナさん?」
僕。
「うん!」
元気だった。
ものすごく元気だった。
そして。
ルミナを見る。
目が輝く。
「えへへ♪」
ぎゅうっ。
また抱きついた。
「ふにゃぁ!?」
ルミナ。
「会いたかった!」
「だから初対面だよ!?」
正論だった。
すると。
シオンが小声で言う。
「アキラ」
「ん?」
「なんか似てないか?」
「何が?」
「ルミナと」
僕も見比べる。
銀髪。
紫の瞳。
笑った時の顔。
確かに似ている。
双子と言われても信じそうだった。
でも。
決定的に違う部分がある。
ルミナ。
落ち着きはないけど素直。
ミナ。
もっと自由。
なんというか。
暴走機関車だった。
「お腹空いた!」
突然ミナが言った。
早い。
話が早い。
「さっき来たばかりでしょ?」
リン。
「歩いたから!」
なるほど。
すると。
ルミナが立ち上がる。
「じゃあ食堂行こう!」
「行く!」
即決だった。
数分後。
食堂。
ミナは目を輝かせていた。
「すごい……」
「そんなに?」
僕
「こんなに食べ物がある!」
感動している。
どうやら外の世界ではかなり苦労していたらしい。
そして。
五分後。
「美味しい!」
「美味しい!」
ミナとルミナが同時に叫んだ。
息ぴったりだった。
さらに。
「これも美味しい!」
「それも美味しい!」
完全に姉妹だった。
本人たちは気付いていない。
その様子を見ながら。
僕は少しだけ安心していた。
突然現れた謎の少女。
本来なら警戒するべきなのかもしれない。
でも。
ルナの笑顔を見ていると。
そんな気持ちは薄れていく。
ただ――
その時だった。
ベルが食堂へ駆け込んできた。
「アキラさん!」
「ベル?」
珍しく慌てている。
かなり慌てている。
そして。
ルナを見た瞬間。
固まった。
「やっぱり……」
小さく呟く。
「知ってるの?」
リンが聞く。
ベルは静かに頷いた。
そして。
驚きの言葉を口にした。
「その子は……」
「第三封印の鍵です」
食堂が静まり返った。
だが。
当の本人は。
「このプリン美味しい!」
幸せそうにプリンを食べていた。
隣では。
メイアも頷く。
「分かる」
緊張感が。
まるでなかった。




