突然できた妹(?)
第二話 突然できた妹(?)
「お兄ちゃん♪」
ルミナは僕の腕にしがみついたままだった。
「離れてくれない?」
「やだ♪」
「即答!?」
満面の笑みだった。
なぜだろう。
悪い子じゃないのは分かる。
でも。
距離感がおかしい。
かなりおかしい。
「アキラ」
隣から声がした。
メイアだった。
「うん?」
「取っていい?」
「何を!?」
メイアの視線はルミナへ向いていた。
ルミナも負けじと見返す。
「むぅ」
「むぅ」
二人とも頬を膨らませていた。
なんだろう。
全然怖くない。
むしろ少し可愛い。
「仲良くしようよ」
「……」
「……」
二人とも黙った。
そして。
「考えておく」
メイア。
「考えておく」
ルミナ。
「そこも同じなの!?」
シオンが吹き出した。
昼休み。
いつもの中庭。
僕たちはみんなで昼食を食べていた。
最近はここが定位置になっている。
木陰。
心地いい風。
平和だ。
本当に平和だった。
「お兄ちゃん」
「うん?」
「はい」
ルミナがサンドイッチを差し出してきた。
「くれるの?」
「うん!」
「ありがとう」
受け取る。
一口食べる。
「美味しい」
その瞬間。
ルミナの顔がぱっと明るくなった。
「えへへ」
嬉しそうだった。
なんだか。
本当に妹みたいだ。
すると。
メイアがじっと見ていた。
「アキラ」
「うん?」
「はい」
お弁当のおかずを差し出してきた。
「え?」
「食べる?」
「食べる」
食べた。
「美味しい」
すると。
メイアも少し嬉しそうだった。
シオンがニヤニヤしている。
「モテモテだな」
「違うと思う」
「そうか?」
「そうだよ」
リンはため息をついた。
「アキラだからね」
「どういう意味?」
「そのままの意味」
よく分からなかった。
放課後。
図書館。
僕は課題をやっていた。
本当は外で遊びたかった。
でも。
リンに捕まった。
「勉強」
「はい」
逆らえない。
しばらくして。
ふと顔を上げる。
すると。
向かいの席で。
ルミナが寝ていた。
「寝てる」
すやすや。
気持ちよさそうだった。
頭が少し揺れている。
そして。
こてん。
僕の肩にもたれかかった。
「おっと」
起こさないように支える。
小さい。
本当に小さい。
その様子を見ていたリンが微笑んだ。
「優しいね」
「そうかな」
「そうだよ」
少し照れくさい。
でも。
悪い気分じゃなかった。
夕方。
学園の帰り道。
オレンジ色の空。
みんなで並んで歩く。
シオンが前。
リンが隣。
メイアが少し後ろ。
ルミナは僕の隣。
何気ない帰り道。
だけど。
僕は思う。
数か月前まで。
こんな未来は想像もしていなかった。
異世界に来て。
友達ができて。
大切な仲間ができて。
そして。
なぜか妹っぽい子まで増えた。
「増えてないからね?」
「何が?」
シオンが聞く。
「いや独り言」
みんなが笑う。
僕も笑う。
平和だ。
本当に平和だ。
この時間がずっと続けばいい。
そんなことを思った。
その日の夜。
学園の屋上。
月明かりの下。
ベルが一人で空を見上げていた。
「……」
その表情は珍しく真剣だった。
手には古い石板。
遺跡の奥で見つかったもの。
そこには。
新しい文字が浮かび上がっていた。
【管理者の妹】
【覚醒開始】
【残り封印 四つ】
ベルの顔色が変わる。
「まさか……」
遠くで。
楽しそうに笑うアキラたちの声が聞こえる。
平和な日々。
だけど。
まだ知らない秘密が。
ルミナの中には眠っているのだった。
第三話へ続く




