何かがおかしい喫茶店
第十話 何かがおかしい喫茶店
学園祭当日。
王立アルカディア学園は大盛況だった。
屋台。
演劇。
展示会。
どこも人でいっぱいだ。
「すごい人だね」
僕は思わず呟いた。
「学園祭だからな!」
シオンは朝から元気だった。
そして。
僕たちのクラスの喫茶店も開店準備を進めていた。
……進めていたのだが。
「ちょっと待って」
「どうした?」
シオンが聞く。
僕は目の前の張り紙を指差した。
【王子様&お姫様カフェ】
沈黙。
「何これ」
「知らない」
リン。
「私も知らない」
メイア。
「楽しそう!」
ルミナ。
ルミナだけ喜んでいた。
すると。
クラスメイトが説明してくれた。
「普通の喫茶店じゃ面白くないから!」
「うん」
「男子と女子を逆にした!」
沈黙。
「逆?」
「女子が王子様役!」
「うん」
「男子がお姫様役!」
「なんでぇぇぇぇぇ!?」
僕とシオンの叫びが響いた。
十分後。
更衣室。
「嫌だ……」
「帰りたい……」
僕とシオンは並んで座っていた。
目の前には。
可愛らしい衣装。
フリフリ付き。
リボン付き。
どう見てもお姫様用。
「終わったな」
シオン。
「終わったね」
僕
すると。
ガチャ。
扉が開く。
リンだった。
そして。
王子様衣装だった。
白いジャケット。
マント。
キラキラしている。
「似合ってる」
僕は思わず言った。
リンは少し照れる。
「ありがとう」
普通に格好良かった。
その後ろ。
メイアもいた。
こちらも王子様衣装。
無表情なのに妙に似合う。
「強そう」
シオン。
「かっこいいな」
僕。
そして....運命の時。
僕とシオンも着替え終わった。
鏡を見る。
そこには。
お姫様姿の僕。
お姫様姿のシオン。
沈黙。
「誰だこれ」
シオン。
「知らない人だね」
僕。
現実逃避だった。
すると。
ルミナが入ってきた。
「おぉー!」
目が輝く。
「可愛い!」
「言わないで!」
僕。
「似合う!」
「やめて!」
シオン。
全然助けてくれなかった。
開店。
「いらっしゃいませ!」
お客さんがどんどん入ってくる。
そして。
「見てあれ」
「男子がお姫様役だ」
「面白い!」
大好評だった。
「なんで人気なんだろう」
僕。
「分からん」
シオン。
しかし。
予想以上に忙しい。
注文。
接客。
配膳。
休む暇もない。
すると。
僕がケーキを運んでいる時。
足がもつれた。
「あっ」
ぐらっ。
まただ。
しかし。
ひょい。
リンが支えてくれた。
「危ない」
「ありがとう……」
周囲のお客さん。
「おぉー!」
「王子様とお姫様だ!」
「素敵ー!」
拍手。
拍手。
拍手。
僕は恥ずかしくて顔を隠した。
「帰りたい……」
シオンは爆笑していた。
「アキラだけイベント発生してる!」
「笑うな!」
一方。
ルミナのお絵描き展示コーナー。
こちらも大人気だった。
学園祭の絵。
仲間たちの絵。
たくさん飾られている。
「すごい!」
「可愛い!」
お客さんたちも楽しそうだ。
ルミナは満面の笑みだった。
「えへへ♪」
その笑顔を見て。
僕は思った。
準備は大変だったけど。
やってよかったな。
そんな平和な時間が流れていた――。




