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逃げられないお姫様たち

第十一話 逃げられないお姫様たち


 学園祭。

 午前の営業が終わった。

 王子様&お姫様カフェは予想以上の大盛況。

 お客さんも大満足だった。

 そして。


 僕とシオンは疲れ果てていた。


「終わった……」


「燃え尽きた……」


 二人揃って机に突っ伏す。

 その時。


「二人とも」


 リンが笑顔で近付いてきた。

 嫌な予感しかしない。


「な、何?」


「休憩時間でしょ?」


「うん」


「学園祭回ってきなよ」


「おぉ!」


 一瞬嬉しくなった。

 しかし。


「その格好で」


 沈黙。


「え?」


「え?」


 僕とシオンが固まる。


「着替えは?」


「ダメ」


「なんで!?」


 即答だった。

 数分後。

 学園内。

 僕とシオンはお姫様姿のまま歩いていた。


「視線が痛い」


「すごく見られてる」


 完全に目立っていた。

 すると。


「あれ王子様カフェの人たちだ!」


「本物だ!」


 生徒たちが集まってくる。


「逃げろ!」


「逃げろ!」


 二人同時に走った。

 しかし。

 五秒後。

 リンに捕まった。


「何でいるの!?」


 僕。


「見張ってるからね」


 リン。


「見張り!?」


 自由がなかった。

 数分後....

ルミナとメイアとリンそしてアキラとシオンは

合流して屋台を回っていた


「りんご飴!」


「綿あめ!」


「焼き菓子!」


 大忙しだった。


 シオンが呆れる。


「よくそんなに食べられるな」


「別腹!」


「何個あるんだその別腹」


 もはや謎だった。

 その隣では。

 メイアがプリンを持っている。

 またプリンだった。


「何個目?」


 僕。


「数えてない」


「駄目だこの人」


 その後。


 学園祭のイベント会場。

 くじ引き大会が行われていた。


「参加自由!」


 ということで。

 みんなで挑戦することになった。

 最初はシオン。


 ガラガラ。


 結果。


【参加賞】


「ですよね」


 本人も納得していた。

 次はリン。


 結果。


【二等賞】


「すごい!」


 大きな拍手。

 リンは少し照れていた。


 そして。

 アキラの番。


 ガラガラ。


 ぽとん。


 係の人が固まった。


「え?」


「え?」


 周囲も固まる。

 次の瞬間。


「特賞です!」


 大歓声。


「えぇぇぇぇ!?」

 

◇◇◇

 アキラ本人も驚いていた。


「当たった!?」


 どうやら特賞は巨大ぬいぐるみらしい。

 身長ほどある。

 大きい。

 とても大きい。


 アキラはそのぬいぐるみを

ルミナに渡した


「やったー!」


 ぎゅーっと抱きついている。

 可愛かった。

 夕方。


 再びカフェへ戻る。

 最後の営業だ。

 すると。

 入口に行列ができていた。


「増えてない?」


 僕。


「増えてる」


 シオン。


 なぜか午前より多い。

 理由は簡単だった。


【お姫様コンビ再登場】


 誰かが宣伝していた。


「誰だ!」


 犯人はルミナだった。


「お客さん増えるかなって」


 悪気ゼロだった。


「増えたね……」


「増えたな……」


 僕とシオンは遠い目をした。

 そんな賑やかな時間の中。

 ルミナはふと空を見上げた

 夕暮れの空。

 その瞳が一瞬だけ金色に輝く。

 だが。

 本人は付かない。

 遠く。

 学園の外。

 誰もいない森の中で。


 一人の少女が静かに目を開いた。

 銀色の髪。

 紫色の瞳。

 そして。

 ルミナによく似た顔。


「ようやく……」


 少女は小さく微笑む。


「見つけた」


 学園祭の楽しい時間は続く。

 けれど。

 新たな出会いも。

 もうすぐそこまで来ていた――。

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