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どうにかなる……よね?

第五話 どうにかなる……よね?


 テスト当日。

 朝。

 王立アルカディア学園は妙な緊張感に包まれていた。


 生徒たちは最後の確認をしている。

 教科書を読む者。

 ノートを見直す者。

 友達と問題を出し合う者。

 そんな中。


「どうにかなる」


 僕は言った。

 すると。


「だよな」


 シオンも頷いた。

 二人ともベンチでのんびりしていた。

 リンがじっと見る。


「何その余裕」


「余裕じゃないよ」


「うん」


 シオンも頷く。


「諦めだ」


「ダメじゃん!」


 リンのツッコミが飛ぶ。

 でも。

 僕とシオンはなぜか落ち着いていた。


「満点じゃなくてもさ」


「うん」


「どうにかなる」


「どうにかなる」


 ハモった。

 リンは頭を抱えた。


「その適当さはどこから来るの……」


そして....

 試験開始。

 カリカリカリ。

 教室にペンの音だけが響く。

 僕は問題用紙を見る。


【魔法理論】


「お」


 見覚えがある。

 昨日リンに教わったところだ。


「よかった……」


 書ける。

 意外と書ける。

 隣では。

 シオンも真面目な顔をしていた。

 珍しい。

 本当に珍しい。

 たぶん雪が降る。

 試験監督の先生が二度見していた。

 気持ちは分かる。


 昼休み。


「終わったー!」


 シオンが机に突っ伏した。


「疲れた……」


 僕も同じだった。

 すると。

 メイアが近づいてくる。


「どうだった?」


「たぶん大丈夫」


「たぶん」


 リンが不安そうな顔をした。


「その"たぶん"が怖いんだけど」


 ルミナもやって来る。


「お兄ちゃん!」


「ん?」


「頑張った?」


「頑張った」


「えらい!」


 頭を撫でられた。


「ありがとう。」


 みんなが笑った。

 数日後。

 運命の日。

 テスト結果発表。

 教室はざわついていた。


「嫌だなぁ」


「帰りたいなぁ」


 僕とシオンは現実逃避していた。

 すると。

 先生が入ってくる。


「結果を返します」


 教室の空気が固まる。

 僕も少し緊張した。

 どうにかなると思っているけど。

 やっぱり気になる。


「アキラ」


「はい」


 答案を受け取る。

 恐る恐る見る。

 そして。


「……へ?」


 固まった。


 隣で。


「……へ?」


 シオンも固まった。

 リンが覗き込む。


「どうしたの?」


 僕は震える指で答案を見せた。

 そこには。


【100点】


 大きく書かれていた。

 沈黙。


「……え?」


 リン。


「……え?」


 僕。


「……え?」


 シオン。

 全員同じ反応だった。

 先生も頷く。


「アキラ、満点です」


「なんで!?」


 思わず叫んでしまった。

 先生が困惑した。


「満点取って驚く生徒は初めて見ました」


 僕も初めてだよ。

 すると。


「シオン」


「はい」


 シオンも答案を見る。

 そして。


「うそだろ」


 そこには。


【100点】


 同じ数字。

 教室が静まり返った。


「やったな!お前ら」


 クラスメイトの一言だった。

 みんな頷いていた。

 放課後。

 中庭。


「満点だった」


「満点だった」


 僕とシオンはまだ信じられなかった。

 リンは苦笑する。


「毎日勉強したからでしょ」


「そうかな」


「そうだよ」


 メイアも答案を見せる。


【100点】


「満点」


「知ってた」


 予想通りだった。

 ルミナも自慢げに画用紙を出す。


「見て!」


 そこには。

 王冠を被った僕。

 マントを羽織ったシオン。

 先生みたいなリン。

 そして。

 巨大なトロフィーを持つメイア。


「なにこれ?」


「満点記念!」


 どうやら描いてくれたらしい。

 みんな笑った。

 平和だった。

 本当に平和だった。

 その夜。


 ベルの研究室。

 ベルは石板を見ていた。

 すると。

 突然。

 石板が光る。


【封印解除率 40%】


 ベルが固まる。


「え?」


 数日前まで20%だった。

 なのに。

 一気に倍。

 そして新しい文字が浮かぶ。


【第三封印】

【まもなく解除】

 ベルは静かに呟いた。


「アキラさん……」


「平和な時間は、もう少しだけ続いてほしいのですが……」


 だが。

 運命は少しずつ動き始めていた。

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