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テスト前の静かな戦い

第四話 テスト前の静かな戦い


 王立アルカディア学園。

 その日。

 学園には独特の空気が流れていた。

 静か。

 とても静か。

 なぜなら――

 来週からテストだからだ。


「終わった……」


 机に突っ伏したのは僕だった。


「まだ始まってないよ?」


 リンが冷静に言う。


「気持ちは終わったんだよ……」


 数学。

 魔法理論。

 異世界史。

 覚えることが多すぎる。

 すると隣で。


「仲間だな」


 シオンが親指を立てた。


「嫌な仲間だなぁ……」


「失礼だぞ」


 シオンは真顔だった。

 全然反省していない。

 リンは深いため息をつく。


「二人とも」


「はい」


「勉強」


「はい……」


 逆らえなかった。

 放課後。

 図書館。

 僕とシオンとリンは勉強会をしていた。


「問一」


 リンが問題集を見る。


「魔法回路の基本構造を説明しなさい」


「簡単だな」


 シオンが言う。


「おっ」


「魔法回路とは……」


 シオンは自信満々に答えた。


「なんかすごいやつ」


 沈黙。


「0点」


 リン。


「早い!」


 シオン。


「説明になってない」


 完全に正論だった。

 その後。


「アキラ」


「うん?」


「次」


「はい」


 僕は問題を見る。


【王立アルカディア学園が建設された年を書きなさい】


「えっと……」


 考える。

 考える。

 考える。


「昔!」


「0点」


「厳しい!」


 でも正しかった。

 自分でもそう思う。

 リンが頭を押さえた。


「どうしてこの二人はこれで入学できたの……」


「僕も不思議」


「俺も不思議」


「本人たちも不思議なんだ……」


 一方その頃。

 中庭。

 ベンチの上で。

 ルミナがお絵描きをしていた。


「ふんふふーん♪」


 上機嫌でクレヨンを走らせる。

 隣にはメイア。

 猫も二匹いた。

 完全に平和空間だった。


「できた!」


 ルミナが画用紙を見せる。


「おぉ」


 メイアが珍しく感心した。

 そこには。


 アキラ。

 シオン。

 リン。

 メイア。

 ルミナ。

 みんなが描かれていた。

 ただし。

 なぜか。

 アキラだけ頭に王冠をかぶっていた。


「なんで?」


 メイアが聞く。


「お兄ちゃんだから!」


「なるほど」


 メイアが納得していた。

 たぶん納得しちゃダメなやつだった。

 夕方。

 勉強会終了。

 僕とシオンは完全に燃え尽きていた。


「疲れた……」


「俺も……」


 魂が抜けかけている。

 そこへ。


「お兄ちゃん!」


 ルミナが走ってきた。


「見て見て!」


 画用紙を差し出す。


「おっ」


 みんなの絵だった。

 しかも結構上手い。


「すごいなぁ」


 僕が褒めると。

 ルミナは嬉しそうに笑った。


「えへへ」


 すると。

 シオンが絵を見る。


「俺イケメンに描かれてる」


「実際イケメンだから」


 ルミナ。


「おお!」


 シオンが喜んだ。

 そして。

 リンを見る。


「リンも美人だな」


「ありがとう」


 普通だった。

 しかし。

 僕の絵を見る。


「アキラだけちょっと丸いな」


「ほんとだ」


 リン。


「ほんとだ」


 メイア。


「ほんとだ」


 ルミナ。


「なんでみんな同意するの!?」


 ひどかった。

 でも。


 みんな笑っていた。

 僕も笑っていた。

 こういう時間も悪くない。

 その夜。


 寮の部屋。

 僕は机に向かう。

 テスト勉強。

 本当は面倒だ。

 だけど。


 今日のルミナの絵を思い出す。

 みんな笑っていた。

 楽しそうだった。


「よし」


 少しくらい頑張ろう。

 僕は教科書を開いた。

 その五分後。


「分からない……」


 やっぱりダメだった。

 翌朝。

 リン先生による補習が決定した。


「助けてー!」


 アキラの悲鳴が学園に響いた。

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