学園襲撃と仮面の男
第十二話 学園襲撃と仮面の男
特別クラスの教室。
天井は吹き飛んだ。
生徒たちは避難した。
そして。
僕たちだけが残っている。
「アキラを連れて行く」
仮面の男は静かに言った。
その声には妙な威圧感があった。
◇◇◇
「断る」
即答したのはメイアだった。
一歩前へ出る。
銀髪が揺れる。
「アキラは渡さない」
仮面の男が少しだけ首を傾げた。
「なぜだ?」
「友達だから」
シンプルだった。
でも。
なんだか嬉しかった。
◇◇◇
「ならば力ずくで――」
男が手を上げる。
その瞬間。
「待ったぁ!!」
シオンだった。
勢いよく前に出る。
「なんだ?」
仮面の男が見る。
シオンは腕を組んだ。
「まず自己紹介しろ!」
全員が固まった。
「……」
「……」
「……」
なぜそこからなのか。
◇◇◇
「敵にも礼儀は必要だろ!」
シオンは真面目だった。
本気だった。
仮面の男も少し困っている。
たぶん初めての経験だと思う。
◇◇◇
「私は……」
なぜか答え始めた。
「境界破壊者所属」
「おお」
「第七執行官」
「うん」
「ゼクト」
シオンが頷く。
「よろしく!」
「よろしくではない」
ゼクトが初めてツッコんだ。
◇◇◇
その隙だった。
「えい」
メイアが動く。
神速。
完全な不意打ち。
しかし。
ガキィィン!!
「止めた!?」
ゼクトは片手で剣を受け止めていた。
強い。
今までの敵とは違う。
◇◇◇
「厄介だな」
ゼクトが呟く。
すると。
背後に黒い魔法陣が出現した。
そこから無数の黒い槍が現れる。
「来る!」
ルナが叫ぶ。
◇◇◇
槍が一斉に放たれた。
だが。
「防御します」
ベルが前へ出る。
光の結界が展開される。
ドドドドドド!!
槍が次々に弾かれた。
◇◇◇
「ベルすごい!」
僕が言う。
ベルは少し照れた。
「当然です」
ドヤ顔だった。
珍しい。
◇◇◇
その時。
エルフィアが真面目な顔になる。
「アキラ」
「なに?」
「そろそろ使えます」
「何が?」
「新しい力です」
嫌な予感しかしない。
◇◇◇
「右手を見てください」
見る。
腕輪が光っていた。
遺跡で手に入れた管理者の腕輪。
「また?」
「またです」
ベルが頷く。
「だいたいアキラ様の問題はそれです」
「僕のせいなの!?」
「八割くらい」
結構高かった。
◇◇◇
その時。
腕輪から文字が浮かぶ。
【管理者権限解放】
【空間収納機能 使用可能】
「空間収納?」
僕が首を傾げる。
「便利なやつです」
ベルが説明する。
「物を収納できます」
「へぇ」
「かなり便利です」
◇◇◇
試しに念じてみる。
すると。
ポンッ。
目の前に何か出た。
「おお!」
成功した。
と思った。
◇◇◇
出てきたのは。
巨大なたらいだった。
「なんで!?」
僕が一番驚いた。
◇◇◇
たらいは重力に従う。
つまり落ちる。
どこへ?
もちろん。
ゼクトの頭へ。
◇◇◇
ゴンッ!!
「ぐあっ!?」
直撃した。
教室が静まり返る。
◇◇◇
「……」
「……」
「……」
ゼクトが膝をついている。
頭を押さえている。
◇◇◇
シオンが震え始めた。
「ぶっ……」
「シオン」
「ぶははははは!!」
耐えられなかった。
◇◇◇
「伝説の敵が!」
「やめろ!」
「たらいで!」
「やめろ!!」
リンまで笑いを堪えている。
◇◇◇
メイアが真顔で言った。
「アキラ最強」
「違うから」
「たらい使い」
「嫌な二つ名だなぁ」
◇◇◇
ゼクトが立ち上がる。
少し怒っていた。
いや。
かなり怒っていた。
「貴様ら……」
「ごめんなさい」
条件反射で謝った。
◇◇◇
しかし。
その時だった。
鳥が叫ぶ。
『今だ!』
「え?」
『奴の仮面を壊せ!』
◇◇◇
メイア。
ルナ。
シオン。
ベル。
全員が同時に動く。
「せいっ!」
「はぁっ!」
「おりゃあ!」
「支援します!」
連携攻撃。
◇◇◇
ドォォォォン!!
爆発。
衝撃。
そして。
パキッ。
仮面に亀裂が入った。
◇◇◇
「なっ!?」
ゼクトが後退する。
初めて焦った顔を見せた。
「まずい!」
ルナが叫ぶ。
「仮面の下を見ちゃダメです!」
「なんで!?」
「説明すると長いです!」
説明してほしかった。
◇◇◇
亀裂は広がる。
パキパキパキッ!
そして。
仮面が砕け散った。
◇◇◇
全員が息を呑む。
現れた顔を見る。
そして。
「……え?」
僕は固まった。
◇◇◇
なぜなら。
そこにいたのは。
僕と同じ顔をした少年だったから。
◇◇◇
教室に沈黙が落ちる。
「え?」
シオンが言う。
「え?」
リンも言う
。
「え?」
メイアも言う。
◇◇◇
そして。
ゼクトも固まっていた。
「……あれ?」
敵も驚いていた。
なんで?
◇◇◇
「誰?」
僕が聞く。
ゼクトが聞く。
「誰だ?」
全員が混乱した。
本人も混乱していた。
◇◇◇
どうやら。
とんでもない事実が判明しそうだった。
第十三話へ続く




