終わりへ向かう戦い
第二十二話 終わりへ向かう戦い
メイアの瞳が銀色に輝く。
その瞬間。
世界が静かになった。
黒い雷。
荒れ狂う魔力。
空を覆う闇。
全部が一瞬だけ止まった。
「メイア……?」
僕は思わず名前を呼ぶ。
メイアはゆっくり僕を見る。
そして。
少しだけ微笑んだ。
「思い出した」
優しい声だった。
「全部」
数百年前の記憶。
失われた時間。
約束。
全部。
「アキラ」
「うん」
「私ね」
「うん」
「ずっと探してた」
胸が少し苦しくなる。
「僕も」
気付けばそう答えていた。
すると。
世界喰らいが怒りを露わにする。
『黙れ』
『その記憶は消したはずだ』
だけど。
今度は誰も怯まなかった。
シオンが剣を担ぐ。
「しつこいな」
リンも魔法陣を展開する。
「本当にね」
ルナも前へ出る。
「ご主人様の平和な学園生活を返してください!」
「目的が地味!」
シオンがツッコんだ。
ベルも頷く。
「ですが重要です」
「ベルさんまで!?」
エルフィアは小さく笑った。
「私も賛成です」
いつの間にか。
みんな同じ方向を見ていた。
世界を守るとか。
歴史を変えるとか。
もちろん大事だけど。
それ以上に。
みんなで笑える日常を守りたかった。
だから。
「終わらせよう」
僕は前へ出た。
メイアも隣に並ぶ。
そして。
最後の戦いが始まった。
戦いは激しかった。
だけど。
どこか不思議だった。
今までみたいな絶望感がない。
世界喰らいは強い。
本当に強い。
でも。
僕たちは一人じゃない。
シオンが道を開く。
リンが支える。
ルナが補助する。
ベルが分析する。
エルフィアが守る。
アキラ三号は相変わらず数を数えていた。
『敵ダメージ確認』
『73%』
「便利だな」
『褒められました』
「ちょろい」
リンが呟いた。
そして。
最後に。
僕とメイアが力を重ねる。
「行こう」
「うん」
銀色と蒼色の光が重なる。
世界喰らいが叫ぶ。
『やめろぉぉぉぉ!!』
だけど。
もう遅い。
光が世界を包み込む
そして――
静かに。
本当に静かに。
戦いは終わった。
数日後。
王立アルカディア学園。
平和だった。
驚くほど平和だった。
「平和だなぁ」
僕は校庭のベンチで呟く。
「そうだね」
リンが頷く。
シオンはパンを食べていた。
「戦いが終わると暇だな」
「勉強しろ」
リンの正論が刺さる。
シオンが倒れた。
「ぐはっ」
「物理攻撃じゃないよね?」
僕は笑った。
すると。
遠くからメイアが歩いてくる。
いつも通り無表情。
でも。
どこか柔らかい雰囲気だった。
「おはよう」
「おはよう」
自然な挨拶。
それだけなのに。
なんだか嬉しかった。
するとルナが走ってくる。
「大変です!」
「どうしたの!?」
まさか新たな敵か。
全員が身構える。
しかし。
「食堂の限定プリンがあと三個です!」
沈黙。
「行くぞ!」
シオンが走り出した。
「早い!」
リンも追いかける。
メイアも走る。
「限定」
ものすごく真剣だった。
そして。
気付けば僕も走っていた。
「待ってー!」
平和だ。
本当に。
平和だった。
だけど。
そんな日常の中で。
まだ誰も知らない。
学園の地下。
遺跡のさらに奥。
アキラ三号の保管庫で。
『記録更新』
『平和率98%』
『問題なし』
一瞬止まる。
『ただし』
『アキラ周辺トラブル発生率』
『99.9%』
アキラ三号は静かに結論を出した。
『近いうちに何か起きる』
その予測は。
たぶん当たる。
なぜなら。
翌日。
アキラは授業中にうっかり謎の古代魔法陣を起動させたのだから。
ここまで読んでくれてありがとうございます
まだ もうちょい続き書いて行くので
暖かい目で見ていただけると嬉しいです




