入学試験 なんかすごい結果
第二話 入学試験なんかすごい結果
異世界に来てから一週間。
僕は王都アルカディアでの生活にも少し慣れていた。
「アキラー! 起きろー!」
ドンドンドン!
朝から扉が揺れる。
「うーん……」
「入学試験の日だぞー!」
「あ、そうだった」
僕はのそのそと起き上がった。
隣の部屋からリンの声も聞こえる。
「シオン、朝からうるさい」
「元気が一番だろ!」
「近所迷惑」
「すみませんでした」
最近分かったことがある。
シオンはリンに弱い。
とても弱い。
そして十分後。
僕たちは王立アルカディア学園へ向かっていた。
目の前に見えるのは巨大な白い校舎。
まるでお城みたいだった。
「でかいねぇ」
「だろ!」
シオンは自慢げだった。
「この国で一番有名な学園だからな!」
「シオンが建てたわけじゃないでしょ」
「確かに」
校門をくぐると、大勢の受験生が集まっていた。
剣を背負った人。
杖を持った人。
いかにも魔法使いみたいな人。
「緊張する?」
リンが聞いた。
「そんなにかな」
僕は首を傾げた。
「落ちたらどうしようとは思うけど」
「大丈夫だろ!」
シオンが笑う。
「お前、絶対変な才能あるし!」
「変な才能って」
「水柱出しただろ」
「事故だよ」
あれ以来、僕は魔法の練習をしていた。
でも結果は散々だった。
火を出そうとして煙だけ出たり。
風を起こそうとして自分の前髪だけ揺れたり。
なぜか成功率が低い。
「次の受験者!」
先生の声が響く。
試験が始まった。
◇◇◇
まずは筆記試験。
歴史や魔法理論の問題が出された。
「……知らない」
当然だった。
異世界に来て一週間だ。
分かるわけがない。
でも意外と何とかなった。
なぜか問題文を読むと理解できる。
この世界の文字も普通に読める。
転生特典みたいなものだろうか。
「よし」
なんとか埋め終えた。
◇◇◇
次は実技試験。
受験生たちは順番に魔法を披露していた。
「火球!」
ボォッ!
歓声が上がる。
「おおー」
僕も拍手した。
「次、アキラ」
「はい」
先生に呼ばれた。
前へ出る。
目の前には魔力測定用の大きな水晶。
「まず魔力を流してください」
「分かりました」
僕は手を置いた。
すると。
ピキッ。
「ん?」
ひびが入った。
そして。
バキィィン!!
水晶が砕け散った。
会場が静まり返る。
「え?」
僕も固まる。
「……壊れた?」
先生も固まる。
周囲の受験生も固まる。
しばらく沈黙が続いたあと。
「予備持ってこーい!!」
先生が叫んだ。
◇◇◇
二個目。
バキィン。
三個目。
バキバキィン。
四個目。
粉々。
「なんでぇぇぇ!?」
試験官たちが頭を抱えた。
僕に聞かれても困る。
「アキラ君」
「はい」
「力を抜いてください」
「抜いてます」
「本当に?」
「本当です」
「嘘だろ……」
先生が遠い目をした。
◇◇◇
結局。
学園長が呼ばれた。
白髪のおじいさんだった。
「ほうほう」
学園長は僕を見た。
「面白いのう」
「そうですか?」
「うむ」
何が面白いのか分からない。
「一度魔法を使ってみなさい」
「えっと」
僕は考えた。
魔法陣とかよく分からない。
でも。
「え?どうしようとりあえず……火が出ろーー」
指を向けた。
その瞬間。
ゴォォォォォォ!!
巨大な火柱が天井近くまで吹き上がった。
「うわああああ!?」
「消火班ー!!」
「結界張れー!!」
会場が大混乱になった。
僕は慌てた。
「ご、ごめんなさい!」
すると火柱は突然消えた。
代わりに雪が降った。
「なんで!?」
僕が聞きたい。
◇◇◇
試験終了後。
僕たちは別室に呼ばれていた。
シオンもリンもいる。
「すごかったね」
リンが言う。
「大惨事だったけど」
「褒めてる?」
「半分くらい」
シオンは大笑いしていた。
「ははは! やっぱり変な才能じゃねーか!」
「否定できない」
そこへ学園長が入ってきた。
「結果を伝えよう」
僕たちは姿勢を正した。
「シオン」
「はい!」
「合格」
「よっしゃあ!」
「リン」
「はい」
「合格」
「ありがとうございます」
そして。
学園長は僕を見る。
「アキラ」
「はい」
「お主も合格じゃ」
「よかった」
ほっとした。
しかし学園長は続けた。
「ただし――」
嫌な予感がした。
「お主は特別クラス所属じゃ」
「特別クラス?」
「天才や問題児が集められるクラスじゃな」
嫌な予感が強くなった。
「ちなみに過去の生徒は」
学園長は指を折った。
「校舎を爆破した者」
「怖い」
「ドラゴンを連れて登校した者」
「怖い」
「授業中に国王へ決闘を申し込んだ者」
「怖い!」
絶対ヤバいクラスだった。
学園長は満面の笑みで言った。
「歓迎するぞ」
僕は思った。
入学初日から、もう帰りたいかもしれない。
――こうして僕は王立アルカディア学園の特別クラスへ所属することになったのだった。
第三話へ続く




