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学園探検と迷子の才能

第三話 学園探検と迷子の才能


 翌日。


 王立アルカディア学園。

 朝から快晴だった。

 気持ちのいい天気だ。

 そんな中。


「お兄ちゃん!」


 元気な声が響く。

 ルミナだった。


「おはよう」


「おはよう!」


 元気が有り余っている。

 朝から百点満点の笑顔だ。


「今日は何するの?」


「授業かな」


「つまらない!」


「即答だった」


 すると。

 ルミナが突然手を上げた。


「学園探検したい!」


「探検?」


「うん!」


 確かに。

 ルミナは学園に来たばかりだ。

 まだ知らない場所も多いだろう。


「じゃあ放課後ね」


「やったー!」


 飛び跳ねて喜んでいる。

 なんだか子犬みたいだった。

 そして放課後。

 探検隊が結成された。


 隊長。

 ルミナ。


 副隊長。

 なぜかシオン。


 案内役。

 僕。


 監視役。

 リン。


 無言枠。

 メイア。


「無言枠って何?」


「なんとなく」


 シオンが答えた。


「ひどい」


 メイアは気にしていなかった。

 むしろお菓子を食べていた。


「ここは図書館」


「おぉー!」


「ここは訓練場」


「おぉー!」


「ここは食堂」


「おぉぉぉー!!」


 食堂だけ反応が大きかった。

 ルミナは食堂の限定プリンを見つけて目を輝かせている。

 その隣では。

 メイアも同じ目をしていた。


「欲しい」


「欲しい!」


 息ぴったりだった。

 リンがため息をつく。


「仲良しになってる」


「本当だ」


 昨日まで微妙だったのに。

 プリンの力は偉大だった。

 そして。

 一時間後。


「よし」


 シオンが頷く。


「これで一通り見たな」


「そうだね」


 僕も頷く。

 しかし。

 そこで。

 違和感に気付いた。


「……あれ?」


「どうした?」


 リンが聞く。


「ルミナは?」


 沈黙。

 全員が辺りを見回す。


「……」


「……」


「……」


 いない。

 見事にいない。

 さっきまでいたはずなのに。


「迷子だ」


 メイアが即答した。


「まじか!?」


 探検開始から一時間。


 迷子発生。

 新記録だった。

 それから十分後。

 校舎中を探し回る。


「ルミナー!」


「どこだー!」


 すると。

 遠くから声が聞こえた。


「お兄ちゃーん!」


「いた!」


 声のする方へ走る。

 そして。

 たどり着いた先で。

 僕たちは固まった。


「……何してるの?」


 ルミナがいた。

 そして。

 周りには。

 学園の猫たちが十数匹。

 ルミナを囲んでいた。


「友達できた!」


「猫と!?」


 ルミナの膝には一匹。

 肩にも一匹。

 頭の上にも一匹。

 完全に猫の王だった。

 しかも。

 なぜか猫たちが全然離れない。


「すごいね」


 リンが感心する。


「才能かもしれない」


 シオンも頷く。

 その時。

 一匹の猫がメイアの肩へ飛び乗った。

 メイアは無表情のまま撫でる。

 猫はゴロゴロ喉を鳴らす。


「メイアも好かれてる」


「猫は見る目がある」


「自分で言うんだ」


 少しだけ笑ってしまった。

 夕方。

 みんなで帰る。

 ルミナは上機嫌だった。


「楽しかった!」


「それなら良かった」


 すると。

 ルミナが突然立ち止まる。


「?」


 彼女は空を見上げていた。

 夕焼け空。

 その表情が少しだけ真剣になる。


「ルミナ?」


「……」


 一瞬だけ。

 本当に一瞬だけ。

 彼女の紫色の瞳が金色に輝いた。


「え?」


 僕が気付く前に。

 元に戻る。


「どうしたの?」


「なんでもない!」


 笑顔だった。

 だけど。

 その夜。

 ベルの研究室で。

 石板の文字がまた増えていた。


【封印解除率 20%】

【第二封印反応確認】


 ベルは静かに呟く。


「やはり始まっているんですね……」


 一方その頃。

 アキラは。

 自分の部屋で。

 宿題と格闘していた。


「分からない……」


 世界は救えた。

 だが。

 数学は救えなかった。


「助けてリン……」


 翌日。


 リンに説教されることになるアキラであった。

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